(読み)カイ

デジタル大辞泉 「晦」の意味・読み・例文・類語

かい【晦】[漢字項目]

人名用漢字] [音]カイ(クヮイ)(漢) [訓]つごもり くらい くらます
月の末日。「晦朔かいさく
月が出ず、暗い。「晦冥
よくわからない。「晦渋
人に知られない。くらます。「韜晦とうかい
難読晦日みそか

つ‐ごもり【×晦/晦日】

《「つきごも(月隠)り」の音変化。月が隠れて見えない意から》
月の最後の日。みそか。
陰暦で、月の下旬のほぼ10日間。
富士の山を見れば、五月の―に、雪いと白う降れり」〈伊勢・九〉
[類語]みそか

つもごり【×晦/晦日】

つごもり」の音変化。
「こちゃ初午より―はどうせうやら、たんと払ひがある」〈洒・風流裸人形〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「晦」の意味・読み・例文・類語

つ‐ごもり【晦・晦日】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 月の光が全く隠れて見えなくなること。〔名語記(1275)〕
  3. 月の光が全く見えなくなるころ。陰暦で月のおわりごろ。月末。また、月の末日。転じて、一般に、月の下旬や月の最終日。みそか。
    1. [初出の実例]「時に、毎夜(よなよな)菟餓野(つかの)より、鹿(しか)の鳴(ね)聞ゆること有り。〈略〉月尽(ツコモリ)に及んで、鹿の鳴(ね)(きこ)えず」(出典:日本書紀(720)仁徳三八年七月(前田本訓))
    2. 「是より龍駕を早められて晦日(ツゴモリ)は兵庫の福厳寺と云寺に儲餉の在所を点じて」(出典:太平記(14C後)一一)

晦の語誌

( 1 )語源として単純なキの音節脱落による(ツキゴモリ→ツゴモリ)という説は、他に類例がなく極めて疑問。意味上対をなすツイタチと音節数の平衡性を保つためにキが脱落したという見方もあるが、上代の複合語形成の原則からは、ツキタチ・ツキゴモリよりもツクタチ・ツクゴモリの方が自然であり、従ってツクゴモリ→ツウゴモリ→ツゴモリという変化過程も考えられる。
( 2 )ツキコモリは興福寺本「日本霊異記訓釈に見られ、天治本・享和本「新撰字鏡」にはツキコモリ・ツクコモリの両訓が見られるが、特にツクコモリの意味の限定は難しい。上代において、「ツク━」は「太陰」を表わし、「ツキ━」は暦日の「つき」を表わすという意義分化があった可能性もあり、意義の分裂に沿って語形の分裂が起こった可能性も否定できない。


かいクヮイ【晦】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 日月の光がなく、空が暗いこと。やみ。くらがり。
    1. [初出の実例]「晦(クヮイ)に嚮て入て宴息するなり」(出典:集義和書(1676頃)一一)
  3. 物事がはっきりしないこと。
    1. [初出の実例]「顕にして晦(クヮイ)、肯定にして否定とは」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉)
  4. ( 月が出ないため暗いところから ) 陰暦の月末の日。みそか。つごもり。晦日。〔春秋左伝‐成公一六年〕

つもごり【晦・晦日】

  1. 〘 名詞 〙 「つごもり(晦)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「同晦日(ツモゴリ)配所へ趣給ふ」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)下)

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