(読み)エン

デジタル大辞泉 「延」の意味・読み・例文・類語

えん【延】[漢字項目]

[音]エン(呉)(漢) [訓]のびる のべる のばす ひく
学習漢字]6年
長くのびる。のばす。「延焼延長延命圧延蔓延まんえん
時間予定より長びく。「延引延滞順延遅延
引き入れる。招く。「延見
[名のり]すけ・すすむ・ただし・とお・なが・のぶ・のぶる
難読延縄はえなわ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「延」の意味・読み・例文・類語

えん【延】

  1. 〘 名詞 〙
  2. えんおん(延音)」「えんげん(延言)」の略。
  3. 「延長」の意。長いこと。
    1. [初出の実例]「英の一『エーカー』は、我四段二十歩に当る、五『エーカー』にて、我二町に比較し、只百歩の延と知るべし」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「延」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
7画

[字音] エン
[字訓] はかみち・のびる・のばす・つらなる

[説文解字]

[字形] 会意
(乏)+廴(いん)。〔説文〕二下に「長行なり」とし、丿(えい)声とするが、字は乏に従う。乏は死者。廴は廷のような儀礼の場所。おそらく墓室に通ずる羨道(えんどう)の意で、羨の本字。羨は仮借字であろう。ゆえに長延の意がある。

[訓義]
1. はかみち。
2. ながい、のびる、のばす、とおい。
3. つらなる、およぶ。

[古辞書の訓]
名義抄 ノブ・ヒク・オヨブ・シリゾク・ミチビク・ヒサシ・チカヅク・ホヒコル・ススム・アヒダ・トホシ・ナガシ・ヒログ 〔字鏡集〕 ツラナル・ヒク・ツヅク・ススム・ナガシ・ホヒコル・オヨブ・ヒログ・イノチナガシ・ヒサシ・ミチビク・チカヅク・シリゾク・アヒダ

[声系]
〔説文〕に声として(誕)・など九字を録する。の声義を承ける字。

[語系]
jian、演jyen、引jienは声義が近い。は墓室への羨道、演・引は弓矢に関する字である。

[熟語]
延引・延飲・延延・延縁延款・延期延企・延久・延及延仰延頸・延迎・延結・延見延顧・延亘・延視・延首・延寿・延世・延声・延接延薦・延属・延滞延佇延竚延眺・延長・延道・延入・延年延納延慕延袤・延望・延・延綿・延誉延攬・延留・延齢・延路
[下接語]
永延・宛延・淹延・遐延・久延・迎延・広延・周延・順延・招延・親延・接延・遷延・薦延・遅延・佇延・登延・賓延・曼延延・踰延・連延

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「延」の意味・わかりやすい解説

延 (のび)

中世において枡の大小から生じる計量上の増加分。私枡の種類が急激に増加した平安時代末期から鎌倉・室町時代にかけて,大きな枡で量った年貢米等を小さな枡で再計量する必要が少なくなかった。例えば各地の荘園からの年貢米等をそれぞれ異なる量の荘枡で収納した領主は,これを消費にあてるためには,それらより小さな領主枡あるいは下行(げぎよう)枡で統一的に量り直さなければならなかった。このようにして生じた計量上の増加分を,一般に〈延〉,ときには〈交分(きようぶん)〉と称した。そしてこれらは,現地において計量に関与した荘官,代官等の給与にあてられた例もある。さらにまたきわめてまれな例ではあるが,荘枡が領主側の枡より容量が少ないために,枡目が減少する場合もあった。このような減少分は,とくに〈縮(ちぢみ)〉と呼んだ。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android