左院(読み)サイン

デジタル大辞泉 「左院」の意味・読み・例文・類語

さ‐いん〔‐ヰン〕【左院】

明治4年(1871)の官制改革で太政官内に設置された機関立法についての諮問機関で、官選議員構成。同8年廃止

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精選版 日本国語大辞典 「左院」の意味・読み・例文・類語

さ‐いん‥ヰン【左院】

  1. 〘 名詞 〙 明治四年(一八七一)太政官内に設置された立法上の諮問機関。右院とともに正院従属。官選の議員で構成され、議長参議兼任、または一等議員から任命憲法草案をはじめ、刑法治罪法税法商法などの起草に従事した。同八年廃止。〔太政官三八六号‐明治四年(1871)〕

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百科事典マイペディア 「左院」の意味・わかりやすい解説

左院【さいん】

1871年の太政官制改革で新設された立法上の諮問機関。1873年の左院規則改正で立法審議機関としての性格がより明確に規定され,集議院吸収,国憲案を作成することを主要任務とした。1875年元老院の設置により廃止。→正院右院
→関連項目江藤新平小室信夫太政官(明治時代)民撰議院設立建白

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「左院」の意味・わかりやすい解説

左院
さいん

明治4 (1871) 年7月 14日に廃藩置県が断行されたのち,同 29日の官制改革で太政官内に正院右院とともに設けられた立法上の諮問機関。 1873年以後,集議院を吸収したが,集議院がとかく藩論を代表するものとされたのに対し,左院は官選の議員 (のちに議官) による「諸立法の事を議する所」であった。のちに一般立法から離れて主として憲法制定機能が重視され,また保守的な民法草案も作っている。 75年4月 14日に廃止され,元老院がこれに代った。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「左院」の解説

左院
さいん

明治初期の立法諮問機関。1871年(明治4)7月,廃藩置県後の中央政治機構改革により正院・右院とともに設置。集議院の公議機関としての機能を引き継ぎ,官選の議員(議官)をおいて立法について合議した。翌年,正院の命をうけて国会開設や議員選挙の具体案を答申したが実現しなかった。73年6月集議院の廃止により建白受理機能も吸収し,憲法(国憲)・民法の編纂の職掌が加わった。75年4月廃止となり,元老院が設立された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「左院」の解説

左院
さいん

明治初年,太政官内の立法上の諮問機関
1871(明治4)年,廃藩置県後の太政官制改革により設置され,右院とともに正院に従属。法規の制定・改正をその任務とし,憲法草案・刑法・商法などの起草に着手した。'75年元老院設置により廃止。

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世界大百科事典(旧版)内の左院の言及

【元老院】より

…同年1月の大阪会議で立憲政体への移行の合意が成立し,4月に漸次立憲政体を立てるとの詔勅が発せられ,立法機関として元老院,地方官会議,司法機関として大審院が設置された。立法機関としては法典編纂を主とした左院があったが,これが廃止されるとともに,欧米諸国の議会の上院になぞらえて元老院が設けられたのである。元老院は議長,副議長および議官からなり,書記官,書記生が事務を分掌した。…

【太政官】より

…ついで廃藩置県(1871)後の官制改革により同制度は3院8省制に改められた。すなわち天皇臨席のもとで政務をとる正院,立法府に相当する左院,各省の高官が事務を審議する右院の下に,大蔵・兵部・宮内・外務の4省と70年に新設の工部省,それに神祇・文部・司法の3省を加えて,合計8省が設置された。その後,征韓論による政府内部の抗争の影響で太政官制の部分的改革があり,参議が各省の長官を兼任するようになり,75年には左右両院に代わって元老院と大審院が開設され,正院はその2年後に廃止された。…

※「左院」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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