広義には,中央ないし地方の政府機関がその保有する情報を外部の者に供するいっさいの行為をいい,狭義には,広報活動のような〈情報提供〉と区別し,政府機関が国民の〈知る権利〉を保障する目的で法律ないし条例の規定によって国民の請求に基づきその保有する情報を開示することをいう。その主たる目的は,国民による行政の監視・統制と行政への参加とを容易ならしめることによって公正で開かれた行政を実現し,政府と国民の信頼関係を形成・維持することである。なお,民間企業が消費者の安全・利益のために各種媒体を通じて自社商品に関する情報を提供することを〈情報公開information disclosure〉ということもある。
政府に情報の開示を義務づけるいわゆる情報公開法がアメリカ(1967年〈情報自由法〉施行)をはじめ先進国で制定・実施されているなかで,日本ではKDD事件などを契機に1980年には自由人権協会が情報公開要綱を発表するなど立法化を求める声が高まり,国もその検討を開始した。
国の対応が慎重であるのとは対照的に地方自治体レベルでは,82年に山形県金山町で日本初の情報公開条例が制定され,83年に神奈川県が府県レベルでの情報公開元年を画し,その後,各自治体で普及した。96年4月1日現在,47都道府県,204市,23特別区,59町,3村が条例など(要綱対応が3県,12市,6町)で実施しており,教育,環境,医療,首長の交際費,入札など幅広い分野で公開請求が行われている。自治体の不正監視のため弁護士らでつくる〈全国市民オンブズマン〉は情報公開請求を通じて〈官官接待〉や〈カラ出張〉の実態を明らかにしている。
国は,〈行政改革委員会〉(1994~97年)で遅ればせながら制度化の検討を開始し,その行政情報公開部会は,〈行政機関の保有する情報を公開するための法律の制定その他の制度の整備に関する事項〉を調査・審議し,1996年4月〈中間報告〉を,同11月1日に〈最終報告〉を発表した。この情報公開法要綱案は,外国人を含め〈何人(なんびと)〉にも開示請求権を認め,政府の諸活動を国民に説明する責務(アカウンタビリティ)をまっとうするとともに国民による行政の監視・参加を充実させることを目的とし,情報公開法の理念と具体的な仕組みを明らかにした。
執筆者:大森 彌
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(北山俊哉 関西学院大学教授 / 笠京子 明治大学大学院教授 / 2007年)
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…しかし,最近はおもにコミュニケーション関係において使われる。その第1は情報公開に関するもので,公文書などの閲覧,謄写を求める権利を〈公情報へのアクセス権〉と呼んでいる。それは法的な権利であり,公共機関の裁量で行われる情報提供サービスとは異なる概念とされている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...
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