(読み)バツ

デジタル大辞泉 「跋」の意味・読み・例文・類語

ばつ【×跋】

書物書画巻物末尾に記す文。後書き。跋文。⇔
[類語]後書き後記跋文末筆奥書後付け奥付

ばつ【跋】[漢字項目]

[音]バツ(呉)
草を踏んで野山を歩き回る。「跋渉
荒々しく踏みにじる。「跋扈ばっこ
書物の末尾に記す文章。あとがき。「跋文序跋題跋

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精選版 日本国語大辞典 「跋」の意味・読み・例文・類語

ばつ【跋・末】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 跋 ) 著書や書画のおわりに書きしるす文章。あとがき。跋文。
    1. [初出の実例]「三人大に笑ふ図に、跋をかくぞ」(出典:中華若木詩抄(1520頃)上)
  3. [ 二 ] ( 末 ) 物事結末。むすび。→ばつ
    1. [初出の実例]「ばつは何様お付け被成(なさ)る積りです」(出典人情本・春色玉襷(1856‐57頃)二)

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普及版 字通 「跋」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] バツ・ハツ・ハイ
[字訓] つまずく・ふむ・こえる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(はつ)。殺(たくさつ)された犬牲の形で、跋はあしなえ。〔説文〕二下に「(つまづ)くなり」(段注本)とあり、いわゆる沛(てんぱい)。沛は跋の仮借字。遠行に苦しむことを跋渉、進退に窮することを狼跋(ろうばつ)、横行することを跋(ばつこ)という。は魚を捕らえる竹籠(かご)。大魚は跳ねまわって、籠で捕らえがたい意。跋尾は列名最末の署名、のち跋文の意に用いる。

[訓義]
1. つまずく、よろめく、あしなえ。
2. ふむ、つよくふむ、ふみにじる。
3. こえる、わたる。
4. 文体の名、おくがき。

[古辞書の訓]
名義抄〕跋 フム・コユ・アシヲレ・モト 〔字鏡集〕跋 ハシル・ワタル・フム・ユク・アシヲレ・コユ

[熟語]
跋印跋越跋援・跋語跋胡・跋・跋識・跋焦・跋渉・跋前・跋滞・跋題・跋・跋躓・跋尾・跋文・跋剌・跋履・跋録
[下接語]
序跋・草跋・題跋・馳跋・狼跋

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改訂新版 世界大百科事典 「跋」の意味・わかりやすい解説

跋 (ばつ)

書物や書画の終りに,その来歴や編著の感想・次第などを書き記す短文。あとがき。跋文,後跋(こうばつ),後序ともいう。そのほか後世につけ加えたりしたものもまとめて奥書(おくがき)という。それに対して,書物の巻頭にはしばしば序文(序,はしがきともいう)が付けられ,編著の経緯・次第のほか,その目的,謝辞などが記される。序文は書写・伝来の過程で省略されたり,はじめからなかったりするが,跋文や刊記(木記(もつき))はおおむね伝存している。
奥書
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【序】より

…しかし,ある書物に後人が序を書くときは,前に置くのがふつうで,《詩経》(毛詩)の大序(詩大序)や《尚書》の孔安国(偽作)序がそれである。自序ものちには,前に置かれるようになり,末尾のものは,〈後序〉とか〈跋〉と呼ばれるようになった。作品の序は,その作品の制作由来を記すもので,前に置く。…

【題跋】より

…中国の文体の名称。明の徐師曾の《文体明弁》は題跋を,清の姚鼐(ようだい)の《古文辞類纂》は序跋類を立てている。題は書物の巻頭や書画の余白に書く短文であり,多くはその書物,書画に対する意見,感想などが述べられる。…

※「跋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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