山彦(読み)やまびこ

日本大百科全書(ニッポニカ)「山彦」の解説

山彦
やまびこ

山や谷間などで音が反射して返ってくること。木霊(こだま)、エコーなどともいう。山あいで大声でよぶと、その声が山肌などで反射して、時間が多少ずれて戻ってくる現象である。音波が空気中を進行するとき固体に当たると、光波と同じような法則に従って反射する。この場合原音が短く、かつ反射面が音源よりかなり遠方にあるときに山彦ははっきり聞こえる。反射面が不規則な形をしていると、反射が複数でおこり音がいくつも聞こえたり、または長引いて分明を欠くことがある。音波の反射のおこるのは、かならずしも固体面とは限らない。森の境界や雲の面でも反射する。たとえば砲声は晴れた日には短く鋭く聞こえるが、雲が低く垂れ込めているときには雲に反射して一発の砲声がいくつにも聞こえ、いわゆるとどろくという感じとなる。

 地形上とくに反射がよくおこって山彦が明瞭(めいりょう)に出る所がある。また鉄橋の下の道路などで大声を出すと、わーんと反響するのはよくみられる現象である。山彦ということばは、もともと山の神の意味で、山の神がえる声という伝承に由来するといわれる。

[大田正

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精選版 日本国語大辞典「山彦」の解説

やま‐びこ【山彦】

[1] 〘名〙 (「やまひこ」とも)
① 山の神。山の。また、山の妖怪。やまこ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕
② 山や谷などで、出した声や音が反響すること。また、その声や音。もと①が真似て答えるものとしたところからいう。こだま。
万葉(8C後)六・九七一「山彦(やまびこ)の 応へむ極み 谷蟇(たにぐく)の さ渡る極み」
源氏(1001‐14頃)手習「ありつるやともりのをのこを呼ぶ。山ひこの答ふるもいと恐ろし」
[2] 河東節の三味線弾きの名乗。初代山彦源四郎は、初代河東に協力して河東節のを固めた。

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百科事典マイペディア「山彦」の解説

山彦【やまびこ】

音波が山や壁に反射し再び聞こえる現象。こだま(谺)とも,地方により山の小僧天邪鬼(あまのじゃく),呼子鳥(よびこどり)ともいう。こだまは木霊(こだま),山彦は山の男の意で,反響を上記の山の霊の声としたもの。英語ではエコーといい,ギリシア神話のエコーに由来。
→関連項目妖怪

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デジタル大辞泉「山彦」の解説

やまびこ[列車]

東北新幹線で運行されている特別急行列車愛称。昭和57年(1982)運行開始。多くが宇都宮那須塩原などを経由して東京・盛岡駅間を結ぶ。山形新幹線つばさ」を連結する編成もある。

やま‐びこ【山×彦】

山の谷などで起こる声や音の反響。もと、山の神が声音をまねるのだと信じられていた。こだま。
山の神。山霊。
[類語]こだま

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世界大百科事典 第2版「山彦」の解説

やまびこ【山彦 echo】

大気中を伝わる音波が固体面によって反射され,音源の方向に戻って来る現象。こだま,エコーともいう。一般には野外で音波が山体,木立家屋など大規模な地物で反射して来る場合にいい,室内で起こる同種の現象は反響(場合によっては残響)と呼ぶ。 山彦の現象は,自然現象ではなく,山谷に人以外の者がいてそれが人の声をまねしているのだと考えられていた。茨城では〈あまのじゃく(天邪鬼)〉がまねをするのだといい,静岡では〈山の小僧〉,鳥取では呼子(よぶこ)とか呼子鳥(よぶこどり)というものが声を発しているのだと伝えている。

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世界大百科事典内の山彦の言及

【反響】より

残響と同じ意味で用いられることもあるが,音響学的には継続時間の短い音を出したとき,その反射音が直接音と時間的に分離して1回または繰り返して多数回聞こえる現象をいう。山彦や鳴竜(フラッターエコー)がその典型的な例で,前者は叫び声などが対向する山で反射され,時間をおいて聞こえる現象であり,後者は対向する二つの壁面の間で反射が繰り返されるために生ずる現象である。鳴竜としては日光東照宮本地堂が有名で,竜の絵がかかれた天井(わずかに凹面となっている)の下で拍手をすると,天井と床との間で多重反射が生じ,ブルルル……という音が聞こえる。…

※「山彦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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