宇検村(読み)うけんそん

日本歴史地名大系 「宇検村」の解説

宇検村
うけんそん

面積:一〇三・〇三平方キロ

大島の南西部に位置する。西部は東シナ海に臨み、北部は大和やまと村、東部は住用すみよう村、南部は瀬戸内せとうち町と接する。町域を大きく南北に二分する焼内やきうち湾は、湾口に枝手久えだてく島があり、湾内の入江のほとんどは良港となっている。その一つ湾奥の湾から北東を仰ぐと大島で最高峰の湯湾ゆわん(六九四・四メートル)がみえるが、このほか住用村境のヤクカチョボシ岳、瀬戸内町境の南郷なんごう山・かんむり岳・戸倉とぐら山などの山嶺が連なっており、東部より河内かわうち川が西流するものの、全体に平地に乏しく、山裾が海岸まで迫っている。海岸部を主要地方道の名瀬なぜ―瀬戸内線がめぐり、南部の名柄ながらで県道の曾津高崎そつこうざき線が分岐している。

原始・古代の遺跡では、焼内湾口の屋鈍やどんに兼久式土器を主とする土器の散布をみるのみである。採集資料としては、名柄の千城出土と伝えられる大型磨製石斧と宇検および久志くしから出土した打製石斧がある。大型磨製石斧は長さ二一センチ、最大幅一〇センチ、厚さ四センチで、奄美では最大級の石斧である。湯湾岳には島建神話があり、当町域の早い開発を想定させる。


宇検村
うきえんむら

[現在地名]宇検村宇検うけん

現宇検村の西部北側に位置し、集落は焼内やきうち湾に臨む。湾入口の北側に枝手久えだてく島がある。屋喜内やきうち間切(焼内間切)宇検方のうち。ウキン、ウクンともよぶ。「喜安日記」によれば、慶長一四年(一六〇九)島津氏進攻後の五月に琉球尚寧王が薩摩および江戸に連行され、同一六年一〇月に帰国するが、その途次「大島うけん」に停泊した一行は「行宮」をしつらえさせたという。正保琉球国絵図に「焼内間切之内うけん村」とみえ、沿岸に諸村を結ぶ道が記されるほか、航路が描かれる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宇検村」の意味・わかりやすい解説

宇検〔村〕
うけん

鹿児島県南部,奄美大島西部にある村。出入りの多い焼内湾(やけうちわん)が西から東へ村域のほぼ中央まで入り込み,北,東,南の三方からは山が迫って,耕地に乏しい。北の大和村との境に奄美群島最高峰の湯湾岳(694m)がそびえる。農業は自給的色彩が濃いが,温暖な気候をいかしたバナナ,ポンカン,花卉などの生産が伸びている。漁業は焼内湾での定置網漁やタイ,真珠などの養殖が行なわれる。林業も盛ん。湯湾岳一帯は奄美群島国立公園の特別保護地区に指定され,特別天然記念物のアマミノクロウサギや天然記念物のルリカケスの生息地となっている。中心地区は湾奥の湯湾。面積 103.07km2人口 1621(2020)。

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