捩る(読み)ネジル

デジタル大辞泉 「捩る」の意味・読み・例文・類語

ねじ・る〔ねぢる〕【×捩る/捻る/×拗る】

[動ラ五(四)]《近世以降上二段動詞「ねず」が四段にも活用するようになったもの》
細長いものの両端に力を加えて、互いに逆の方向に回す。また、一端を固定して、他の一端を無理に回す。ひねる。「針金を―・る」「腕を―・る」「水道の栓を―・る」
体の筋をちがえる。捻挫ねんざする。「足首を―・る」
[可能]ねじれる
[動ラ下二]ねじれる」の文語形
[用法]ねじる・ひねる――「体をねじる(ひねる)」「水道の栓をねじる(ひねる)」など、ひねって回すの意では相通じて用いられる。◇力を入れて回すときは「ねじる」、指先で軽く回すようなときは「ひねる」と使い分けることがある。「びんのふたをねじって開ける」「スイッチをひねる」◇「転んだはずみに足首をひねって痛めた」「腰をひねって医者にかかる」などでは「ねじる」を用いない。◇「ひねる」の方が意味の範囲が広い。「頭をひねる」「首をひねる」「俳句をひねる」「強敵にあっさりひねられた」などの使い方は「ねじる」にはない。◇類似の語「よじる」も「腹をよじって笑う」など、使い方は限られている。
[類語]曲げるひねるよじるねじれるよじれるたわめるねじ上げるねじ向けるれる捻転

よじ・る〔よぢる〕【×捩る】

[動ラ五(四)]ねじってまげる。ねじる。「針金を―・る」「からだを―・って笑う」
[可能]よじれる
[動ラ下二]よじれる」の文語形。
[類語]曲げるねじるひねるねじれるよじれるたわめるねじ上げるねじ向けるれる捻転

もじ・る〔もぢる〕【×捩る】

[動ラ五(四)]
著名な詩文などの文句をまねて言いかえる。「古歌を―・って世相を風刺する」
ねじる。よじる。ひねる。
「しねくねと肩を―・りながら」〈里見弴多情仏心
[可能]もじれる
[動ラ下二]もじれる」の文語形。
[類語]まねる見習う倣う

すじ・る〔すぢる〕【×捩る】

[動ラ四]からだをくねらせる。身をよじる。
「黒くきたなき身を肩抜ぎて、目も当てられず―・りたるを」〈徒然・一七五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「捩る」の意味・読み・例文・類語

もじ・るもぢる【捩】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. ねじる。よじる。ひねる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
      1. [初出の実例]「鑓のしほ首引掴、もぢって払ば身を背け」(出典:浄瑠璃・仮名手本忠臣蔵(1748)九)
    2. ことばを他の語の音や口調に似せていう。また、著名な詩文・歌謡などの調子や文句をまねて他にいい換える。
      1. [初出の実例]「洒落本を種にして、阿波鳴戸をもぢった滑稽をやったりした」(出典:黒い眼と茶色の目(1914)〈徳富蘆花〉二)
    3. 食うまたは飲む意の、人形浄瑠璃社会の語。
      1. [初出の実例]「『此あたりに、よい酒屋はござらぬか』『ヒヤこりゃあり様はもぢりかけるのか』」(出典:浄瑠璃・和田合戦女舞鶴(1736)二)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙もじれる(捩)

すじ・るすぢる【捩】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 からだをまげくねらせる。もじる。
    1. [初出の実例]「黒くきたなき身を肩抜ぎて、目もあてられずすぢりたるを」(出典:徒然草(1331頃)一七五)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ねじれて斜めになる。まがる。まがりくねる。〔名語記(1275)〕
    1. [初出の実例]「斯こそと世を藤房の身の納め〈存義〉 はるかにすぢる秣野の道〈亀成〉」(出典:俳諧・江戸新八百韻(1756))

よじ・るよぢる【捩】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙 ひねるようにして曲げる。ねじる。ねじ曲げる。ひねる。
    1. [初出の実例]「ナワ ヲ yojiru(ヨジル)」(出典和英語林集成初版)(1867))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行下二段活用 〙よじれる(捩)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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