デジタル大辞泉
「形」の意味・読み・例文・類語
かたち【形/▽容】
1 見たり触れたりしてとらえることができる、物の姿・格好。物体の外形。「山の美しい―」「影も―も見えない」
2
㋐まとまり整った状態をもって表にあらわれた、物事の姿。形態。「合議制の―をとる」「文章の―を整える」
㋑実質に対して、表面上の姿・格好。外形。外観。また、体裁、名目。「―にこだわる」「代表という―で出席する」「―だけの夫婦」
3 物事の結果としての状態。「どっちつかずの―になる」
4 人に対する姿勢や態度。「―を改めて話す」
5 (「貌」とも書く)容貌。顔だち。器量。また、容姿。「姿―の美しい人」
6 美しい容貌。また、美貌の人。かたちびと。
「―を好ませ給ひて」〈栄花・殿上の花見〉
[用法]かたち・かた――「形」は「三角や四角などいろいろな形の積み木」「顔形」のように、物体の外から見える格好・姿・輪郭を表す。◇「型」は「洋服の型を取る」「柔道の型を見せる」「新しい型の自動車」「血液型」など、一定のきまった大きさや形態、やり方、性質についていう。◇「形ばかりのお祝い」「型にはまる」「型通りのあいさつ」「型破りの人物」など、慣用的表現でも使い分けがある。◇用法の似た外来語に「パターン」があり、「日本人の思考パターン」「若者の行動パターン」「ワンパターン」「テストパターン」のように、類型、模様、柄の意味として用いられる。◇「形が崩れる」「髪の形をととのえる」「借金の形」のように「形」を「かた」と読む場合については「かた(形・型)」を参照。
[類語]スタイル・体形・形・格好・外形・外見・外面・外貌・輪郭・形状・姿・姿形・形・なりかたち・様子・身なり・なりふり・服装・風体・スタイル・姿勢・姿態・体勢・振り・ポーズ・身振り・所作・しぐさ・素振り・思わせ振り・風・体・演技・ジェスチャー
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
かた【形・型】
- 〘 名詞 〙
- [ 一 ] 物体が平面または空間を占めている有様。
- ① 外見に現われた様子やかたち。
- [初出の実例]「その虻(あむ)を 蜻蛉(あきづ)早や食ひ 這(は)ふ虫も 大君に奉(まつ)らふ 汝(な)が柯陁(カタ)は 置かむ 蜻蛉島大和(あきづしまやまと)」(出典:日本書紀(720)雄略四年八月・歌謡)
- 「からすのついゐたるかたをかめにつくらせ給て」(出典:大鏡(12C前)四)
- ② 原物に似せて作ったもの。絵画や彫刻や模型。
- [初出の実例]「冝く彼の神の象(みカタ)を図造(あらはしまつ)て、奉招祷(をきたてまつ)らむ」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
- 「御屏風に龍田川にもみぢながれたるかたをかけりけるを題にてよめる」(出典:古今和歌集(905‐914)秋下・二九三・詞書)
- ③ 図面。地図。また、模様。
- [初出の実例]「多禰嶋に使人等を遣して、多禰国の図(カタ)を貢る」(出典:日本書紀(720)天武一〇年八月(北野本訓))
- 「いいゆかただ。本国寺ぎれのかただな」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)二)
- ④ 前に物事のあったことを示すしるし。あとに残されたしるし。あとかた。形跡。また、あとに残す記念。かたみ。
- [初出の実例]「うへのきぬの色いときよらにて、革の帯のかたつきたるを」(出典:枕草子(10C終)二四七)
- 「古き墳(つか)はすかれて田となりぬ。そのかただになくなりぬるぞ悲しき」(出典:徒然草(1331頃)三〇)
- ⑤ 占いの時に現われるしるし。うらかた。
- [初出の実例]「生ふ楉(しもと)この本山の真柴にも告(の)らぬ妹が名可多(カタ)に出でむかも」(出典:万葉集(8C後)一四・三四八八)
- ⑥ 銭の面で、文字のあるほう。⇔縵面(なめ)。
- [初出の実例]「銭 ぜに 畿内にて表の方を もじと云 東国にて、かたと云」(出典:物類称呼(1775)四)
- ⑦ 借りた金が返せない場合の保証として相手に渡す約束をしたもの。抵当。担保。
- [初出の実例]「物のかたに、人にまいらせたる
ころを、とるへきゆゑあらす」(出典:高野山安養院所蔵普賢延命法裏文書‐(年月日未詳)(鎌倉)某書状)
- ⑧ ある物事が存在する証拠や理由となるもの。根拠。
- ⑨ 通行手形のこと。
- [初出の実例]「ここにてしたくととのへて南杢へ参り、御関所におゐてかたを出し鉄砲の改を受」(出典:島根のすさみ‐天保一一年(1840)六月一七日)
- [ 二 ] いろいろな形をつくるもとになるもの。また、いろいろなものから抽象される形態。
- ① 金属や土などを詰め込んで、ある形につくり出すための器。また、模様を彫り抜いて布帛に当て捺染(なっせん)するのに用いる紙や、衣服、履物などの形を書いて切った紙。鋳型や型紙。比喩的に、ある部類のものを制約する枠。
- [初出の実例]「左大臣の、土御門の左大臣の聟になりて後、したうづのかたをとりにおこせて侍りければ」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)雑上・四九八・詞書)
- 「鉄がとろけてねばい湯になるぞ。それを汲で器のかたをして、そのかたにかくるぞ。かたの如になるぞ」(出典:玉塵抄(1563)一)
- ② 伝統的な形式や制度。習慣となっているやり方。→形の如し・形のよう。
- [初出の実例]「今日はなほかたことに儀式まさりて」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)若菜上)
- 「今までの型を破壊して、何か新しい路を開かなければならなかった」(出典:東京の三十年(1917)〈田山花袋〉私のアンナ・マール)
- ③ 実質が伴わない、名前や形式だけのもの。→形ばかり。
- [初出の実例]「銀出しながら、しっかいそれは人の形(カタ)になって、貴さまの持あそびものに成やうな物なり」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)湊)
- ④ 芸能、武道、スポーツ、文芸などで、規範となる様式。芸能では、演出、演技などの伝統的な表現様式。武道、スポーツでは攻撃、防御の典型的な場合の適切な対応の様式。文芸では、定型詩などに見られる表現様式。
- [初出の実例]「例年八日を以て鏡開を行ひ、嘉納(かなふ)館長の挨拶についで色々の型(カタ)、乱取などあり」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦)
- ⑤ ある種のものに共通する特徴をよく表わしている性質、形態、やり方。典型。タイプ。
- [初出の実例]「お賤が引くなア女の力ぢゃア足りねえから、新吉さん此縄を締めてなざア能くある形(カタ)だ」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉四八)
- 「ふだんから会社員の型にはづれて居る為めに」(出典:大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一三)
- ⑥ あるきまった大きさや形。サイズやかっこう。
- [初出の実例]「ずっと上等物になりますれば、それはいくらも大きな型も御座いますけれど」(出典:百鬼園随筆(1933)〈内田百
〉百鬼園新装)
かたち【形・容】
- 〘 名詞 〙 物体が平面または空間を占めている有様。
- ① 外見に現われた様子。形体。外形。
- [初出の実例]「時に、天地(あめつち)の中に一物(ひとつのもの)生(な)れり。状(カタチ)葦牙(あしかひ)の如し」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
- 「秀衡が跡は田野に成て、金雞山のみ形を残す」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)平泉)
- ② 人の容貌や姿態。
- (イ) 人の顔の有様。顔だち。
- [初出の実例]「唯竹野媛は、形姿(カタチ)醜(みにく)きに因りて本土(もとのくに)に返(かへしつかは)す」(出典:日本書紀(720)垂仁一五年八月(北野本訓))
- 「桃李の御粧猶こまやかに、芙蓉の御かたちいまだ衰させ給はね共」(出典:平家物語(13C前)灌頂)
- (ロ) 人の姿。からだつき。
- [初出の実例]「かぐや姫、もとのかたちに成ぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「渠(かれ)の形躯(カタチ)は貴公子の如く華車(きゃしゃ)に、軆度は深厳にして」(出典:義血侠血(1894)〈泉鏡花〉一)
- ③ 美しい顔だち。美貌。また、その人。→形有り。
- [初出の実例]「すべてかしこに仕うまつるべき女、かたちども、仁寿殿にはさぶらふべき用意してあり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)内侍督)
- 「木村長門守めしつかひに、松尾小膳とて、形(カタチ)を奉公の種として」(出典:浮世草子・武家義理物語(1688)六)
- ④ 物事の状態や傾向。
- [初出の実例]「各判官一人、史一人、国司郡司及び百姓の消息(あるカタチ)を巡察(み)せしむ」(出典:日本書紀(720)天武一四年九月(北野本訓))
- 「児島に連れて行かれるやうな形になるのを、私は心苦しく思った」(出典:疑惑(1913)〈近松秋江〉)
- ⑤ 図面。また、模様。
- [初出の実例]「冝く国々の壃堺(さかひ)を観て、或は書(ふみにしる)し、或は図(カタチをか)いて持来て示(みせ)奉(まつ)れ」(出典:日本書紀(720)大化二年八月(北野本訓))
- ⑥ 実質が伴わない形式だけのこと。外面的なこと。→形ばかり。
- [初出の実例]「天理をそむき形(カタチ)も悪事をたくみ、非を利につくりなせばとて」(出典:浮世草子・新可笑記(1688)一)
- ⑦ まとまった状態。整った有様。
- [初出の実例]「二人いささか 容儀(カタチ)を解きぬ」(出典:孔雀船(1906)〈伊良子清白〉華燭賦)
- ⑧ ある物事が存在する証拠、理由となるもの。根拠。
- [初出の実例]「虚誕 カタチモナイコトヲ云ニハ ヒトガジツノナイヨウニヲモイマスル」(出典:交隣須知(18C中か)四)
形の語誌
上代では、「かた」が単にものの外形を表わすのに対し、「かたち」は人間の姿・容貌に関していうことが多い。中古になると美醜という価値判断を伴う傾向があり、その中でもとりわけ③の美貌に限定して指すことがあった。
なり【形・態】
- [ 1 ] ( 動詞「なる(成)」の連用形の名詞化 )
- ① できあがったかたち。形状。さまかたち。
- [初出の実例]「天皇泊瀬(はせ)の小野に遊びたまふ。山野の体勢(ナリ)を観(みそなは)して」(出典:日本書紀(720)雄略六年二月(前田本訓))
- ② 衣服などを身につけた姿。身なり。服装。衣装。なりふり。
- [初出の実例]「落窪をさしのぞいて見給へば、なりのいとあしくて、さすがに髪のいとうつくしげにてかかりてゐたるを、あはれとや見給ひけん」(出典:落窪物語(10C後)一)
- ③ からだのかたち。からだつき。
- [初出の実例]「うけたまはれば、みづからは、なりとかたちが、よいときくほどに」(出典:説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)一二)
- 「身長(ナリ)は小さくっても喧嘩の本場で修業を積んだ兄さんだ」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一〇)
- ④ 人が何かしている有様や、おかれた状態。かっこう。
- [初出の実例]「ちゃっと病のなりを見て、やがて五蔵之輸を知るぞ」(出典:史記抄(1477)一四)
- ⑤ 周囲の評判。外聞。きこえ。ていさい。
- [初出の実例]「海女が海士に惚れるが、なんで形(ナリ)が悪い」(出典:歌舞伎・和布苅神事(1773)五段)
- ⑥ 動詞の連体形、過去・完了の助動詞「た」の連体形、または体言に付いて、(…の姿の)まま、…のままの意を表わす。
- [初出の実例]「蹈み倒す形りに花さく土おほね〈乃龍〉」(出典:俳諧・俳諧古選(1763)一)
- ⑦ 形容詞の連体形について、その状態に応じての意を表わす。
- [初出の実例]「いくら狭い世界の中でも狭いなりに事件が起って来る」(出典:硝子戸の中(1915)〈夏目漱石〉一)
- ⑧ 動詞の連体形について、(…した)とたんに、…とすぐにの意を表わす。
- [初出の実例]「『何をしてゐるんだな、おい』みるなり田代はキメつけるやうにいった」(出典:春泥(1928)〈久保田万太郎〉みぞれ)
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙
- ① 動詞の連用形に付いて、…するまま、…するに従うさまの意を表わす。「いいなりになる」「曲りなりの成果」
- [初出の実例]「行き過ぎなりに、チラと見た男の顔」(出典:橋(1927)〈池谷信三郎〉八)
- ② 名詞に付いて、そのもの相応であるさまの意を表わす。「子供なりに考える」
- [初出の実例]「山びこ学校」(出典:<出典>)
- ③ 名詞に付いて、…の形の意を表わす。「弓なりになる」
- [初出の実例]「わらひていづるを見れば、菩薩なりにして、色あさぐろく、たけは六尺二分」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
がた【形・型】
- 〘 造語要素 〙
- ① 名詞に付いて、そのような形をしたものの意を表わす。「卵形」「うずまき形」
- ② ( 型 ) 主として漢語の名詞に付いて、その典型である、またはその類型であることを意味する。一見して、それとわかるような性質、様子であること。タイプ。
- [初出の実例]「先づ英雄型の人物であったが」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉二)
がた【形】
- 〘 名詞 〙 ( 「がだ」とも。「おんながた(女形)」の略 ) 歌舞伎の若い女形。おやま。
- [初出の実例]「がだ 若女形」(出典:南水漫遊拾遺(1820頃)四)
- 「五段目の鉄砲場は、義兵衛さんのお軽のがたで、〈略〉おそのさんの与一兵衛といふのはどうだ」(出典:歌舞伎・是評判伊吾同餠(1869))
ぎょうギャウ【形】
- 〘 名詞 〙 姿。かたち。けい。
- [初出の実例]「大日の種子より出でてさまや形さまやきゃう又尊形となる」(出典:金槐和歌集(1213)雑)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「形」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の形の言及
【型】より
…おもに武道や古典芸能で用いられる語。〈形〉と表記することもある。武道の場合には,攻撃と防御の対応を定型化した規範的な行動様式をいい,古典芸能の舞台においては,せりふや身振りなどの有意的表出,舞や拍子などの無意的表出を定型化したそれをいう。…
※「形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 