最勝院(読み)サイショウイン

デジタル大辞泉 「最勝院」の意味・読み・例文・類語

さいしょう‐いん〔‐ヰン〕【最勝院】

青森県弘前市銅屋町にある真言宗の寺。境内にある五重塔は国の重要文化財

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日本歴史地名大系 「最勝院」の解説

最勝院
さいしよういん

[現在地名]弘前市銅屋町

銅屋どうや町西側の台地上にあり、町内とは仁王におう坂で結ばれ、境内に五重塔、太子たいし堂、八坂やさか神社がある。金剛山と号し、真言宗智山派。本尊は正観音。光明こうみよう寺ともよんだ。もと智積ちしやく(現京都市東山区)末寺。

津軽一統志」に由緒を次のように記している。

<資料は省略されています>

正保三年(一六四六)津軽弘前城之絵図(内閣文庫蔵)にも、八幡宮とともに「別当 真言宗 最勝院」とあり、すでに八幡宮の別当職についていた。「津軽歴代記類」によれば、弘前城下建設の際、八幡宮建築を最勝院が命ぜられたという。堀越ほりこし村から城の北東の町へ移転し、三〇〇石の寺領が支給され、配下に吉祥きつしよう院・竜蔵りゆうぞう院・歓喜かんぎ院・西善さいぜん院・東覚とうがく院・正覚しようがく院・教応きようおう院・神徳しんとく院の八ヵ寺があって、これらの寺はいずれも一五石を支給された(津軽一統志)


最勝院
さいしよういん

[現在地名]鳥取市湯所町一丁目

久松きゆうしよう山と雁金かりがね山の間の谷間、道祖神さいの乢と称された坂の中腹に位置する。医王山と号し、高野山真言宗。本尊薬師如来。江戸時代鳥取城下てら町にあり、もとは薬王山とも号した。鳥取藩は四ヵ寺に次ぐ八ヵ寺の寺格に処して祈願所とし、領内真言宗の触頭とした。寺伝によれば、慶長年間(一五九六―一六一五)は池田氏の祈願寺として播磨姫路城内にあり、池田氏転封に従い岡山、さらに鳥取に移った。


最勝院
さいしよういん

[現在地名]中伊豆町宮上

曹洞宗、妙高山金光明こんこうみよう寺最勝院と号し、本尊釈迦如来仏。創建の由来は諸説あり確定されない。寺蔵の最勝院縁起には、永享五年(一四三三)関東管領上杉憲清が祖父重兼のために鎮守島にあった真言宗西勝寺の廃寺を再興したとある。「日本洞上聯灯録」では、同一二年一一月一三日に上杉憲清が先祖の菩提を弔うため大見おおみ庄に寺院を建立し、吾宝宗を招いて最勝院の開山としたとする。「増訂豆州志稿」は、上杉憲忠が叔父上杉清方の菩提を弔うために吾宝を開祖として建立したもので、寺号は清方の法号最勝院に基づくとする。吾宝は本寺である相模国関本最乗せきもとさいじよう(現神奈川県南足柄市)三世大綱明宗の弟子で、長禄元年(一四五七)に没するまで弟子の育成に努めた(日本洞上聯灯録)


最勝院
さいしよういん

[現在地名]春日部市粕壁三丁目

古利根川南岸沿いにある。真言宗智山派。華林山慈恩じおん寺と号し本尊千手観音。慈恩寺(現岩槻市)観音堂の別当尊が、永正元年(一五〇四)糟壁かすかべの地へ引移って建立したと伝え、初めは天台宗の寺院であったという(風土記稿)。当寺周辺一帯が岩付いわつき(現岩槻市)城主太田氏の領地であり、同じ山号・寺号を用いることから、慈恩寺(現同上)がかつては天台・真言両宗の子院を擁していた可能性もある。中興開山は俊弘で、延宝七年(一六七九)の没。俊弘は在地道俗の信仰を得て寺院伽藍を整えたという(同書)


最勝院
さいしよういん

[現在地名]那須町芦野 上ノ町

米沢山金光峯寺と号し、曹洞宗、本尊は聖観音。開創については明らかではなく、「那須町誌」などによれば、永禄年間(一五五八―七〇)には唐木田からきだ東方丘陵地にあって律宗であったという。天正五年(一五七七)玄隣を中興開山として移転、開基は芦野氏で、同氏の菩提寺になったと伝える。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「最勝院」の意味・わかりやすい解説

最勝院
さいしょういん

青森県弘前(ひろさき)市銅屋(どうや)町にある真言(しんごん)宗智山(ちさん)派の寺。山号は金剛山(こんごうさん)。本尊は大日如来(だいにちにょらい)。1532年(天文1)春、弘信僧都(ひろのぶそうず)が陸奥(むつ)国(青森県)平賀郡堀越に3宇の伽藍(がらん)を造営したのに始まる。1612年(慶長17)弘前藩2代藩主津軽信枚(のぶひら)が弘前城下に弘前八幡宮(はちまんぐう)を創建したおり、当院はその別当寺となった。弘前藩の真言五山の筆頭として寺領300石を与えられた。明治維新のとき八幡宮と分離し大円寺跡(現在地)へ移転した。寺宝には1855年(安政2)書の「神社微細社司由緒調書上帳」8冊などがある。

[祖父江章子]

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百科事典マイペディア 「最勝院」の意味・わかりやすい解説

最勝院【さいしょういん】

青森県弘前(ひろさき)市にある真言宗智山(ちざん)派の寺。光明(こうみょう)寺とも。本尊聖観音。1532年僧弘信(こうしん)が堀越(ほりこし)に開基,弘前城下建設の際,城の北東に建てられた八幡宮の別当職に着いて移転。1870年城南の大円(だいえん)寺跡地の現在地に移った。境内の五重塔(重要文化財)はもと大円寺の宝塔であった。

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