(読み)がた

精選版 日本国語大辞典 「形」の意味・読み・例文・類語

がた【形】

〘名〙 (「がだ」とも。「おんながた(女形)」の略) 歌舞伎の若い女形おやま
※南水漫遊拾遺(1820頃)四「がだ 若女形」
※歌舞伎・是評判伊吾同餠(1869)「五段目鉄砲場は、義兵衛さんのお軽のがたで、〈略〉おそのさんの与一兵衛といふのはどうだ」

ぎょう ギャウ【形】

〘名〙 姿。かたちけい
金槐集(1213)雑「大日種子より出でてさまや形さまやきゃう又尊形となる」

がだ【形】

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デジタル大辞泉 「形」の意味・読み・例文・類語

かた【形/型】

(形)物の姿や格好。形状。かたち。「洋服の―が崩れる」「髪の―をととのえる」
(形)証拠に残すしるし。保証のしるし。抵当。「カメラを借金の―に置く」
(型)ある物のかたちを作り出すためのもの。鋳型、型紙などの類。「石膏せっこうで義歯の―を取る」
形・型)芸能や武道などで、規範となる動作・方式。「能楽の―」「投げの―」
(型)きまったやり方。伝統的なしきたり。慣例。「―を破る」「―どおりのあいさつ」
(型)事物を類別するとき、その個々に共通した特徴を表している形式、形態。タイプ。「血液の―」「古い―の人間」
(型)きまった大きさ。サイズ。「靴の―が大きすぎる」
(形)空手の競技種目の一。相手の動きを想定し、攻撃と防御の技を一連の流れの中で組み合わせた演武。個人戦と団体戦があり、審判の採点によって勝敗が決まる。→組手3
物に似せて作った絵・図・像など。
「馬の―かきたる障子さうじ」〈・九九〉
10 図柄。模様。
「着る物の―にてばし侍るか」〈仮・伊曽保・下〉
11 もと何かがあったことのしるし。あとかた。形跡。
「―もなく荒れたる家の」〈・蓬生〉
12 占いに現れたしるし。うらかた。
「生ふしもとこの本山のましばにもらぬ妹が名―に出でむかも」〈・三四八八〉
13 (「がた」の形で)
㋐(形)名詞の下に付いて、その物に似たかたちをしていることを表す。「卵―」「ピラミッド―」
㋑(型)名詞と形容詞の語幹の下に付いて、ある性質・特徴・形式をもっていることを表す。「最新―」「ハムレット―」「うるさ―」
かたち[用法]
[類語](1かたち形状外形格好外形姿すがた姿形すがたかたちなりなりかたち様子身なりなりふり服装風体ふうていスタイル姿勢姿態体勢振りポーズ身振り所作しぐさ素振り思わせ振り演技ジェスチャー/(2抵当担保引き当てしち/(5定式形式定型定法じょうほう定例じょうれい通例常道作法定石パターン/(6類型型式かたしき様式体裁フォーム年式書式フォーマットスタイルモデルパターンタイプ類型定型ひな形方式手本見本サンプルスタンダードプロトタイプ

かたち【形/容】

見たり触れたりしてとらえることができる、物の姿・格好。物体の外形。「山の美しい―」「影も―も見えない」

㋐まとまり整った状態をもって表にあらわれた、物事の姿。形態。「合議制の―をとる」「文章の―を整える」
㋑実質に対して、表面上の姿・格好。外形。外観。また、体裁、名目。「―にこだわる」「代表という―で出席する」「―だけの夫婦」
物事の結果としての状態。「どっちつかずの―になる」
人に対する姿勢や態度。「―を改めて話す」
(「貌」とも書く)容貌ようぼう。顔だち。器量。また、容姿。「姿―の美しい人」
美しい容貌。また、美貌の人。かたちびと。
「―を好ませ給ひて」〈栄花・殿上の花見〉
[用法]かたち・かた――「かたち」は「三角や四角などいろいろな形の積み木」「顔形」のように、物体の外から見える格好・姿・輪郭を表す。◇「かた」は「洋服の型を取る」「柔道の型を見せる」「新しい型の自動車」「血液型」など、一定のきまった大きさや形態、やり方、性質についていう。◇「かたちばかりのお祝い」「型にはまる」「型通りのあいさつ」「型破りの人物」など、慣用的表現でも使い分けがある。◇用法の似た外来語に「パターン」があり、「日本人の思考パターン」「若者の行動パターン」「ワンパターン」「テストパターン」のように、類型、模様、がら意味として用いられる。◇「かたが崩れる」「髪のかたをととのえる」「借金のかた」のように「形」を「かた」と読む場合については「かた(形・型)」を参照
[類語]スタイル体形かた格好外形外見外面外貌輪郭形状姿すがた姿形すがたかたちなりなりかたち様子身なりなりふり服装風体ふうていスタイル姿勢姿態体勢振りポーズ身振り所作しぐさ素振り思わせ振り演技ジェスチャー

けい【形】[漢字項目]

[音]ケイ(漢) ギョウギャウ)(呉) [訓]かた かたち なり
学習漢字]2年
〈ケイ〉
外に現れた姿。かたち。「形式形状形態円形外形原形固形語形象形図形整形地形美形変形方形無形
物事の様子。「形勝形勢
体。肉体。「形骸けいがい形体
外に現れる。かたちづくる。「形成形容
〈ギョウ〉かたち。すがた。「形相異形印形人形裸形
〈かたち〉「顔形姿形
〈かた(がた)〉「形見大形手形花形雛形ひながた
[名のり]すえ・なり・より
[難読]女形おやま

なり【形/態】

《動詞「な(成)る」の連用形から》
物の形。形状。「―の良い花活け」
からだつき。体格。「大きな―をしてみっともない」
服装。身なり。なりふり。「学生らしい―をする」「―ばかりを気にする」
他の語の下に付いて、接尾語的に用いられる。
㋐動詞の連用形に付いて、…するまま、…するとおり、などの意を表す。「人の言い―になる」
㋑名詞または形容詞の連体形に付いて、そのものにふさわしい、また、それに応じて、という意を表す。「弟―の考え」「狭ければ狭い―に住むしかない」
㋒名詞に付いて、…の形という意を表す。「弓―になる」
㋓動詞の連体形について、…したとたんに、…するとすぐ、の意を表す。「見る―顔色を変えた」
[類語]身なり姿恰好外形外見外面外貌輪郭かたち形状姿形すがたかたちなりかたち様子身なりなりふり服装風体ふうていスタイル姿勢姿態体勢かた振りポーズ身振り所作しぐさ素振り思わせ振り演技ジェスチャー

がた【形/型】

かた(形)12」に同じ。「扇―」「三日月―」

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【型】より

…おもに武道や古典芸能で用いられる語。〈形〉と表記することもある。武道の場合には,攻撃と防御の対応を定型化した規範的な行動様式をいい,古典芸能の舞台においては,せりふや身振りなどの有意的表出,舞や拍子などの無意的表出を定型化したそれをいう。…

※「形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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