尋常(読み)ジンジョウ

デジタル大辞泉の解説

じん‐じょう〔‐ジヤウ〕【尋常】

[名・形動]《1尋と1常(1尋の2倍)で、普通の長さの意から》
特別でなく、普通であること。また、そのさま。あたりまえ。「尋常な(の)方法では完成しない」「精神状態が尋常でない」
見苦しくないこと。目立たず上品なこと。また、そのさま。しとやか。
「その姿から想像される通り手爪先(てづまさき)の―な女であった」〈漱石行人
態度がいさぎよいこと。すなおなこと。また、そのさま。「尋常に縛につけ」
尋常小学校」の略。
りっぱなこと。すぐれていること。また、そのさま。
「―に飾ったる小舟(せうしう)一艘」〈平家・一一〉

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大辞林 第三版の解説

じんじょう【尋常】

( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
〔「尋」は八尺、「常」はその二倍の意で、わずかな長さ・広さを表す〕
特に変わった点のない・こと(さま)。あたりまえ。並み。普通。 「 -の手段ではうまくいくまい」
特に悪い点がなく、普通な・こと(さま)。 「 -な顔立ち」
振る舞いなどが見事なこと。見苦しくないこと。また、そのさま。殊勝。 「いざ-に勝負しろ」 「 -に白状しろ」
人柄が素直で品のよい・こと(さま)。 「まことに-なる女房、装束もやさしき体なる/沙石 7
かなり立派なこと。かなりな程度のこと。また、そのさま。 「よき馬に-の鞍置きて/今昔 29
( 名 )
「尋常小学校」の略。 「 -三年」

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精選版 日本国語大辞典の解説

じん‐じょう ‥ジャウ【尋常】

〘名〙
① (「尋」は八尺、「常」は一丈六尺) わずかな長さ。わずかな距離。
※本朝文粋(1060頃)九・聖化万年春詩序〈大江朝綱〉「望龍顔於咫尺、奉鳳衡於尋常」 〔春秋左伝‐成公一二年〕
② (形動) 特別でない、ふつうのこと。また、そのさま。よのつね。つねなみ。なみ。通常。
※田氏家集(889‐898頃)下・閏十二月作簡同輩「暦倍尋常歳晩遅、却知三百六旬非」
※今昔(1120頃か)二八「一人として尋常なる者无し。皆襴表の衣を尻許まで脱下たり」 〔杜甫‐丹青引〕
③ (形動) 見苦しくないこと。すぐれていること。また、そのさま。
(イ) 目だたないで、なんとなく品の良いこと。また、そのさま。しとやか。
※古今著聞集(1254)一二「いとなまやかにて、こゑけはひよりはじめて、よに尋常なる男の」
※曾我物語(南北朝頃)七「五郎は、〈略〉色くろく、下種しくみゆる。十郎は、里に住みしかととも、色しろく、しんしゃうなり」
(ロ) ありさまがかなり立派なこと。また、そのさま。
※今昔(1120頃か)二九「吉き馬に尋常の鞍置て、水旱装束なる雑色三人許、舎人と具して将来(もてきたり)たり」
(ハ) けなげで立派なこと。いさぎよいこと。また、そのさま。殊勝。
※太平記(14C後)三「正成はや自害をしてけり。敵ながらも弓矢取て、尋常(ジンじゃう)に死たる者哉、と誉ぬ人こそ無りけれ」
(ニ) すなおでおとなしいこと。また、そのさま。
※謡曲・安宅(1516頃)「この上は力及ばぬこと、さらば最期の勤めを始めて尋常に誅せられうずるにて候」
※浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)下「尋常に召捕らるるか、踏付けて縄掛けふかと」
※暑中休暇(1892)〈巖谷小波〉二「学校でも評判の勉強家、尋常(ジンジャウ)二年級から何時も一番の席を占め」

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