易行(読み)イギョウ

デジタル大辞泉 「易行」の意味・読み・例文・類語

い‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【易行】

仏語。だれにでもたやすく行える修行。⇔難行

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精選版 日本国語大辞典 「易行」の意味・読み・例文・類語

い‐ぎょう‥ギャウ【易行】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。
  2. だれにでもたやすく行なえる仏道修行。やさしい修行。⇔難行(なんぎょう)
    1. [初出の実例]「号高野聖、負空口陀于諸国、是則易行得分之作業故、被于世類、挙入此門下」(出典高野山文書‐応永二〇年(1413)五月二六日・高野山五番衆契状)
    2. [その他の文献]〔十住毘婆沙論‐易行品〕
  3. いぎょうどう(易行道)
    1. [初出の実例]「難行易行の二つの道、ともに欠けたりといへども」(出典:東関紀行(1242頃)前島より興津)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「易行」の意味・わかりやすい解説

易行
いぎょう

修行の容易な行、もしくは往生(おうじょう)のし易(やす)い行法をいう。難行に対する語。龍樹(りゅうじゅ)の『十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)』第五易行品(いぎょうほん)には、信方便(信心の方法)の易行によって阿惟越致地(あゆいおっちじ)(不退転境地)に至るとし、称名(しょうみょう)により不退転に至るを易行と名づけた。中国において曇鸞(どんらん)は、『浄土論註(じょうどろんちゅう)』を著し、易行道を信により仏願力に乗じて浄土に至る道とした。わが国において易行を重視したのは浄土宗および浄土真宗である。易行道について、真宗は、現生(げんしょう)(現世)で不退転に至ることを説き、その点で浄土宗とは異なっている。

北西 弘]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「易行」の解説

易行
いぎょう

成仏するのに平易であることをいう。難行に対する語。「十住毘婆娑論(じゅうじゅうびばしゃろん)」に「易行をもって阿惟越致(あゆいおっち)(不退転)にいたるものあり」とある。日本ではとくに浄土宗や浄土真宗などの浄土教系の僧侶が,称名(しょうみょう)念仏阿弥陀如来への信心による極楽往生や成仏を説き,これを易行といった。これに対し,念仏以外の諸行による往生や成仏は難行とされ,末法(まっぽう)の世の凡夫(ぼんぷ)には困難なこととされた。

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百科事典マイペディア 「易行」の意味・わかりやすい解説

易行【いぎょう】

易行道とも。聖道門(しょうどうもん)の自力の修行を難行というのに対し,阿弥陀仏の願により,浄土に往生して悟りを得るという他力の教えをいう。念仏のこと。
→関連項目浄土門

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