斑鳩(町)(読み)いかるが

日本大百科全書(ニッポニカ) 「斑鳩(町)」の意味・わかりやすい解説

斑鳩(町)
いかるが

奈良県北西部、生駒(いこま)郡にある町。1947年(昭和22)竜田(たつた)町、法隆寺村、富郷(とみさと)村が合併して成立。町名は、聖徳太子がいまの法隆寺夢殿あたりに造営した斑鳩宮(鵤宮)跡に由来する。町域は奈良盆地北西部から矢田丘陵南斜面に及び、町の南部にJR関西本線(大和路(やまとじ)線)、国道25号、168号が通じる。また西名阪自動車道法隆寺インター(河合(かわい)町)にも近い。水田耕作とナシ、ブドウカキ、イチゴなど果樹園芸の近郊農業が盛んであるが、誘致による工場が国道沿いに進出し、ベアリング用ゴムシールなどの生産が行われている。竜田は古くから商業の中心地で、鉄道の敷設に反対したため一時衰えたが、自動車交通の発達によって回復した。

 町のほぼ中央部にある法隆寺は、飛鳥(あすか)時代の建築彫刻の粋を集めた世界最古の木造建築物として名高く、周辺のもの静かな雰囲気と相まって古代文化の余香をいまに伝える。そのほか中宮寺、法起(ほっき)寺、法輪寺など聖徳太子ゆかりの古寺や三井(みい)(古井遺構)、三井瓦窯(がよう)跡、藤ノ木古墳をはじめとする古墳群などの史跡が多い。1993年(平成5)には法隆寺地域の仏教建造物が世界遺産文化遺産)に登録された。また、『小倉(おぐら)百人一首』で知られる紅葉(もみじ)の名所三室山(みむろやま)、竜田川があり、竜田大橋付近の楓葉(ふうよう)は秋に多くの人々を楽しませる。県立竜田公園もある。面積14.27平方キロメートル、人口2万7587(2020)。

[菊地一郎]

『『斑鳩町史』全3巻(1963~1979・斑鳩町)』


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