暖める(読み)アタタメル

デジタル大辞泉 「暖める」の意味・読み・例文・類語

あたた・める【暖める/温める】

[動マ下一][文]あたた・む[マ下二]
程よい温度に高める。あたたかくする。あっためる。「冷えた手を―・める」「ミルクを―・める」
(温める)
㋐卵がひなにかえるまで大事にかかえる。「卵を―・める」
自分手元にしまっておく。温存する。「―・めていた論文を発表する」
㋒絶えていた人との交際を以前に戻す。「旧交を―・める」
登場する機会がなくて控えている。暇である。「席を―・める」「ベンチを―・める」
自分だけで利益を独占する。また、こっそり自分のものにする。「拾った金を―・める」
[類語]熱するあたたまるほてる暖かいあったか暖か温暖生暖かいぽかぽか温和ぬるいぬくい生ぬるいぬくぬくほやほや暖気ほっくりほくほくほっこりほかほかぬくみぬるみぬくもるぬるむ

あった・める【暖める/温める】

[動マ下一]あたためる」に同じ。「スープを―・める」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「暖める」の意味・読み・例文・類語

あたた・める【暖・温】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]あたた・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 熱を加えて、温度を高くする。あたたかくする。あっためる。
    1. [初出の実例]「乃ち三重郡家に到りて、屋一間(ひとつ)を焚きて、寒き者を熅(アタタメ)令む」(出典日本書紀(720)天武元年六月)
    2. 「酒あたためてたべける薪にこそしてんげれ」(出典:平家物語(13C前)六)
  3. 今までとぎれていた交際を再開する。
    1. [初出の実例]「知人の家々を訪ねて旧交を温めただけ」(出典:夜明け前(1932‐35)〈島崎藤村〉第二部)
  4. 他人の物を、人に知られないようにこっそり自分の物にしてしまう。
  5. 考えや文書を、推敲(すいこう)、調査などのためにしばらくそのままにしておく。未処理のままとっておく。
    1. [初出の実例]「毎日胸の中であたためてゐた思ひだけは、そのまま蔵(しま)っておいた」(出典:Wee(1924)〈細田源吉〉)

あった・める【暖】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙 ( 「あたためる(暖)」の変化した語 )
  2. あたためる(暖)
    1. [初出の実例]「いっそ手あしがひへてなりんせん。ちっとあっためておくんなんし」(出典:洒落本・当世穴知鳥(1777)廓中の諸訳)
  3. あたためる(暖)
  4. あたためる(暖)
    1. [初出の実例]「サア是明親王様。深く隠さっしゃる、三種の神器のその一つ、十握の御剣、あっためてある事を兼て聞く」(出典:歌舞伎・御摂勧進帳(1773)三立)
  5. あたためる(暖)

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