大円寺(読み)だいえんじ

日本歴史地名大系 「大円寺」の解説

大円寺
だいえんじ

[現在地名]福江市三尾野町

福江川右岸にある。広嶽山と号し、曹洞宗。本尊釈迦如来。応永一〇年(一四〇三)宇久勝が禅寺松月しようげつ庵を建立したのが始まりで、開山の寿峰は松浦まつら久里くり(現佐賀県唐津市)医王いおう寺を開いた無着妙融三世の法孫という。大永元年(一五二一)宇久盛定がこの庵を再興、大円寺の寺号を与え菩提寺とした(「大円寺由緒」公譜別録拾遺)。これ以前の宇久氏の菩提寺は大津の清浄おおつのしようじよう寺であったが、永正四年(一五〇七)の玉之浦納の乱で同寺は納の妻が宇久惣領家に反することを諭したとして、乱後宇久家は大円寺を菩提寺としたという。

大円寺
だいえんじ

[現在地名]大鰐町蔵館

蔵館くらだて集落の西南村岡むらおかにあり、神岡山と号し、高野山真言宗。本尊の阿弥陀如来(通称大日如来)は国指定重要文化財

もと大円寺は弘前銅屋どうや町にあり、この地には高伯こうはく寺があった。明治五年(一八七二)大円寺の地に最勝さいしよう院が移り、大円寺は無住であった高伯寺に移った(南津軽郡是)。大円寺は「津軽一統志」によれば、かつては種里たねさと一ッ森ひとっもり(現西津軽郡鰺ヶ沢町)にあり、文亀年中(一五〇一―〇四)大円坊の開基。寛永年間(一六二四―四四)から明治五年まで現最勝院の地にあったという(新撰陸奥国誌)

高伯寺は「津軽一統志」によれば、後白河院が六六ヵ国に建立した国分寺の一つであったが荒廃し、慶安三年(一六五〇)三代藩主津軽信義が大日如来を京都で修復し、神岡山から現在地へ移して慶海を別当としたとする。

大円寺
だいえんじ

[現在地名]川井村小国

大梵天だいぼんてん館の山麓字寺倉てらくらにある。鶏頭山と号し曹洞宗で、本尊は釈迦如来。江戸時代には正法しようぼう(現水沢市)の末で報恩ほうおん(現盛岡市)の支配下にあった(邦内郷村志)。応永元年(一三九四)、正法寺二代月泉の開基と伝える。月泉は初め江繋えつなぎ村字桐内きりないに草庵を結ぶが、のち湯沢ゆざわに移して湯沢山大円寺と称し、のちさらに現在地に移したという。文亀二年(一五〇二)武田彦十郎忠直が小国おぐに村を領し、大梵天館を築くにあたって、その帰依を得て中興するが、武田氏は三代にして滅亡したため、以後江戸時代中期まで百数十年間無住となった。

大円寺
だいえんじ

土穴つちあなにある。玉水山と号し、曹洞宗。本尊は十一面観音。神亀二年(七二五)の開創と伝え、本尊は行基作という。弘安二年(一二七九)肥後大慈だいじ(現熊本市)寒巌義尹により曹洞宗に改められたという。星野氏代々の菩提所として七堂伽藍と八院を構え、星野谷に一〇末寺を擁していた(縁起版木)。文中三年(一三七四)征西将軍宮懐良親王が高良こうら(現久留米市)撤退後、星野谷に退き、星野川対岸の小野おのに所在を構えたという。

大円寺
だいえんじ

[現在地名]津山市西寺町

江戸時代には出雲往来の北側に面し、東は愛染あいぜん寺、南は出雲往来を隔てて妙法みようほう寺、北は西新座にししんざの侍屋敷であった(宝永町絵図)天台宗、高徳山と号し、本尊阿弥陀如来。境内は東西四八間余・南北三四間。開祖の豪顕の卒年は承応二年(一六五三)と伝えるから、開創は文禄―慶長(一五九二―一六一五)頃か。初めは創立者の恵比須屋善六の名にちなんで恵比須山善六ぜんろく寺と称し、のちの二階にかい町辺りにあったが、森忠政城下町を創設するにあたり現在地に移したという(津山誌)

大円寺
だいえんじ

[現在地名]東久留米市小山二丁目

普門山と号し、天台宗。本尊は阿弥陀如来。もと入間郡古尾谷灌頂ふるおやかんじよう(現埼玉県川越市)末。古刹とされるが創建年代は不明。現在の本堂は明和二年(一七六五)に建立された(棟札)。当寺は同じく灌頂院末であった前沢まえさわ村の延命えんめい寺を天保六年(一八三五)に合併、南沢みなみさわ観音寺も大正三年(一九一四)に合併した。

大円寺
だいえんじ

[現在地名]川西町上小松

よこ町にあり、亀森山と号し、真言宗醍醐派。本尊阿弥陀如来。延徳元年(一四八九)・享禄二年(一五二九)の棟札を蔵する。寛平八年(八九六)泰知阿闍梨が止錫し、村人とはかって仏堂を建て、仏舎利羅院と号したのが起りで、康和(一〇九九―一一〇四)以前、天清の中興開基と伝える。

大円寺
だいえんじ

[現在地名]守谷町大木

六十六社ろくじゆうろくしや神社東方の高台に所在。釈迦山と号し、曹洞宗。本尊釈迦牟尼如来。推古天皇の時、悦翁が開山したと伝えられるが未詳。天正年中(一五七三―九二)相馬源三郎胤吉が当寺を修理、その後一時退廃し、堂宇の破損が著しかったが、旗本一色義直が修理を加えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

デジタル大辞泉プラス 「大円寺」の解説

大円寺〔青森県〕

青森県南津軽郡大鰐町にある高野山真言宗の寺院。山号は神岡山。本尊の木造阿弥陀如来坐像(寺伝大日如来像)は国の重要文化財に指定。「大鰐の大日様」とも呼ばれる。

大円寺〔東京都〕

東京都目黒区にある天台宗の寺院。寛永年間(1624~1645)の開創と伝わる。山号は松林山、本尊は釈迦如来。大黒寺とも呼ばれる。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android