検束(読み)ケンソク

百科事典マイペディアの解説

検束【けんそく】

警察権により一時,人の身体の自由を拘束して警察署等一定の場所に引致し留置すること。旧憲法下で行政執行法(1900年)による保護検束および特に予防検束が乱用されたため,戦後同法は廃止され,警察官職務執行法は保護という観念で厳重な要件と制限の下にこれを認めている。
→関連項目朴烈事件

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世界大百科事典 第2版の解説

けんそく【検束】

行政官庁が人の身体の自由を拘束する制度で,旧憲法下の旧行政執行法(1900公布)で認められた即時強制の一手段。ドイツ法制のVerwahrungにならって制度化された。行政執行法は,行政官庁が,泥酔者,瘋癲(ふうてん)者,自殺を企てる者,その他救護を要すると認める者に対して束を加えること(保護検束),および,暴行,闘争その他公安を害するおそれのある者に対して検束を加えること(予防検束)を認め,検束の期間は翌日の日没までに制限していた。

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大辞林 第三版の解説

けんそく【検束】

( 名 ) スル
旧行政執行法で、警察官などが一時的に個人の身体の自由を拘束し、留置の処置をとること。 「泥酔者を-する」 → 保護
取り締まって自由な行動をさせないこと。 「自己の情欲を-せぬのが天真である/善の研究 幾多郎

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

検束
けんそく

旧行政執行法(明治33年法律第84号)に規定されていた即時強制の一種。警察官が一時的に人の身体の自由を拘束して警察署など一定の場所に連行して留置することをいう。翌日の日没に至らない限度で検束を加えることができた。泥酔者、自殺を企てる者、その他救護を要すると認める者に対し必要な場合に行う保護検束と、暴行、闘争その他公安を害する虞(おそれ)のある者に対しこれを予防するため必要な場合に行う予防検束が認められていた(同法1条)。しかし、とりわけ予防検束について、一応、翌日の日没までとする期間限定が設けられていたものの、これを更新することで長期間の身柄拘束がなされ、思想運動や労働運動の弾圧に乱用される弊害を生じた。そのため行政執行法は1948年(昭和23)6月14日に廃止された(昭和23年法律第43号)。
 現行の警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)では、「保護」という観念で保護検束にあたるものだけを規定し、厳重な要件と制限のもとにこれを認め、保護の時間も原則として24時間以内とされ、簡易裁判所の裁判官の許可状がある場合でも通じて5日以内に限られている(同法3条3項・4項)。予防検束は、むろん認められていない。[内田一郎・田口守一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

けん‐そく【検束】

〘名〙
① 押えて自由にさせないこと。取り締って自由な行動をさせないこと。束縛すること。身を慎しむこと。
※朝野群載(1116)一・歎白髪〈紀長谷雄〉「矧乎多撿束、猶未奔忙
※舞姫(1890)〈森鴎外〉「余は模糊(もこ)たる功名の念と、検束に慣れたる勉強力とを持ちて」 〔小学‐嘉言・広敬身〕
② 警察官が一時、人の身体の自由を拘束し、警察署など一定の場所に連行し留置すること。旧行政執行法は公安上の見地から、あるいは泥酔者などを保護するためこれを認めていたが、昭和二三年(一九四八)に廃止され、現在では、厳重な要件のもとで警察官による保護の制度が認められている。
※行政執行法(明治三三年)(1900)一条「当該行政官庁は〈略〉救護を要すと認むる者に対し必要なる検束を加へ」

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