六訂版 家庭医学大全科 「急性糸球体腎炎症候群」の解説
急性糸球体腎炎症候群
きゅうせいしきゅうたいじんえんしょうこうぐん
Acute glomerulonephritis
(子どもの病気)
どんな病気か
原因は何か
急性糸球体腎炎のなかでも小児に最も多くみられるのは、
体に入ったこうした病原体の成分が、直接
症状の現れ方
溶連菌感染後急性糸球体腎炎は2~12歳の小児に多い病気ですが、成人にもみられます。典型的には、咽頭炎や皮膚の感染症にかかった1~4週間後に、突然尿量が減り、コーラ色~褐色調の血尿、浮腫および高血圧が出現します。まれに急激な血圧の上昇のためにけいれん、
典型的な色の血尿は発症2週までの急性期にみられますが、徐々に改善し、その後
IgA腎症などの慢性糸球体腎炎が、
検査と診断
尿検査では、コーラ色~褐色調の尿中に変形した赤血球が多数見られます。溶連菌感染後急性糸球体腎炎では、血液検査でA群β溶連菌に対する種々の抗体価の上昇がみられます。また、急性糸球体腎炎の90%の方で免疫蛋白である
溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断されれば、その後の経過は良好な場合が多く、
治療の方法
溶連菌感染後急性糸球体腎炎の治療の基本方針は安静ですが、症状が強い時期には入院治療が必要です。尿量が少なく、強い浮腫や高血圧がみられる時期には塩分・水分摂取をひかえ、利尿薬を用います。とくに高血圧は頭痛、嘔吐、けいれんなどの重い症状を引き起こすことがあるため、利尿薬で十分に効果がみられない場合は、降圧薬を併用します。
腎機能障害が強く、薬物療法でも浮腫や高血圧、
腎機能が改善するのにしたがって、徐々に尿量は増え、薄い尿が多量にみられる時期があります。この時期はむしろ脱水に注意が必要です。むくみ、高血圧などの症状が改善すれば、塩分や水分制限は不要となり退院も可能となります。軽度の尿所見の異常が続く場合がありますが、比較的早くから登校など通常の日常生活にもどることができます。ほとんどの場合は、後遺症なく改善します。
病気に気づいたらどうする
入院可能な病院の小児科を受診してください。
池住 洋平
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報