修行の容易な行、もしくは往生(おうじょう)のし易(やす)い行法をいう。難行に対する語。龍樹(りゅうじゅ)の『十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)』第五易行品(いぎょうほん)には、信方便(信心の方法)の易行によって阿惟越致地(あゆいおっちじ)(不退転の境地)に至るとし、称名(しょうみょう)により不退転に至るを易行と名づけた。中国において曇鸞(どんらん)は、『浄土論註(じょうどろんちゅう)』を著し、易行道を信により仏願力に乗じて浄土に至る道とした。わが国において易行を重視したのは浄土宗および浄土真宗である。易行道について、真宗は、現生(げんしょう)(現世)で不退転に至ることを説き、その点で浄土宗とは異なっている。
[北西 弘]
成仏するのに平易であることをいう。難行に対する語。「十住毘婆娑論(じゅうじゅうびばしゃろん)」に「易行をもって阿惟越致(あゆいおっち)(不退転)にいたるものあり」とある。日本ではとくに浄土宗や浄土真宗などの浄土教系の僧侶が,称名(しょうみょう)念仏や阿弥陀如来への信心による極楽往生や成仏を説き,これを易行といった。これに対し,念仏以外の諸行による往生や成仏は難行とされ,末法(まっぽう)の世の凡夫(ぼんぷ)には困難なこととされた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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