デジタル大辞泉 「崩」の意味・読み・例文・類語 ほう【崩】[漢字項目] [常用漢字] [音]ホウ(呉)(漢) [訓]くずれる くずす1 くずれる。くずれおちる。「崩壊・崩落/潰崩かいほう・土崩瓦解どほうがかい」2 天子・天皇が死ぬ。「崩御・崩殂ほうそ」[難読]雪崩なだれ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「崩」の意味・読み・例文・類語 くずれくづれ【崩】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「くずれる(崩)」の連用形の名詞化 )① 山、崖、または、建造物などが部分的にこわれ落ちること。また、全体がばらばらになること。また、そのところ。〔新撰字鏡(898‐901頃)〕[初出の実例]「わらはべのふみあけたる築地のくづれより通ひけり」(出典:伊勢物語(10C前)五)② 積まれたり、束ねられたりして整った状態にあったものが乱れること。また、そのような状態のもの。[初出の実例]「梁の崩(クヅレ)や案山子の古笠に堰かれて」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋)③ 秩序立っていたり正常であったりしたものが乱れること。また、そのような状態。[初出の実例]「精神のくづれをからだにもあらはさないと済まないやうな恰好で」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉一〇)④ 集まっていた人が散ること。会合などが終わって無秩序な状態になること。[初出の実例]「生花の会、俳諧の評物、どこぞの定会のくづれから女郎買へ引込」(出典:洒落本・古今三通伝(1782))⑤ 戦いで整った陣形が乱れること。潰散(かいさん)。[初出の実例]「宝剣は平家の二位の尼(あま)の、八嶋合戦のくづれに此の剣をさいて」(出典:玉塵抄(1563)一一)⑥ おちぶれはてること。なれのはて。零落。みじめな姿。[初出の実例]「丁半のくずれが駈っこみ訴訟にゆくやうだ」(出典:黄表紙・孔子縞于時藍染(1789)下)「いくら金が有るとって質屋のくづれの高利貸が何たら様だ」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉二)⑦ 取引市場で、相場が急に下落することをいう。〔新時代用語辞典(1930)〕[ 2 ] 〘 造語要素 〙 ( 身分や職業などを表わす語に添えて ) 以前そうであったが、今はそれ以下に落ちぶれていることを表わす。また、なろうと志して、それになれなかったことを表わす。[初出の実例]「この男は、〈略〉禅坊主くづれであると同時に茶人志願くづれである」(出典:二つの話(1946)〈井伏鱒二〉) くずしくづし【崩】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「くずす(崩)」の連用形の名詞化 )① くずすこと。また、そのもの。② 「くずしがき(崩書)」の略。[初出の実例]「真岡木綿に町名(てうめう)くづしを」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉四)③ 模様などを簡略化すること。また、そのもの。④ 謡曲で、ある謡の音階の途中で、その基調を変えて、調子を約半音低くすること。⑤ 略した髪の結い方。本略崩しなど。[初出の実例]「麻結に数種有、銀杏と曰、〈略〉曰苦追志(〈注〉クヅシ)」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)二)⑥ 「くずしかまぼこ(崩蒲鉾)」の略。[初出の実例]「くつし二十五枚、卅五文」(出典:大乗院寺社雑事記‐寛正六年(1465)六月晦日)[ 2 ] 〘 接尾語 〙 名詞について、その名詞の意味する形を原形として、それとは形や調子の多少異なることを示す。多く歌謡や文様などにいう。「木遣くずし」 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通 「崩」の読み・字形・画数・意味 崩常用漢字 11画(旧字)11画 [字音] ホウ[字訓] くずれる・たおれる・みまかる[説文解字] [字形] 形声声符は(朋)(ほう)。〔説文〕九下に「山壞(やぶ)るるなり」とあり、山崩れをいう。そのとどろく音の擬声語。〔説文〕古文の字は(ふ)に従い、神の陟降するとされる聖地の土崩をいう語であろう。〔詩、小雅、天保〕「南山の壽の如く 騫(か)けずれず」は祝頌の辞。崩はまた天子の死去にもいう。[訓義]1. くずれる、山がくずれる、くずれたおれる。2. こわれる、やぶれる、ゆるむ。3. しぬ、かくれる、みまかる。天子の死をいう。[古辞書の訓]〔名義抄〕 クヅル・シヌ・アツシ 〔字鏡集〕 ヤブル・クヅル・アツシ・シヌ[熟語]崩隕▶・崩雲▶・崩解▶・崩壊▶・崩潰▶・崩角▶・崩毀▶・崩傾▶・崩欠▶・崩▶・崩摧▶・崩弛▶・崩沮▶・崩城▶・崩擾▶・崩析▶・崩▶・崩▶・崩喪▶・崩▶・崩湍▶・崩▶・崩墜▶・崩▶・崩騰▶・崩波▶・崩剝▶・崩迫▶・崩沸▶・崩乱▶・崩淪▶・崩浪▶[下接語]潰崩・壊崩・騫崩・山崩・弛崩・崩・大崩・崩・土崩・分崩 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報