定点観測(読み)テイテンカンソク(その他表記)ocean weather station observation

デジタル大辞泉 「定点観測」の意味・読み・例文・類語

ていてん‐かんそく〔‐クワンソク〕【定点観測】

洋上定点で、観測船によって行った気象海洋の国際的な連続観測。日本は四国沖の北緯29度、東径135度の南方定点(T点とよばれた)を担当したが、昭和57年(1982)廃止
ある一定地点で、気温気圧降水量などの気象要素を連続して観測すること。「定点観測カメラ」
変化のある事象について、一定期間、観察調査を続けること。「家電価格定点観測

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精選版 日本国語大辞典 「定点観測」の意味・読み・例文・類語

ていてん‐かんそく‥クヮンソク【定点観測】

  1. 〘 名詞 〙 海上のきめられた位置に船を配置して気象・海洋の観測や捜査・救助などの作業を行なうこと。〔日本の気象(1956)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「定点観測」の意味・わかりやすい解説

定点観測
ていてんかんそく
ocean weather station observation

洋上の一定の所(定点)に観測船が漂泊し、継続的に行う観測業務。定点観測船は数週間で交代し、常時観測結果が得られる。観測は一般には、3時間ごとの海上気象観測、1日2~4回の海上高層観測、海上高層風観測である。そのほか、海洋観測ラジオビーコン無線標識)などによる航空機への援助、海難に際しての捜索・救助作業などが行われることもある。

 定点観測は第二次世界大戦に際して軍事的要求からアメリカによって開始された。戦後の1950年代に最盛期に達し、太平洋・大西洋の18定点が運営されていた。しかしその後、海洋気象ブイロボット気象衛星に代替されるようになり、1981年に国際的な定点観測計画は終了し、2002年現在、ノルウェー沖のM点(北緯66度、東経2度)のみが運用されている。日本では中央気象台(現、気象庁)が、海上保安庁の設置後はその協力のもとに、1947年(昭和22)10月から北太平洋のX点(北緯39度、東経153度)、1948年9月からはこれに加えて四国沖のT点(北緯29度、東経135度)での観測を通年運営していた。X点・T点とも1953年までで打ち切りになったが、T点での観測だけは1954年から1981年まで、夏の台風時期の6か月間に限って実施された。定点観測で得られた海洋・気象データは、連続的で長期間にわたったことから、長期的な大気・海洋変動などの調査・研究の進展に多大の寄与をした。

[半澤正男・佐伯理郎]

『中井俊介著『海洋観測物語――その技術と変遷』(1999・成山堂書店)』『饒村曜著『台風と闘った観測船』(2002・成山堂書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「定点観測」の意味・わかりやすい解説

定点観測
ていてんかんそく

(1) ocean station observation 国際民間航空機関 ICAOによって定められた洋上の一定位置に止めた気象観測船による,台風その他の気象擾乱,高層気象,海洋気象の観測。気象衛星の実用化や航空機の性能向上,航空機援助施設の充実などからすでに廃止されている。日本では,北方定点(北緯 39°,東経 153°,1947.10.~1953.11.)と南方定点(北緯 29°,東経 135°,1948.8.~1981.11.)において気象観測が行なわれた。
(2) 野外の調査において,定まった地点における種々の観測,試料採取など。大気汚染監視,洪水監視,交通量監視などの記録は多方面で利用されている。気象庁では,地球温暖化に結びつく温室効果ガス二酸化炭素メタン)の定点観測も行なっている。岩手県の綾里(1987.1.~ ),東京都の南鳥島(1993.2.~ ),沖縄県の与那国島(1997.1.~ )の 3ヵ所で大気中の濃度を,また 1980年代から,海洋気象観測船を用いて東経 137°線に沿って洋上大気と海水中の二酸化炭素濃度を測定している。

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百科事典マイペディア 「定点観測」の意味・わかりやすい解説

定点観測【ていてんかんそく】

海洋上の気象観測空白地域を補うために行われる洋上の特定地点の定常気象観測。この観測業務を担当する船舶を定点観測船という。海上気象観測,高層気象観測,海洋観測のほか,ビーコン業務,海難救助も担当。各国が分担して運営する。日本は1948年から四国沖の南方定点を受け持っていたが,1973年南方定点付近にブイロボットを設置して海洋気象観測を始め,高層気象も気象衛星の情報で得られるため,定点観測は1982年廃止された。

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