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当事者適格 とうじしゃてきかくSachlegitimation; Prozesslegitimation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

当事者適格
とうじしゃてきかく
Sachlegitimation; Prozesslegitimation

民事訴訟において審判の対象となっている権利または法律関係の存否について,判決を受けるために必要な資格。訴訟実施権とも称される。通常は権利関係について対立する利益をもつ者が適格者であるが,特別な事由から本来の適格者に代って第三者が当事者適格を有する場合がある (法定訴訟担当) 。当事者適格がない場合には,訴えが不適法として許されない。給付訴訟あるいは形成訴訟については,当事者適格の有無はあまり問題とならないが,確認訴訟においては,確認の利益の有無が当事者適格を決定するので,具体的に問題となることが多い。当事者適格は訴訟要件なので,その存否は裁判所が職権で調査する。なお労働法上,労働組合の当事者適格という問題がある。

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大辞林 第三版の解説

とうじしゃてきかく【当事者適格】

民事訴訟法上、特定の権利関係について、訴訟当事者として有効に訴訟を追行し本案判決を受けることができる資格。訴訟追行権。訴訟実施権。原告適格。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

当事者適格
とうじしゃてきかく

民事訴訟において、訴訟物たる権利または法律関係(請求)について判断した本案判決(門前払いではない判決)を受けるために訴訟当事者に要求される資格をいう。訴訟要件の一つ。訴訟事件の内容とは無関係な、一般に訴訟の当事者となれる資格(たとえば法人であること)をさす当事者能力とは別の概念である。[本間義信]

当事者適格を有する場合

本案判決を受けるために当事者として訴訟追行できる権能を訴訟追行権といい、これを有するものを正当な当事者という。訴訟は、争いのある権利または法律関係の存否について裁判所が判断することによって、紛争を解決することを目的とする。現実の当事者間で、本案判決を出しても紛争が解決しないときは、本案判決をしてもむだであるから、裁判所は本案判決をせず(権利関係について判断せず)、訴えを不適法として却下する。では、どのような場合に当事者適格があるのか。一般的には、訴訟物たる権利関係について法的利害関係が対立している者である。給付の訴えでは、自己の給付請求権を主張する者が正当な原告であり、その義務者と主張される者が正当な被告である(つまり、これらの者が当事者適格を有する)。確認の訴えでは、紛争を解決するために請求について判決による確認を必要とする(これを確認の利益という)者が正当な当事者である。形成の訴えでは、法規によって当事者となるべき者が定められているのが通常である。[本間義信]

第三者の訴訟担当

一般的には、当事者適格は訴訟物たる権利関係について法的利害関係をもつ主体に認められるが、本来の利益帰属主体(本人)のかわりにあるいはこれと並んで第三者に当事者適格が認められる場合がある。これを、第三者の訴訟担当という。これには、法律の規定により、利益帰属主体の意思に関係なく、第三者が訴訟追行権を有する場合(法定訴訟担当)と、利益の帰属主体の意思(授権)に基づいて一定の請求について訴訟追行権が与えられる場合がある(任意的訴訟担当)。前者はさらに以下の二つの場合がある。(1)法律上財産の管理処分権能が本来の主体以外の第三者に付与されて、それに基づいて第三者が訴訟追行権をもつ場合。たとえば、破産者の財産関係の訴訟についての破産管財人(破産法78条1項・80条)、株主代表訴訟(責任追求等の訴え)における株主等(会社法847条)である。(2)法律上ある職務にあることによって一定の請求についての訴訟追行権が与えられる場合。たとえば、人事訴訟において本来の適格者の死亡後当事者とされる検察官(人事訴訟法12条3項)などである。後者には、法律上認められている者として、共同の利益を有する多数者のなかから全員のために当事者に選ばれた者すなわち選定当事者(民事訴訟法30条)と、個別に本来の利益主体からの授権により当事者となる場合がある。選定当事者の場合、選定が行われると、被選定者が他人のためにも当事者になり、選定者は当然に訴訟から脱退する。係属中の訴訟の原告または被告と共同の利益を有する者で当事者でない者は、その原告または被告を自己のためにも原告または被告となるべき者として選定することができる。第三者の訴訟担当の場合、その訴訟の判決の効力は、当事者となっていない者すなわち担当された者(本来の主体)にも及ぶ(同法115条1項2号)。[本間義信]

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世界大百科事典内の当事者適格の言及

【訴訟当事者】より

…何を基準として確定するかにつき,当事者らしい行動とする説,当事者たる意思とする説,訴状の表示とする説(通説),訴訟開始時には訴状の表示を基準とし,判決確定後は前訴の全訴訟過程を総合して判断すべしとする説が対立している。 訴訟当事者たるためには当事者能力と当事者適格がなければならない。当事者能力は,具体的紛争を離れておよそ一般的に自己の名で訴訟をする資格であり,原則として民法の権利能力とパラレルに考えられている。…

【当事者能力】より

…当事者能力は,実体法上の権利能力(権利義務の主体となりうる一般的能力)とパラレルな概念であり,具体的事件を離れて抽象的にだれが訴訟の当事者となれるか,の問題である。その点で,特定具体的紛争を有効適切に解決するにはだれをその訴訟の当事者とすればよいか,の問題である当事者適格とは異なる。当事者能力は,このように民事訴訟における原告または被告となりうる一般的能力を意味するが,転じて,ある者を交渉の相手方として扱ってよいか,その者が組織上独立に決断しうるか否かを問題とする場合にも用いられる。…

※「当事者適格」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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