微妙(読み)ビミョウ

デジタル大辞泉 「微妙」の意味・読み・例文・類語

び‐みょう〔‐メウ〕【微妙】

[名・形動]
趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること。また、そのさま。みみょう。
「此―な叙景の筆の力が」〈独歩武蔵野
一言では言い表せないほど細かく、複雑なさま。また、きわどくてどちらとも言い切れないさま。「気持ちが微妙に変化する」「セーフアウト微妙判定」「愛国主義国粋主義微妙な関係」
(「微妙に」の形で)少々。やや。「微妙に歪んで見える線」「彼の話には微妙に嘘が混じっている」
(「ビミョー」と書くこともある)俗に、否定的な気分婉曲にあらわす語。明言したくないときなどにも使う。「『テストできた?』『微妙』」
[派生]びみょうさ[名]
[類語]玄妙デリケート

み‐みょう〔‐メウ〕【微妙】

[名・形動]趣深く繊細であること。また、そのさま。びみょう。
「虚空はるかに―なる音楽がきこえ始めた」〈倉田出家とその弟子

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精選版 日本国語大辞典 「微妙」の意味・読み・例文・類語

び‐みょう‥メウ【微妙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 )
  2. 美しさや味わいが趣き深くすぐれていること。また、そのさま。みみょう。玄妙。
    1. [初出の実例]「互に門戸を立て、各々微妙を争ふ」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)五)
    2. [その他の文献]〔老子‐一五〕
  3. 物事の状態や関係などが、言い表わせないほど細かく複雑なこと。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「微妙些細なる事にても之を解剖すれば」(出典:将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉七)

み‐みょう‥メウ【微妙】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 「み」は「微」の呉音 ) 美しさや味わいが奥深くたえなること。趣深くすぐれていること。また、そのさま。びみょう。
    1. [初出の実例]「心経を誦する音(こえ)、甚だ微妙にして」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
    2. [その他の文献]〔法華経‐譬喩品〕

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普及版 字通 「微妙」の読み・字形・画数・意味

【微妙】びみよう(めう)

玄妙。〔老子、十五〕古の善く士を爲(をさ)むるは、妙玄、深きことるべからず。

字通「微」の項目を見る

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朝日日本歴史人物事典 「微妙」の解説

微妙

生年生没年不詳
鎌倉時代白拍子建仁2(1202)年3月8日,京都から鎌倉へ下向して,源頼家の前で歌舞を行う。その際,去る建久年中(1190~99)に奥州に流され,7歳で生き別れた父右兵衛尉為成の存否を知るために自分は白拍子となり,鎌倉へ下向したのだと頼家に訴えた。頼家と母の政子は奥州に人を遣わして調べさせたが,父はすでに死亡していることが分かり,同年8月15日栄西戒師として出家,持蓮と号した。<参考文献>小寺融吉『日本の舞踊』

(細川涼一)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「微妙」の解説

微妙 びみょう

?-? 鎌倉時代の舞女。
右兵衛尉為成の娘。7歳のとき父が中傷により奥州に流され,悲しみのあまり母は死ぬ。たよる親族もなく,建仁(けんにん)2年(1202)鎌倉にいき源頼家,北条政子の前で舞をまい身の上をうったえた。政子が父の消息をしらべさせたが,すでに死亡。悲嘆した微妙は栄西のもとで出家し,持蓮(じれん)と号した。

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世界大百科事典(旧版)内の微妙の言及

【三婆】より

…歌舞伎の老女の大役を三つ選んで〈三婆〉と呼ぶ。《盛綱陣屋》の微妙(みみよう),《菅原伝授手習鑑》の〈道明寺〉の覚寿(かくじゆ),《廿四孝》の勘助母または《輝虎配膳》の勘助母,越路。老女の大役は,ほかにも《忠臣蔵》〈六段目〉のおかるの母や《引窓》の母などがあるが,三婆に選ばれているのはいずれも時代物で,気位が高く男まさりで,息子たちや一族の運命を決定づけるような役ばかりである。…

※「微妙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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