出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
北海道中央部、上川(かみかわ)総合振興局管内の上川町にある石狩川(いしかりがわ)の峡谷。大雪(たいせつ)火山の北側にあり、延長24キロメートルに及ぶ。大雪火山を構成する溶結凝灰岩を石狩川の上流部が侵食してつくったもの。断崖(だんがい)は100メートルに達し、柱状節理がおおむね垂直に発達している。奇岩も多く、断崖を流下する滝もみられる。周囲は針葉樹と広葉樹の混在する大原生林で、大雪山国立公園の代表的景勝地となっている。なかでも上流部の大函・小函(おおばここばこ)は屹立(きつりつ)する柱状節理の断崖を清流が洗い、函(川床の両側が切り立った崖(がけ)になっている地形)の名にふさわしい景勝地である。
峡谷の中央にある層雲峡温泉は道内屈指の温泉地で、単純温泉、硫黄泉などの泉質があり、高層ホテルが建ち並ぶ。峡谷探勝や登山の基地でもあり、黒岳へのロープウェーの基点ともなっている。峡谷に沿って旭川(あさひかわ)市と網走(あばしり)市を結ぶ国道39号が走っている。なお、層雲峡の名は大正時代に大町桂月(おおまちけいげつ)によって名づけられた。
[岡本次郎]
北海道中央部,大雪山の北麓に石狩川がつくった峡谷。上川支庁上川郡上川町にある。大雪山国立公園の一中心で,1921年に来遊した文人大町桂月の命名。凝灰岩が浸食されて高さ100m以上の岩壁をなし,垂直に柱状節理が発達する。混合林の大原生林に囲まれた峡谷は延長約20kmに及び,滝のかかる懸谷(けんこく)や奇岩が多く,なかでも上流部の大函(おおばこ)と小函(こばこ)は清流が洗う切り立つ谷壁が両側から迫って〈はこ〉の地形をつくる絶景である。峡谷の中央近くにある層雲峡温泉(単純泉,単純硫黄泉。47~90℃)は北海道の中でも屈指の温泉地で,泉量も豊富である。層雲峡の探勝の基地であると同時に大雪山系,石狩山系への登山基地でもあり,黒岳山腹との間にロープウェーも通じる。旭川と網走を結ぶ国道39号線が通る。
執筆者:奥平 忠志
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…混合林の大原生林に囲まれた峡谷は延長約20kmに及び,滝のかかる懸谷(けんこく)や奇岩が多く,なかでも上流部の大函(おおばこ)と小函(こばこ)は清流が洗う切り立つ谷壁が両側から迫って〈はこ〉の地形をつくる絶景である。峡谷の中央近くにある層雲峡温泉(単純泉,単純硫黄泉。47~90℃)は北海道の中でも屈指の温泉地で,泉量も豊富である。…
…これらの生物群は北アメリカ・アリューシャン系,大陸系,本州系の3系統が入り混じっている学術的にも貴重なもので,裏大雪と呼ばれる十勝川源流域を含む一帯が天然保護区域(特天)となっている。 大雪山国立公園の中心をなし,北麓には層雲峡温泉があり,1967年の黒岳中腹と結ぶロープウェー開通後は観光客が激増した。また,旭岳の西側斜面の標高1050m地点には勇駒別(ゆこまんべつ)温泉があり,旭岳の爆裂火口の西の姿見の池付近までロープウェー(1968完成)が通じている。…
※「層雲峡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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