(読み)シ

デジタル大辞泉 「施」の意味・読み・例文・類語

し【施】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) (呉) [訓]ほどこす
〈シ〉計画実地に移す。実際に行う。「施工施行施策施政施設実施
[補説]「施工・施行」は「せこう」とも読む。
〈セ〉ほどこし与える。「施行せぎょう施主施与施療布施
[名のり]とし・のぶ・はる・ます・もち

せ【施】

仏教で、ほどこしをすること。法施・財施・無畏施などをいう。布施。
他人に物を与えること。施与せよ
貧窮びんぐうの所に行きて其の―を受けむ」〈今昔・二・六〉

せ【施】[漢字項目]

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精選版 日本国語大辞典 「施」の意味・読み・例文・類語

せ【施】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( [梵語] dāna の訳語 ) 仏語。貪欲(とんよく)を離れ、他に物をほどこすこと。財施、法施、無畏施など。檀那。布施。
    1. [初出の実例]「仏とき給、諸の施の中に法施第一也」(出典:観智院本三宝絵(984)下)
  3. ほどこし与えること。施与。

ほどこし【施】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ほどこす(施)」の連用形名詞化 ) 恵み与えること。また、そのもの。布施。恵与。施与。
    1. [初出の実例]「下百姓を撫て仁政に施(ホトコシ)ある故也」(出典:太平記(14C後)二)

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普及版 字通 「施」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] シ・イ
[字訓] なびく・ほどこす・およぶ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は也(や)。也に弛(し)の声がある。〔説文〕七上に「旗の皃なり」とあり、旗のなびくことをいう。「齊の欒施(らんし)、字(あざな)は子旗と。施なるは旗なることを知る」というように、施・旗は名字の対待に用いる。他に施すということから、移る・及ぶ意となり、〔詩、周南、覃〕に「中谷に施(うつ)る」の句がある。また〔左伝、昭十四年〕「乃ち侯を施(ころ)す」、〔国語、晋語三〕「秦人、冀(きぜい)をして、之れを施(さら)す」など、施を刳裂(これつ)陳尸(ちんし)の意に用いる。おそらく(し)と通用の義であろう。〔説文〕三下を「(ふ)なり。~讀みて施と同じうす」とみえ、は蛇霊を殴(う)つ形。禍を他に転ずる(かいし)の儀礼で、刳裂陳尸の意をもつのであろう。

[訓義]
1. はたがなびく、はためく。
2. はたにつける、ほどこす、もちいる。
3. ながくひく、およぶ、はびこる、うつる。
4. と通じ、あなどる。
5. 弛と通じ、ゆるむ、ゆるす。
6. 侈と通じ、ほこる、おごる、ほしいまま。
7. と通じ、ななめ、かたむく。
8. 施施は、よろこぶ、いそいそとするさま。

[古辞書の訓]
名義抄〕施 マウク・モチヰル・ユルフ・ツク・ワタル・ユルス・ウツス・ハヅス・ホドコス・ハナル・オク・シク・スツ・ステラル・アタフ・ハフ・ツナグ 〔字鏡集〕施 ホドコス・スツ・ツラヌ・カヘス・ユルス・ハフ・オク・ハナル・キハム・ユルブ・マウク・ハヅス・ウツス・ツナグ・アタフ・ステラル・ウツル・オコナフ・モチヰル・ハヘリ

[語系]
施・移jiaiは同声。(延)jianは他に延及する意。施にまたsjiaiの声があり、設sjiatはその声近く、施陳の意に用いる。〔説文〕に設を施陳と訓する。sjiaiも施と同声。刳裂の意は、この字義と通用するものであろう。

[熟語]
施為・施易・施延・施恩施加・施化・施及施救・施・施教施衿・施恵・施刑施罟・施工・施功・施効・施行・施斎・施施・施視・施事・施舎施捨・施従・施粥・施賞施賑施鍼・施人・施仁・施政・施生・施設・施属・施沢・施張・施陳施髢・施展・施徳・施博施糜施靡・施布施賦・施粉・施報・施法・施与・施予・施用・施礼・施労・施食
[下接語]
遺施・雨施・雲施・恵施・功施・好施・厚施・財施・時施・受施・周施・振施・仁施・声施・戚施・貸施・陳施・徳施・博施・布施・普施・敷施・分施・平施・報施

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