デジタル大辞泉
「常」の意味・読み・例文・類語
とこ【常】
[語素]名詞・形容詞などに付いて、いつも変わらない、永久不変の、などの意を表す。「常夏」「常世」「常めずらし」
[補説]古くは格助詞「つ」を介して名詞に付くこともあった。「常つ国」「常つ御門」など。
とこ‐とわ〔‐とは〕【▽常】
[名・形動ナリ]《古くは「とことば」》永久に変わらないこと。また、そのさま。とこしえ。
「わが御門千代―に栄えむと」〈万・一八三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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つね【常・恒】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 形動 ) 同じ状態で、長く時を経過すること。いつも変わらないでいるさま。また、そういうもの。永久不変。常住。副詞的にも用いる。
- [初出の実例]「鏡なく かくし都禰(ツネ)見む 面変りせず」(出典:万葉集(8C後)一八・四一一六)
- 「如来の道地に墜ちず、之を弘むる者衆し。何の常(ツネ)か有らむ」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝承徳三年点(1099)八)
- ② ( 形動 ) 日常普通に見られる行為や状態であること。いつもの通りであるさま。ふだん。平素。副詞的にも用いる。
- [初出の実例]「都禰(ツネ)知らぬ道の長手をくれくれと如何(いか)にか行かむ糧米(かりて)は無しに」(出典:万葉集(8C後)五・八八八)
- ③ ( 形動 ) 日常の事物や状態を基準にした価値判断で、普通の程度であるさま。特殊でないありふれた事物、状態。人並み。あたりまえ。
- [初出の実例]「薬師は 都禰(ツネ)のもあれど 賓客(まらひと)の 今の薬師 貴かりけり 賞(め)だしかりけり」(出典:仏足石歌(753頃))
- 「文の箱は多くは右に付く。手箱には軸に付くるも常の事なり」(出典:徒然草(1331頃)九五)
- ④ 絶え間をおかないで続けること。中断することがないこと。副詞的にも用いる。
- [初出の実例]「常(つね)止(や)まず通ひし君が使来ず今は逢はじとたゆたひぬらし」(出典:万葉集(8C後)四・五四二)
- ⑤ 変わることなく継続的に行なわれること。
- [初出の実例]「常の例に依りて、廿年(はたとせ)に一遍び、大宮新に仕へ奉りて」(出典:延喜式(927)祝詞)
- ⑥ 同類のものが共通してそなえている性質や傾向。
- [初出の実例]「十月(かみなづき)しぐれの常(つね)か吾が背子が宿の黄葉(もみちば)散りぬべく見ゆ」(出典:万葉集(8C後)一九・四二五九)
とこ‐とわ‥とは【常とわ・恒とわ】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 古くは「とことば」 )
- ① いつまでも変わらないこと。永久不変であること。また、そのさま。とこしえ。
- [初出の実例]「これの世は 移り去るとも 止己止婆(トコトバ)に 栄残(さのこ)り坐(いま)せ 後の世のため 又の世のため」(出典:仏足石歌(753頃))
- ② いつも。つね。平生(へいぜい)。
- [初出の実例]「智慧の徳水鎮(トコトハ)に恒に盈てるに、百千の勝定咸く充満せり」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)
常の語誌
「とこ」は永久不変の意味の「常」で、「とば」の語源は不明であるが、平安時代以後「とは」からハ行転呼音をへて「とわ」の形となって「とこ」が脱落し、今日の「とわに」に至っている。「とはに」は平安時代以後現われ、今日では「とわ」に「永久」の意味が込められている。
じょうジャウ【常】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 尺度の名。一丈三尺(約三・九四メートル)をいう。中国では尋(ひろ)の倍の一丈六尺(約四・八五メートル)をいう。
- [初出の実例]「制。以二商布二丈六尺一為レ段。不レ得レ用レ常」(出典:続日本紀‐和銅七年(714)二月庚寅)
- [その他の文献]〔史記‐李斯伝〕
- [ 2 ] 〘 副詞 〙 いつも。いつでも。
- [初出の実例]「てきは常かんしゃくじゃ」(出典:洒落本・月花余情(1746)燕喜篇)
とこ【常】
- 〘 造語要素 〙 名詞およびこれに準ずる語句の上に、助詞「つ」を介して、あるいは直接に付く。また、形容詞の上に付いたり、副詞をつくったりする。常である、永久不変の、などの意味を表わし、その永遠性をほめたたえる気持をこめることもある。「とこつ御門(みかど)」「とこ夏」「とこ葉」「とこ初花」「とこ滑(な)め」「とこめずらし」「とこしくに」「とこしえ」「とことわ」など。
- [初出の実例]「天之常立神〈常を訓みて登許(トコ)と云ひ、立を訓みて多知(たち)と云ふ〉」(出典:古事記(712)上)
とわとは【常・永久】
- 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 古くは「とば」 ) いつまでも変わらないこと。永久不変であること。また、そのさま。とことわ。とこしえ。つね。
- [初出の実例]「風ふけばとはに浪こすいはなれやわが衣手のかはく時なき」(出典:伊勢物語(10C前)一〇八)
とこ‐
し【常】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「常」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の常の言及
【旗】より
…歴史的には源氏の白旗,平家の赤旗が知られている。千葉常胤(ちばつねたね)が奥州追討にあたり源頼朝に献上した旗は,1丈2尺2幅で,その上部に伊勢大神宮,八幡大菩薩,下部に鳩2羽が白糸で縫いとられていたという(《吾妻鏡》)。[幟][旗指物]【西垣 晴次】
[中国]
〈はた〉を通称して,旗(き)あるいは旌旗(せいき)などというが,もともと〈旗〉〈旌〉ともに〈はた〉の一つの種類を表す語である。…
※「常」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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