日南(読み)ニチナン

デジタル大辞泉 「日南」の意味・読み・例文・類語

にちなん【日南】

宮崎県南部の市。日向灘ひゅうがなだに面する。中心の飫肥おびはもと伊東氏の城下町油津あぶらつは県南の重要港。杉を産する。平成21年(2009)北郷町・南郷町と合併。人口5.8万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「日南」の意味・読み・例文・類語

にちなん【日南】

  1. [ 一 ] 宮崎県南部の地名。日向灘に面する。江戸時代、伊東氏五万一千石の城下町として発展した飫肥(おび)を中心に、カツオマグロ遠洋漁業基地の油津・大堂津が含まれる。鵜戸神宮がある。昭和二五年(一九五〇)市制。
  2. [ 二 ] 中国の漢代、現在のベトナム中部に置かれた郡の名。
    1. [初出の実例]「歌咲頻発、日南之水争声」(出典:詩序集(1133頃)鶴是作仙禽詩序〈作者未詳〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「日南」の意味・わかりやすい解説

日南[市] (にちなん)

宮崎県南部,日向灘に面する市。2009年3月旧日南市と北郷(きたごう)町,南郷(なんごう)町が合併して成立した。人口5万7689(2010)。

日南市北部の旧町。旧南那珂郡所属。人口5073(2005)。北は宮崎市など,東と南は旧日南市に接する。近世,飫肥(おび)藩伊東氏の時代より林業が盛んで,飫肥杉の造林地として知られる。町域の大部分は山地で占められ,森林の8割は国有林である。鰐塚(わにつか)山より発して中央部を南流する広渡(ひろと)川沿いに耕地がある。農林業を主体とし,米作,畜産のほか,ピーマンキュウリなどの栽培が盛ん。工場誘致が図られるとともに宅地開発,観光開発が進められている。南部をJR日南線が通る。

日南市南端部の旧町。日向灘に面し,旧南那珂郡所属。人口1万1614(2005)。北は旧日南市,南と西は串間市に接する。かつては飫肥(おび)南郷110町のうちに含まれており,中世には島津荘寄郡(よりごおり)に編成された。近世は飫肥藩に属した。町域の過半は山林であり,温暖多雨の気候に恵まれて,造船材として有名な飫肥杉の美林がみられる。農業は早くからミカン園の造成が行われた。南郷川,潟上川流域に耕地があり,米作,果樹や野菜の栽培,養豚,養鶏が行われる。漁業は外浦(とのうら),目井津(めいつ)の両港を基地として沖合・遠洋漁業が行われ,カツオ,マグロなど,県下有数の水揚げがある。外浦は古くは対外貿易の寄航地であった。日向灘沿岸一帯は日南海岸国定公園に属し,沖合3kmにある大島周辺は海中公園に指定されている。また目井津港の北には今は地続きとなった虚空蔵(こくぞう)島の亜熱帯林(天)があり,ビロウやフカノキなど多くの熱帯植物が自生し,アコウの巨木が群生する。南郷川上流には縁結びの神として知られる榎原(よわら)神社があり,1707年(宝永4)建立の本殿を有する。JR日南線と国道220号線が通る。
執筆者:

日南市中部の旧市。1950年市制。人口4万4227(2005)。市域西部には古第三紀の鰐塚山地,海岸近くには新第三紀の鵜戸(うど)山地があり,鰐塚山地から南東方向へ広渡川が流れ沖積地を形成する。市制時に合体した旧町の飫肥,吾田(あがた),油津(あぶらつ)にそれぞれ市街地が発達し,広渡川の河谷に通じるJR日南線と国道222号線によって結ばれている。飫肥は藩政時代飫肥藩伊東氏の城下町で,現在は商業地区であるが,城跡を中心に古い町並みを残し,伝統的建造物群保存地区に指定されている。吾田は行政の中心で,王子製紙の工場も立地する。油津は古くからの商・漁港で,南の大堂津とともに遠洋漁業も近海漁業も活発であり,マグロ,ブリ,イセエビなどの水揚げが多い。林業は,飫肥藩が育成し造船材に利用された飫肥杉を中心に行われる。耕地は全体の5%,ミカンは県内第一,ピーマン,豚はともに第四位である。海岸は日南海岸国定公園に含まれ,鵜戸神宮があり,国道220号線が通じる。
執筆者:


日南[町] (にちなん)

鳥取県南西端,日野郡の町。人口5460(2010)。日野川最上流域に位置し,島根・広島・岡山3県に接する。町域は標高1000m級の山岳に囲まれ,谷底平野や標高500m前後の高原に集落が点在する。中心集落の生山(しようやま)はJR伯備線とバス路線の結節点で,奥日野の林産物の集散地である。日野谷奥の多里(たり)は近世,日野街道の宿場町で,鳥取藩の番所が置かれた。米作,畜産中心の農林業が町の主産業であるが,近年林業が不振なため人口流出が著しい。かつてはたたらによる製鉄が盛んであったが明治期に衰退し,代わってクロム鉱の採掘が盛んになり,最盛期には全国生産量の3/4を占めた。道後山船通山比婆道後帝釈国定公園に属し,船通山のイチイは天然記念物に指定されている。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日南」の意味・わかりやすい解説

日南(市)
にちなん

宮崎県南部、日南海岸にある港町、城下町。1950年(昭和25)飫肥(おび)、吾田(あがた)、油津(あぶらつ)の3町と東郷(とうごう)村が合併して市制施行。1955年細田(ほそだ)町、鵜戸(うど)村、1956年酒谷(さかたに)村と榎原(よわら)村の一部を編入。2009年(平成21)北郷(きたごう)町、南郷(なんごう)町を合併。県南部は日南地方とよばれその名を市名に採用。日南山地にあって、広渡(ひろと)川、酒谷川が小さな沖積平野を形成する。JR日南線、国道220号、222号、448号が通る。東九州自動車道の日南北郷インターチェンジと日南東郷インターチェンジ間が開通している。古代郷名に飯肥(飫肥)地名があり、荘園(しょうえん)は島津荘飫肥北郷(しまづのしょうおびきたごう)、同南郷に属した。近世は飫肥藩5万1000石の城下町。城下町飫肥は当時の景観をよく保存しており、とくに武家屋敷群は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。ほかに城跡、藩校振徳堂(しんとくどう)などがある。油津は県南唯一の良港で飫肥の外港的役割を果たし、同藩特産の飫肥杉積出し港であった。木材運搬用の堀川(ほりかわ)運河が油津に残る。飫肥と油津の中間は吾田で行政の中心。王子製紙日南工場が立地する。大堂津(おおどうつ)は漁港。日南海岸国定公園に属し、鵜戸神宮などがある。面積536.11平方キロメートル、人口5万0848(2020)。

[横山淳一]

『『日南市のあゆみ』(1960・日南市)』



日南(町)
にちなん

鳥取県南西端、日野(ひの)郡にある町。1959年(昭和34)伯南(はくなん)町と高宮(たかみや)、多里(たり)、福栄(ふくさかえ)、石見(いわみ)の4村が合併して成立。JR伯備(はくび)線、国道180号、183号、江府三次道路が通じる。日野川の谷底平野と高原面からなり、高原面では縄文・弥生(やよい)期遺物が出土し、古来たたら製鉄の中心地であった。現在は農業が中心で、米作、トマト、ダイコン、ネギ栽培、和牛飼育などが行われる。南西部の船通山(せんつうざん)、道後山(どうごやま)は比婆(ひば)道後帝釈(たいしゃく)国定公園の一部。船通山は『古事記』の八岐大蛇(やまたのおろち)神話の伝承地で、山頂には天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)出顕之地の碑や神木のイチイ(国指定天然記念物)がある。下阿毘縁(しもあびれ)神社の大シダレザクラ、解脱寺(げだつじ)のモミ並木、上石見(かみいわみ)のオハツキタイコイチョウ、楽楽福(ささふく)神社社叢(しゃそう)などが知られ、石霞渓(せっかけい)や菅沢(すげさわ)ダムの勝地に富む。面積340.96平方キロメートル、人口4196(2020)。

[岩永 實]

『『日南町史』全3巻(1984・日南町)』


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百科事典マイペディア 「日南」の意味・わかりやすい解説

日南[市]【にちなん】

宮崎県南部の市。1950年市制。日向灘(ひゅうがなだ)に面し,広渡川流域と周辺の山地を占め,日南線が通じる。中心市街は飫肥(おび)藩伊東氏の城下町として発達した飫肥と,古くからの港町油津。飫肥は商業の中心,油津はカツオ・マグロ遠洋漁業の基地,中間の吾田(あがた)にはパルプの大工場がある。農村は超早場米の産地として知られ,野菜の促成栽培,柑橘(かんきつ)類の栽培が盛ん。木材の産も多く,藩政期から飫肥杉で知られる。かつての武家屋敷群は国の重要伝統的建造物群保存地区になっている。海岸は日南海岸国定公園に含まれ,鵜戸(うど)崎がある。日南温泉サン・リゾートパークがある。2009年3月南那珂郡北郷町,南郷町を編入。536.11km2。5万7689人(2010)。

日南[町]【にちなん】

鳥取県南西部,日野郡の町。日野川上流域にあたる。主集落の生山(しょうやま)は伯備線が通じ,奥日野の中心地。林産物の集荷が盛ん。クロム鉱の産も多い。縫製,弱電の工場が立地。石霞(せっか)渓や比婆道後帝釈(ひばどうごたいしゃく)国定公園に属する船通(せんつう)山がある。340.96km2。5460人(2010)。

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旺文社世界史事典 三訂版 「日南」の解説

日南
にちなん

前111年に前漢の武帝が置いた中国最南の郡
南越征服後,現在のヴェトナムに設置された3郡の最南部にあたる。隋の文帝楊堅により廃止された。ユエ(フエ)付近が中心。

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世界大百科事典(旧版)内の日南の言及

【飫肥】より

…1834年(天保5)の宗門改めでは両町の住人はあわせて749人を数え,また69年(明治2)の調査でも飫肥町人768人となっているから,近世を通じて町人人口はさほど多くない石高相応の城下町であったといえる。1950年周辺町村を合併し,日南市となった。飫肥藩【上原 兼善】。…

※「日南」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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