おが粉,鋸屑(のこくず)とも呼ばれる。木材を鋸(のこぎり)(大鋸(おが))でひいたとき,刃でひきちぎられてできる木粉。大きさは鋸の大きさ,木の種類により異なり,1~5mmぐらい。おがくずの使われ方には決まったものがなく,ときどきの事情によりさまざまな方法がある。1960年ころまでは,町の材木屋の製材機からでるおがくずは,ほとんどが町の風呂屋で使われた。しかし固形燃料が嫌われだし,おがくずは使われなくなった。おりから木材工業団地がつくられ始め,製材工場も集まったため,おがくずも集積して公害源にさえなった。おがくずをかためた人工薪〈オガライト〉は,その処理方法の一つとなり,67-68年に最も多くつくられた。そのころおがくずは活性炭の原料としての地位も確立した。かさの割合には内部表面積の大きいおがくずの性質が評価されたためである。70年代におきた数次のオイルショックは,おがくずの用途の一部を再び燃料に向けた。企業はおがくず用のボイラーをつくり,エネルギーを得た。
これらとはまったく違う利用法が近年行われはじめた。その一つは食用キノコ栽培用である。瓶につめたおがくずと米ぬかを培地にしてエノキタケの栽培が長野で成功し,以後ナメコ,ヒラタケなど各種キノコが似た方法で栽培された。好んで用いられるのはブナ,ナラなど広葉樹材のおがくずであるが,スギ,カラマツなど針葉樹材のおがくずも,入手が楽なため使われている。その他の特殊な利用に家畜用敷料がある。70年代の後半になり,従来敷料として使われていた“わら”の需給がくずれ,代用としておがくずが使われ始めた。おがくずは化学成分が生物の繁殖を防ぐ点で“わら”に優るとして重用された。古くから知られている梱包(こんぽう)用の充てん材としての使用は,梱包の対象は時代につれて変わるが,絶えることなく続けられている。
執筆者:善本 知孝
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…木材の縦びき専用の鋸(のこぎり)。身幅約5cm,長さ約2m,中央で刃の方向が左右にわかれた鋸身を枠に張り,2人で大材をひき割る工具。大型であるから大鋸と書き,〈おおが〉とも言った。14~15世紀ころ中国より渡来したといわれている。それ以前の日本の鋸は木の葉形の横切り用のもので,能率も悪かった。大鋸の出現は製板および木材加工技術に一大革新をもたらしたが,大型であるため鋸身の製法が難しく,一般に入手困難であったらしい。…
…材を切断する工具(図)。〈のこ〉ともいう。一般には製材・木工用の工具だが,金属を切るものもある。
[鋸刃の機能]
木材は繊維体で,組織は一様でなく,弾性を多分に有するため,その切断を容易にし,かつその切断面を平滑にするには,鋸刃の形,配列にいろいろの工夫がなされる。鋸びきは木材の繊維を切断する仕事と,切断によってできた〈おがくず(鋸屑)〉を挽道外に排出する仕事の二つからなりたっているが,前者は主として鋸刃先の鋭利さに,後者は歯形,歯数などに左右される。…
※「大鋸屑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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