群馬県の最西端、吾妻郡(あがつまぐん)にある村。村名は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が妻である弟橘媛(おとたちばなひめ)をしのんで「吾嬬者耶(あづまはや)」と三嘆した故事にちなむという。浅間(あさま)山、白根(しらね)山、四阿(あずまや)山の三火山の広大な裾野(すその)にまたがり、長野県境の鳥居(とりい)峠付近に発する吾妻川が中央を東流する。鎌原(かんばら)は、1783年(天明3)の浅間山大爆発で死者477人を出して壊滅し、復興した集落である。集落と耕地は標高800~1200メートル内外の高冷地にあり、その気候を利用した高原野菜であるキャベツ、ハクサイ、ジャガイモ、豆類の栽培が特色である。田代(たしろ)地区が高原野菜の中心地で、京浜・阪神方面に出荷される。石津(いしづ)、吾妻、小串(おぐし)の各硫黄(いおう)鉱山は、石油産業の副産物の硫黄に押されて1971年(昭和46)閉山した。中心集落の大前(おおまえ)までJR吾妻線が通じ、鹿沢温泉(かざわおんせん)、新鹿沢温泉、万座温泉(まんざおんせん)や鬼押出し(おにおしだし)などの観光地が多い。夏は避暑、冬はスキーの客でにぎわう。町の中央を国道144号が横断し、南北に観光道路の万座ハイウェーと鬼押ハイウェー(ともに浅間―白根火山ルート)が走る。浅間山噴火で形成された浅間山溶岩樹型は国の特別天然記念物に指定されている。面積337.58平方キロメートル(一部境界未定)、人口8850(2020)。
[村木定雄]
『『嬬恋村誌』(1977・嬬恋村)』
群馬県北西端,吾妻(あがつま)郡の村。人口1万0183(2010)。吾妻川最上流域を占め,長野県境沿いに白根山,四阿(あずまや)山,浅間山など標高2000m級の山々が連なる。村域の大部分は林野で,おもな集落は吾妻川沿いにある。六里ヶ原と呼ばれた浅間山北麓の原野では第2次大戦後,大規模な開拓が行われ,1960年代にキャベツ,ハクサイなどの高冷地栽培が急増し,現在は全国有数のキャベツ産地となっている。農林水産省嬬恋馬鈴薯原々種農場(現,独立行政法人の種苗管理センター嬬恋農場)では種ジャガイモを生産している。西部は上信越高原国立公園に含まれ,万座,鹿沢(かざわ),新鹿沢などの温泉があり,スキー場,浅間山溶岩原(鬼押出)など観光資源も豊かである。六里ヶ原,浅間牧場付近は別荘地として開発された。小串,吾妻,石津の硫黄鉱山があったが,1971年に閉山した。吾妻川沿いに,役場のある大前までJR吾妻線が通じる。
執筆者:千葉 立也
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