洋上の一定の所(定点)に観測船が漂泊し、継続的に行う観測業務。定点観測船は数週間で交代し、常時観測結果が得られる。観測は一般には、3時間ごとの海上気象観測、1日2~4回の海上高層観測、海上高層風観測である。そのほか、海洋観測、ラジオビーコン(無線標識)などによる航空機への援助、海難に際しての捜索・救助作業などが行われることもある。
定点観測は第二次世界大戦に際して軍事的要求からアメリカによって開始された。戦後の1950年代に最盛期に達し、太平洋・大西洋の18定点が運営されていた。しかしその後、海洋気象ブイロボットや気象衛星に代替されるようになり、1981年に国際的な定点観測計画は終了し、2002年現在、ノルウェー沖のM点(北緯66度、東経2度)のみが運用されている。日本では中央気象台(現、気象庁)が、海上保安庁の設置後はその協力のもとに、1947年(昭和22)10月から北太平洋のX点(北緯39度、東経153度)、1948年9月からはこれに加えて四国沖のT点(北緯29度、東経135度)での観測を通年運営していた。X点・T点とも1953年までで打ち切りになったが、T点での観測だけは1954年から1981年まで、夏の台風時期の6か月間に限って実施された。定点観測で得られた海洋・気象データは、連続的で長期間にわたったことから、長期的な大気・海洋変動などの調査・研究の進展に多大の寄与をした。
[半澤正男・佐伯理郎]
『中井俊介著『海洋観測物語――その技術と変遷』(1999・成山堂書店)』▽『饒村曜著『台風と闘った観測船』(2002・成山堂書店)』
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