尋常一様(読み)じんじょういちよう

四字熟語を知る辞典「尋常一様」の解説

尋常一様

他と特別の差異のないこと。並一通り

[活用] ―な・―に。

[使用例] あれをお認めになりましたならば、賢明なる諸君は、もはやこのあんこくが、尋常一様の闇黒でない事を充分に御推察になった事と信じます[夢野久作*ドグラ・マグラ|1935]

[使用例] この鉱泉で長とうりゅうを試みるには、一応の覚悟がいる。どのような不思議な味の食物でも喉を通す勇気がなくては泊まれない。尋常一様の味ではないのである[坂口安吾*ラムネ氏のこと|1941]

[使用例] これらの悪評こそ、なりあきらにとって最大の讃辞だったかもしれず、かれが尋常一様の大名政治家でなかったことをよくあらわしている[司馬遼太郎*翔ぶが如く|1975~76]

[解説] 「尋常一様の政治家でない」とは、「普通の政治家でない」ということです。「尋常」は「普通」よりも硬い、または古風な言い方です。「尋常一様の」全体で、「並一通りの」「並大抵の」などの意味を表します。
 今では古風な言い方になりましたが、用例は明治以降のものが多く見つかります。明治以前の例はどうかというと、これもかなりさかのぼれます。
 一四世紀の「げきもうしょう」という随筆には、「普通は」の意味で「尋常一様には」という言い回しが出てきます。早い時期からあったことばなのは確かです。
 中国では、たとえば宋代(一三世紀)のらいの詩に「尋常一様そうぜんの月」とあります。「尋常一様」は、中国でも昔から使われていたことがわかります。
 現代の使い方で特徴的なのは、「尋常一様の喜びではない」のように、「尋常一様」の下に否定形が来ることです。「普通ではない」と否定することで、程度を強調することにもなっています。

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精選版 日本国語大辞典「尋常一様」の解説

じんじょう‐いちよう ジンジャウイチヤウ【尋常一様】

〘名〙 (形動) ふつうで、他と特別の差異のないこと。また、そのさま。
※撃蒙抄(1358)「尋常一様には捨てぬれば、うき世はなきやうにいふべし」
※自転車日記(1903)〈夏目漱石〉「間の抜さ加減は尋常一様にあらず」

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デジタル大辞泉「尋常一様」の解説

じんじょう‐いちよう〔ジンジヤウイチヤウ〕【尋常一様】

[名・形動]普通と異なるところのないこと。また、そのさま。なみひととおり。「尋常一様な(の)努力では成功はおぼつかない」
[類語]ひと通り尋常一般普通一般的通常平常通例標準標準的平均的平凡並みつねただ当たり前在り来り常並み世間並み十人並み日常茶飯事ノーマルレギュラースタンダード

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