専照寺(読み)せんしょうじ

精選版 日本国語大辞典 「専照寺」の意味・読み・例文・類語

せんしょう‐じ センセウ‥【専照寺】

福井市みのり二丁目にある真宗三門徒派の本山。山号は中野山。正応三年(一二九〇)如導(如道とも)が越前国足羽(あすわ)南郡大町(福井市大町)に専修寺を創建したのに始まる。永享七年(一四三五)第五世浄一のときに足羽北郡蕗野保中野(福井市中野町)に移り現名に改称。天正一三年(一五八五勅願所となり、享保九年(一七二四)現在地に移転

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デジタル大辞泉 「専照寺」の意味・読み・例文・類語

せんしょう‐じ〔センセウ‐〕【専照寺】

福井市にある真宗三門徒派の本山。山号は中野山。正応3年(1290)如道が創建した専修寺せんじゅじに始まり、応永3年(1396)浄一が分立。享保9年(1724)中野村から現在地に移転。のち真言大谷派に属し、さらに別派として独立。中野本山。

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日本歴史地名大系 「専照寺」の解説

専照寺
せんしようじ

[現在地名]福井市みのり二丁目

近世の福井城下の新屋敷下しんやしきしも町の西側にある。真宗三門徒派本山、本尊阿弥陀如来。高田系三河門徒の如導を開基とする大町専修おおまちせんしゆう(現福井市)より分立したもので、専修寺三世の良金が「先祖ノ掟ヲ背」(中野物語)いたため、永享七年(一四三五)足羽あすわ蕗野ふきの中野なかのに浄一を開基として当寺が創立され、如導以来の秘事法門も当寺が継承した。同九年、将軍足利義教より寺領の寄進をうけ、寺地門前末寺までの諸役を免除された。浄一は帆山ほやま(現福井県武生市)の道願の子とも、如導の三男ともいわれ、今立いまだて味真野あじまの(現武生市)鞍谷くらたに御所に仕えていたという。これを擁立したのは、帆山の誓願せいがん寺、河北こぎた専光せんこう寺、やしろ専通せんつう寺の長老であった。

専照寺
せんしようじ

[現在地名]長野市信更町赤田

現県道篠ノ井―新町線より赤田あかだ村を北方に登った地点にあり、北に山林を負い南方は開けている。境内は九五七坪で杉の大樹がある。本尊大日如来。真言宗豊山派。金福山亀峰院専照寺と称す。

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改訂新版 世界大百科事典 「専照寺」の意味・わかりやすい解説

専照寺 (せんしょうじ)

福井県福井市にある真宗三門徒派の本山。山号は中野山。寺伝では,三河の和田門徒円善の門下の如道が,越前足羽郡大町に1290年(正応3)に開創した専修寺(せんじゆじ)に始まる。如道門下は,山元の道性(証誠寺開祖),鯖江の如覚(誠照寺開祖)と鼎立して三門徒と呼ばれ,専修寺は如道の次男如浄,三男了泉と相承された。4世浄一のとき本願寺と対立し,浄一は専修寺を出て1435年(永享7)足羽郡蕗野郷中野に移って専照寺を開いた。これによって中野門徒とも称されるようになった。翌36年に本願寺巧如は,浄一らを異義として批判している。一方37年には諸役免除の黒印状をうけている。その後兵乱によって衰退し,1582年(天正10)には北庄堀小路に転じ,83年には丹羽長秀から諸役免除の黒印状をうけ,85年には正親町天皇の綸旨をうけて勅願所となった。1724年(享保9)現在地に移る。天台宗妙法院の院家となっていたが,1878年独立して本山となった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「専照寺」の意味・わかりやすい解説

専照寺
せんしょうじ

福井市みのりにある寺。中野山(なかのさん)と号し、真宗三門徒派の本山。派祖如導(にょどう)(または如道)が宗祖親鸞(しんらん)の遺跡を巡拝して北陸に至り、1290年(正応3)足羽(あすわ)郡大町(おおまち)の車屋道場を拡大して専修寺と称したに始まる。如導は上足の道性(どうしょう)、如覚(にょがく)らとともに「自己是(こ)れ仏なり」と主張して「おがまずの衆」とよばれ、秘事法門(ひじぼうもん)を唱えた。これらの法脈はそれぞれ中野門徒、横越(よこごし)門徒(証誠寺(しょうじょうじ))、鯖江(さばえ)門徒(誠照寺(じょうしょうじ))とよばれ、これら三門徒は越前(えちぜん)(福井県)に栄えた。このうち如導の系統を継ぐ第5世浄一(じょういつ)は、足羽郡中野に新たに一寺を建立して専照寺と称し、その後18世澄如(ちょうにょ)が現在地に移して、今日に至る。江戸時代には妙法院門跡(もんぜき)の院家となって天台宗に属し、一時は真宗大谷派にも移ったが、1878年(明治11)に独立して三門徒派を称し、その本山となった。

[森 章司]

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