(読み)カサ

デジタル大辞泉 「嵩」の意味・読み・例文・類語

かさ【×嵩】

物の大きさ、分量体積容積。「荷物が張る」「水のが増す」
高い所。
「敵の行くさき難所なる山路にては、―より落とし懸けて」〈太平記・一五〉
威厳貫禄重み
近代在家の風情皆かはりて、心の―もなく、器量も弱く」〈沙石集・四〉
[類語]容積容量体積質量かずすう数量分量物量ボリューム数値

すう【嵩】[漢字項目]

人名用漢字] [音]スウ(慣) シュウ(漢) [訓]たかい かさ
〈スウ〉
山が高くそびえる。「嵩高すうこう
中国の山の名。「嵩山
〈かさ(がさ)〉「嵩高かさだか年嵩荷嵩水嵩
[名のり]たか・たかし・たけ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「嵩」の意味・読み・例文・類語

かさ【嵩】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 重なった物の高さや大きさ。物の分量や容積。俗な言い方として「がさ」とも。
    1. [初出の実例]「かさたかくいれて重き物をすゑたれば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
  3. ( 重なれば高くなるところから ) 高い所。上のほう。また、上手。行き先。
    1. [初出の実例]「中差取て打番(うちつが)ひ、轟(とどろき)懸てかさへ打て廻さんとしけるを」(出典:太平記(14C後)九)
  4. 重み、威厳、貫祿。また、才能、器量。
    1. [初出の実例]「人のかさもなくして、只世に随ひ謟(へつらひ)て」(出典:米沢本沙石集(1283)四)
  5. 和歌能楽などで、重みと幅。たくましさのある美をいう。
    1. [初出の実例]「か様に付候はんには、只恐怖したる計にて、かさのあがる事はあるまじき也」(出典:九州問答(1376))
  6. 相手を圧迫する勢い。また、その位置。→嵩から出る嵩に懸かる

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「嵩」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 13画

(異体字)
11画

[字音] スウ
[字訓] たかい・かさむ

[説文解字]

[字形] 会意
山+高。〔説文新附〕九下に「中岳、嵩高山なり」とあり、字はまたに作る。〔詩、大雅、高〕に「高なるは維(こ)れ嶽」という嶽(岳)は、嵩山。卜辞に「岳」としてみえ、山上に羊頭の象を加える。岳神伯夷は、牧羊族であった姜姓四国(甫・申・許・斉)の祖神である。

[訓義]
1. 山の名、嵩岳嵩高山、また中岳という。
2. たかい、けわしい、そばたつ。
3. 国語で、「かさばる」「かさむ」とよむ。

[古辞書の訓]
名義抄〕嵩 サカシ・タカシ 〔字鏡集〕嵩 ミネ・タカシ・タケ・ウヤマフ・メヅラシ・トホシ・フト・タケヌ・タケタリ・ナガシ・タカフ・アガム・ムネ・ムカフ・カミ・オゴソカニ・タフトシ

[語系]
嵩・siongと崇dzhiumは声義近く、古く岳とよばれていた中岳は、漢の武帝が、崇高山と名づけ、霊帝のとき、また嵩高山と改めたというが、もともと声義の通ずる字である。

[熟語]
嵩崖・嵩岳嵩呼嵩厚嵩岫・嵩峻嵩巒
[下接語]
呼嵩・登嵩・封嵩・望嵩

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