張良(中国)(読み)ちょうりょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「張良(中国)」の意味・わかりやすい解説

張良(中国)
ちょうりょう
(?―前168)

中国、漢の高祖劉邦(りゅうほう)の功臣。祖父、父は韓(かん)王の宰相であり、韓の貴族の家に生まれる。紀元前230年、韓が秦(しん)に滅ぼされると、韓のために家財を費やして始皇帝の暗殺を企てるが、失敗して下邳(かひ)(江蘇(こうそ)省)の地に逃れた。のちに沛公(はいこう)劉邦が挙兵すると、逃亡中に橋上で会った老父から学んだ太公望の兵法を説いて従い、影の画策者として沛公軍を支えた。項羽(こうう)との「鴻門(こうもん)の会」において沛公を危急から救ったことはよく知られている。その後、留侯に封ぜられ、沃野(よくや)千里の要害の地である関中に都を置くことを献策する。司馬遷(しばせん)の『史記』には、蕭何(しょうか)、曹参(そうさん)、陳平、周勃(しゅうぼつ)らとともに開国の功臣として別格に扱われ、諸侯の系譜を述べた「世家(せいか)」に伝記が収められている。

[鶴間和幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android