尋常(読み)ジンジョウ

デジタル大辞泉 「尋常」の意味・読み・例文・類語

じん‐じょう〔‐ジヤウ〕【尋常】

[名・形動]《1尋と1常(1尋の2倍)で、普通の長さの意から》
特別でなく、普通であること。また、そのさま。あたりまえ。「尋常な(の)方法では完成しない」「精神状態尋常でない」
見苦しくないこと。目立たず上品なこと。また、そのさま。しとやか。
「その姿から想像される通り手爪先てづまさきの―な女であった」〈漱石行人
態度がいさぎよいこと。すなおなこと。また、そのさま。「尋常に縛につけ」
尋常小学校」の略。
りっぱなこと。すぐれていること。また、そのさま。
「―に飾ったる小舟せうしう一艘」〈平家一一
[類語](1ひと通り尋常一様平凡ありきたり凡俗ありふれる普通一般一般的通常平常通例標準標準的平均的つねただ当たり前常並み世間並み十人並み月並み凡庸日常茶飯日常茶飯事平平凡凡常套決まりお定まり平板類型的紋切り型芸がないノーマルレギュラースタンダード

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精選版 日本国語大辞典 「尋常」の意味・読み・例文・類語

じん‐じょう‥ジャウ【尋常】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「尋」は八尺、「常」は一丈六尺 ) わずかな長さ。わずかな距離
    1. [初出の実例]「望龍顔於咫尺、奉鳳衡於尋常」(出典:本朝文粋(1060頃)九・聖化万年春詩序〈大江朝綱〉)
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐成公一二年〕
  3. ( 形動 ) 特別でない、ふつうのこと。また、そのさま。よのつね。つねなみ。なみ。通常。
    1. [初出の実例]「暦倍尋常歳晩遅、却知三百六旬非」(出典:田氏家集(889‐898頃)下・閏十二月作簡同輩)
    2. 「一人として尋常なる者无し。皆襴表の衣を尻許まで脱下たり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二八)
    3. [その他の文献]〔杜甫‐丹青引〕
  4. ( 形動 ) 見苦しくないこと。すぐれていること。また、そのさま。
    1. (イ) 目だたないで、なんとなく品の良いこと。また、そのさま。しとやか。
      1. [初出の実例]「いとなまやかにて、こゑけはひよりはじめて、よに尋常なる男の」(出典:古今著聞集(1254)一二)
      2. 「五郎は、〈略〉色くろく、下種しくみゆる。十郎は、里に住みしかととも、色しろく、しんしゃうなり」(出典:曾我物語(南北朝頃)七)
    2. (ロ) ありさまがかなり立派なこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「吉き馬に尋常の鞍置て、水旱装束なる雑色三人許、舎人と具して将来(もてきたり)たり」(出典:今昔物語集(1120頃か)二九)
    3. (ハ) けなげで立派なこと。いさぎよいこと。また、そのさま。殊勝。
      1. [初出の実例]「正成はや自害をしてけり。敵ながらも弓矢取て、尋常(ジンじゃう)に死たる者哉、と誉ぬ人こそ無りけれ」(出典:太平記(14C後)三)
    4. (ニ) すなおでおとなしいこと。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「この上は力及ばぬこと、さらば最期の勤めを始めて尋常に誅せられうずるにて候」(出典:謡曲・安宅(1516頃))
      2. 「尋常に召捕らるるか、踏付けて縄掛けふかと」(出典:浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)下)
  5. じんじょうしょうがっこう(尋常小学校)」の略。
    1. [初出の実例]「学校でも評判の勉強家、尋常(ジンジャウ)二年級から何時も一番の席を占め」(出典:暑中休暇(1892)〈巖谷小波〉二)

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普及版 字通 「尋常」の読み・字形・画数・意味

【尋常】じんじよう(じやう)

かの距離。また、なみの、平凡な。漢・賈誼屈原を弔ふ賦〕彼の常の汚(をとく)(小さな川)、豈(あ)に能く舟の魚を容れんや。

字通「尋」の項目を見る

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