常(読み)ツネ

デジタル大辞泉 「常」の意味・読み・例文・類語

つね【常/▽恒】

1 いつでも変わることなく同じであること。永久不変であること。「有為転変の、―のない世」
2 いつもそうであること。ふだん。平素。「―と変わらぬ笑顔」「朝の散歩を―とする」
3 特別でないこと。普通。平凡。「―の人」
4 昔からそのようになるとされていること。当然の道理。ならい。ならわし。「栄枯盛衰は世の―」
5 他の例と同じように、その傾向のあること。とかくそうありがちなこと。「子に甘いは親の―」→常に
[類語](2)不断・日頃ひごろ・常日頃つねひごろ・常常・いつも・平生へいぜい・平素・日常・平常・通常・常時・常住・行住座臥ぎょうじゅうざが・常に・絶えず・終始・始終・ずっと・日夜・夜昼・絶え間ない・明け暮れ・明けても暮れても・寝ても覚めても・朝な夕な・昼夜をおかず・昼夜を分かたず・夜を日に継ぐ/(3)平凡・ありきたり・並・凡俗・俗・ありふれる・普通・一般・一般的・尋常・通常・平常・通例・標準・標準的・平均的・只ただ・当たり前・常並み・世間並み・十人並み・月並み・凡庸・日常茶飯・日常茶飯事・平平凡凡・常套・決まり・お定まり・平板・類型的・紋切り型・芸がない・ノーマル・レギュラー・スタンダード

じょう【常】[漢字項目]

[音]ジョウ(ジャウ)(呉) [訓]つね とこ とわ とこしえ
[学習漢字]5年
〈ジョウ〉
1 いつも変わらない。いつも同じ状態が続くこと。「常時・常任・常備・常用・常緑樹/経常・恒常・通常・日常・非常・平常・無常」
2 特別でない。普通の。「常識・常人/異常・尋常・正常」
3 いつも変わることのない道徳。「五常・綱常」
4 常陸ひたち国。「常州・常磐じょうばん」
〈とこ〉「常夏・常夜」
[名のり]つら・とき・ときわ・のぶ・ひさ・ひさし
[難読]常磐ときわ・常陸ひたち

とわ〔とは〕【▽常/永=久】

[名・形動]《古くは「とば」とも》いつまでも変わらないこと。また、そのさま。とこしえ。永遠。えいきゅう。「―の別れ」
[類語]永久・永遠・永世・常しえ・恒久・悠久・長久・経常・不変・常しなえ・悠遠・常磐・永劫・永代・久遠・無限・無窮・不朽・万代不易・万世不易・万古不易・千古不易・久しい・久しぶり・久方ぶり・久久・しばらくぶり

とこ【常】

[語素]名詞・形容詞などに付いて、いつも変わらない、永久不変の、などの意を表す。「常夏」「常世」「常めずらし」
[補説]古くは格助詞「つ」を介して名詞に付くこともあった。「常つ国」「常つ御門みかど」など。

とこ‐とわ〔‐とは〕【▽常】

[名・形動ナリ]《古くは「とことば」》永久に変わらないこと。また、そのさま。とこしえ。
「わが御門みかど千代―に栄えむと」〈万・一八三〉

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精選版 日本国語大辞典 「常」の意味・読み・例文・類語

つね【常・恒】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( 形動 ) 同じ状態で、長く時を経過すること。いつも変わらないでいるさま。また、そういうもの。永久不変。常住。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「鏡なく かくし都禰(ツネ)見む 面変りせず」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一六)
    2. 「如来の道地に墜ちず、之を弘むる者衆し。何の常(ツネ)か有らむ」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八)
  3. ② ( 形動 ) 日常普通に見られる行為や状態であること。いつもの通りであるさま。ふだん。平素。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「都禰(ツネ)知らぬ道の長手をくれくれと如何(いか)にか行かむ糧米(かりて)は無しに」(出典:万葉集(8C後)五・八八八)
  4. ③ ( 形動 ) 日常の事物や状態を基準にした価値判断で、普通の程度であるさま。特殊でないありふれた事物、状態。人並み。あたりまえ。
    1. [初出の実例]「薬師は 都禰(ツネ)のもあれど 賓客(まらひと)の 今の薬師 貴かりけり 賞(め)だしかりけり」(出典:仏足石歌(753頃))
    2. 「文の箱は多くは右に付く。手箱には軸に付くるも常の事なり」(出典:徒然草(1331頃)九五)
  5. ④ 絶え間をおかないで続けること。中断することがないこと。副詞的にも用いる。
    1. [初出の実例]「常(つね)止(や)まず通ひし君が使来ず今は逢はじとたゆたひぬらし」(出典:万葉集(8C後)四・五四二)
  6. ⑤ 変わることなく継続的に行なわれること。
    1. [初出の実例]「常の例に依りて、廿年(はたとせ)に一遍び、大宮新に仕へ奉りて」(出典:延喜式(927)祝詞)
  7. ⑥ 同類のものが共通してそなえている性質や傾向。
    1. [初出の実例]「十月(かみなづき)しぐれの常(つね)か吾が背子が宿の黄葉(もみちば)散りぬべく見ゆ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二五九)

とこ‐とわ‥とは【常とわ・恒とわ】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 古くは「とことば」 )
  2. ① いつまでも変わらないこと。永久不変であること。また、そのさま。とこしえ。
    1. [初出の実例]「これの世は 移り去るとも 止己止婆(トコトバ)に 栄残(さのこ)り坐(いま)せ 後の世のため 又の世のため」(出典:仏足石歌(753頃))
  3. ② いつも。つね。平生(へいぜい)。
    1. [初出の実例]「智慧の徳水鎮(トコトハ)に恒に盈てるに、百千の勝定咸く充満せり」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)

常の語誌

「とこ」は永久不変の意味の「常」で、「とば」の語源は不明であるが、平安時代以後「とは」からハ行転呼音をへて「とわ」の形となって「とこ」が脱落し、今日の「とわに」に至っている。「とはに」は平安時代以後現われ、今日では「とわ」に「永久」の意味が込められている。


じょうジャウ【常】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 尺度の名。一丈三尺(約三・九四メートル)をいう。中国では尋(ひろ)の倍の一丈六尺(約四・八五メートル)をいう。
    1. [初出の実例]「制。以二商布二丈六尺一為レ段。不レ得レ用レ常」(出典:続日本紀‐和銅七年(714)二月庚寅)
    2. [その他の文献]〔史記‐李斯伝〕
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 いつも。いつでも。
    1. [初出の実例]「てきは常かんしゃくじゃ」(出典:洒落本・月花余情(1746)燕喜篇)

とこ【常】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞およびこれに準ずる語句の上に、助詞「つ」を介して、あるいは直接に付く。また、形容詞の上に付いたり、副詞をつくったりする。常である、永久不変の、などの意味を表わし、その永遠性をほめたたえる気持をこめることもある。「とこつ御門(みかど)」「とこ夏」「とこ葉」「とこ初花」「とこ滑(な)め」「とこめずらし」「とこしくに」「とこしえ」「とことわ」など。
    1. [初出の実例]「天之常立神〈常を訓みて登許(トコ)と云ひ、立を訓みて多知(たち)と云ふ〉」(出典:古事記(712)上)

とわとは【常・永久】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 古くは「とば」 ) いつまでも変わらないこと。永久不変であること。また、そのさま。とことわ。とこしえ。つね。
    1. [初出の実例]「風ふけばとはに浪こすいはなれやわが衣手のかはく時なき」(出典:伊勢物語(10C前)一〇八)

とこ‐し【常】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「とこ(常)」の形容詞化 ) 常に変わらない。→とこしくに

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普及版 字通 「常」の読み・字形・画数・意味

常
常用漢字 11画

[字音] ジョウ(ジャウ)
[字訓] つね・かつて

[説文解字]
[金文]
[その他]

[字形] 形声
声符は(尚)(しよう)。〔説文〕七下に「下(かくん)なり」とし、重文として裳を録する。いまは区別して用いる字である。常は一定幅の巾。金文にを常時の意に用い、〔鼎(こつてい)〕に「必ず(つね)に厥(そ)の邑に處(を)らしめよ」、また〔因敦(いんしたい)〕に「永く典と爲せ」のように用いる。嘗と通用し、「かつて」と訓することがある。

[訓義]
1. つね、つねに、ひさしい。
2. さだめ、のり、かわらぬ。
3. ひごろ、おおむね。
4. 嘗と通じ、かつて。
5. 長さの単位、尋の倍、尋は左右の手を広げた長さ、尋常。
6. はた、太常。
7. 裳と通じ、もすそ。
8. 祥と通じ、忌明けの祭り。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕常 ツネニ・ツヒニ・スガタ・トキハ・レイ/非常 メヅラシ・ハナハダシ・アヤフシ/異常 ハナハダシ 〔立〕常 ノリ・トコトハ・コトハ・レイ・トコハカ・ココロヒク・トコシナヘ・モチヰ

[語系]
常・裳zjiangは同声。常は太常、天子の旗。裳は衣に対して下。いずれも常幅のものを用いる意であろう。・嘗zjiangも同声。金文にを常時の意に用いる。「嘗(かつ)て」の意は、おそらく嘗試することを終えることからの転義。常・曾の字をも、その義に用いる。

[熟語]
常位▶・常佳▶・常価▶・常娥▶・常懐▶・常格▶・常額▶・常玩▶・常軌▶・常紀▶・常▶・常義▶・常客▶・常旧▶・常居▶・常御▶・常業▶・常均▶・常経▶・常刑▶・常形▶・常計▶・常憲▶・常故▶・常語▶・常行▶・常骨▶・常祭▶・常歳▶・常算▶・常▶・常師▶・常祀▶・常次▶・常事▶・常時▶・常式▶・常識▶・常儒▶・常羞▶・常住▶・常準▶・常処▶・常賞▶・常状▶・常常▶・常情▶・常職▶・常心▶・常人▶・常数▶・常生▶・常制▶・常青▶・常勢▶・常饌▶・常然▶・常膳▶・常宗▶・常操▶・常則▶・常態▶・常談▶・常秩▶・常棣▶・常典▶・常途▶・常度▶・常套▶・常道▶・常馬▶・常班▶・常備▶・常品▶・常服▶・常分▶・常辟▶・常奉▶・常俸▶・常法▶・常民▶・常務▶・常用▶・常庸▶・常理▶・常緑▶・常倫▶・常類▶・常例▶・常礼▶・常隷▶・常論▶
[下接語]
異常・居常・経常・故常・五常・恒常・綱常・尋常・正常・大常・通常・天常・典常・日常・非常・不常・平常・無常・庸常・倫常

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世界大百科事典(旧版)内の常の言及

【旗】より

…歴史的には源氏の白旗,平家の赤旗が知られている。千葉常胤(ちばつねたね)が奥州追討にあたり源頼朝に献上した旗は,1丈2尺2幅で,その上部に伊勢大神宮,八幡大菩薩,下部に鳩2羽が白糸で縫いとられていたという(《吾妻鏡》)。幟旗指物【西垣 晴次】
[中国]
 〈はた〉を通称して,旗(き)あるいは旌旗(せいき)などというが,もともと〈旗〉〈旌〉ともに〈はた〉の一つの種類を表す語である。…

※「常」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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