抑留(読み)よくりゅう

精選版 日本国語大辞典 「抑留」の意味・読み・例文・類語

よく‐りゅう ‥リウ【抑留】

〘名〙
年貢物資を留めること。
(イ) 役人が年貢などを不法に自分の手元に置くこと。
※三代格‐一二・斉衡二年(855)九月二三日「既有先例、難以抑留
(ロ) 他人の物資を無理に留めること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 人を自由に行かせないこと。
(イ) その場所を去らないよう、説得したり頼んだりすること。引き止めること。
満済准后日記‐永享五年(1433)七月二〇日「高野事先無為、遊佐越前守未高野に罷留。衆徒等内々抑留之子細在之。行人等は悉離山了」
(ロ) 武力権力・法律を背景に、人を無理やりある場所や領域内に留めて置くこと。拘束すること。
渋江抽斎(1916)〈森鴎外〉四九「縦令(たとひ)諸侯が家族を引き上げたからと云って、幕府は最早これを抑留(ヨクリウ)することは無からう」
(ハ) 国際法上、捕虜または自国内にいる敵国人の身体を拘束したり、自国の港にある外国船舶をとどめおいたりすること。
毎日新聞‐明治三七年(1904)二月一〇日「仁川に碇泊中なりし露艦ワリヤーク〈略〉同コリーツ〈略〉の二隻は港内に於て我○○の為め抑留せられたり」

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デジタル大辞泉 「抑留」の意味・読み・例文・類語

よく‐りゅう〔‐リウ〕【抑留】

[名](スル)
おさえとどめること。一定の場所にとどめておくこと。
逮捕に引き続く身柄の拘束で、比較的短期のもの。→拘禁
国際法上、他国の人や物、特に船舶を自国の権力内に置くこと。「領海に侵入した漁船抑留する」
[類語]留置勾留検束拘置拘禁

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百科事典マイペディア 「抑留」の意味・わかりやすい解説

抑留【よくりゅう】

現行憲法上,比較的短期の身体の自由の拘束をいう。たとえば逮捕に引き続く留置など。→拘禁
→関連項目刑事補償自白

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「抑留」の解説

抑留
よくりゅう

中世とくに鎌倉時代の荘園における地頭の侵略行為。一般には「抑えとどめる」という意味だが,中世ではおもに年貢・公事(くじ)の徴収権をもつ者が地頭の恣意的な収奪を非難する際に使った。広い意味では「奪い取る」「押し取る」などの行為をさす場合もあり,その意味で横妨・押領などと同義に用いられることもあった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「抑留」の意味・わかりやすい解説

抑留
よくりゅう

一時的に身体の自由を拘束することをいい,拘束が比較的長期にわたる拘禁と区別される。なんぴとも理由をただちに告げられ,かつただちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ,抑留または拘禁されない (憲法 34) 。

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普及版 字通 「抑留」の読み・字形・画数・意味

【抑留】よくりゆう

留置する。

字通「抑」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の抑留の言及

【拘置】より

…刑法の〈拘置〉は,この〈拘禁〉と同じ意味だとされている。憲法の人権保障規定では,拘禁は継続的な身柄の拘束として,一時的な自由拘束たる抑留と並べられている(34条など)。監獄法はまた,刑事被告人・被疑者や死刑囚などを拘禁する所を拘置監と称する。…

【抑留・拘禁】より

…いずれも身体の自由を拘束することをいうが,日本国憲法は両者を区別している。〈抑留〉は一時的な身体の自由の拘束をさし,〈拘禁〉は継続的な自由の拘束をさすと解されている。憲法第34条によれば,〈何人も,理由を直ちに告げられ,且つ,直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ,抑留又は拘禁されない。…

※「抑留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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