北海道中央部における中生代中ごろから第三紀にかけての造山運動。日高造山帯は日本における最も典型的な造山帯である。完全褶曲と深成・変成作用をもつ典型的なアルプス造山運動と考えられていたが,プレートテクトニクス説や研究の進展に伴い,従来の造山運動像は大幅に修正する必要が生じている。日高地向斜初期の海底火山活動によるとされた緑色岩は,海洋地殻の一部と考えられるようになり,厚い地向斜堆積物は東方に想定されるオホーツク古陸から供給された白亜紀の島弧前縁堆積物と考えられるようになった。一方,地向斜末期の堆積物と位置づけられていたフリッシュflysh堆積物は,同じ白亜紀に西方の古陸から供給された堆積物である。変成作用では,神居古潭(かむいこたん)変成帯が,白亜紀初期に海洋地殻の大陸縁辺への沈み込みに伴って形成されたと考えられるのに対し,日高変成帯は,海洋地殻と大陸地殻~島弧地殻が第三紀に変成し,接着したものと考えられている。また,日高造山運動の地域は,北アメリカプレートとユーラシアプレートが衝突した地域であるとの考えがある。狭義の造山運動は白亜紀末から始まり,日高変成帯の変成岩類が形成されるとともに激しさを増し,褶曲・断層運動を伴いながら,第三紀末まで続いた。
執筆者:酒井 彰
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北海道の日高山脈をつくった造山運動。もともとは中生代の空知(そらち)層群・日高層群堆積(たいせき)物が、白亜紀後期から新生代古第三紀に受けた変動をさし、日高変成帯はその中軸部にある。日高変成帯やその周辺の研究が進むにつれ、この変動は当初考えられたものとは異なり、島弧どうしの衝突テクトニクスの枠組みで考えられるようになった。
日高変成帯の変成岩・火成岩は、古第三紀の火成活動によって形成された島弧地殻下部から上部のもので、大規模な日高主衝上断層に沿って西方へ衝上している。つまり、ここでは地殻深部までの断面がめくれ上がって、地表で見えていることになる。この衝上運動は、新第三紀中新世から鮮新世に、東側のオホーツクプレート(北アメリカプレート)上の千島弧の一部(火山フロントから海溝まで)が、西側のユーラシアプレート上の東北日本弧と衝突したことによるものとされている。なお、新生代第四紀更新世には両プレートの境界は西側へ移動し、現在は日本海東縁にあるとされている。
[村田明広]
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