金剛頂寺(読み)コンゴウチョウジ

デジタル大辞泉 「金剛頂寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうちょう‐じ〔コンガウチヤウ‐〕【金剛頂寺】

高知県室戸市元にある真言宗豊山派の寺。山号は竜頭山。大同年間(806~810)空海創建と伝える。四国八十八箇所第26番札所所蔵の阿弥陀如来像・金銅密教法具などは重文西寺

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精選版 日本国語大辞典 「金剛頂寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうちょう‐じコンガウチャウ‥【金剛頂寺】

  1. 高知県室戸市元にある真言宗豊山派の寺。山号は龍頭山。大同二年(八〇七平城天皇勅願により空海の創建と伝えられる。最御崎寺(ほつみさきじ)東寺とよぶのに対して、西寺とよばれる。四国八十八所の第二六番札所。

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日本歴史地名大系 「金剛頂寺」の解説

金剛頂寺
こんごうちようじ

[現在地名]室戸市元 崎山

行当ぎようど岬の東北、崎山さきやま台地の標高一六〇メートルの景勝地にある。龍頭山光明院と号し、真言宗豊山派。本尊薬師如来室戸岬にある最御崎ほつみさき寺を東寺ひがしでらというのに対し、当寺は西寺にしでらと称する。四国霊場八十八ヵ所の二六番札所で、御詠歌に「往生にのぞみをかくる極楽は月の傾く西寺の空」とうたわれる。

「南路志」所引の寺記によれば大同元年(八〇六)空海が草創した最初の寺で、空海は唐より帰国の途次、行当岬のすずり浦へ船を着け、すぐこの山へ登り方四町を結界の地としたという。しかし一般には同二年の開基とされ、二世住持智光(智弘・智行・智証とも伝える)が空海の弟子のなかでもとくに徳行をもって聞え、初め京都高雄神護たかおじんご寺の住持を兼ねていたが、のちこの地に隠棲したため空海から伝えられた品が当寺の什物として残ったという。

延久二年(一〇七〇)七月八日付の金剛頂寺解案(東寺百合文書)には「謹案旧記、件寺者、弘法大師祈下明星初行之地、智弘和尚真言法界練行之砌、天人(脱アルカ)之処、明星来影之嶺也、因大師手造薬師仏像、安置件嶺、不論男女輙不乱入之道場也、是以始自国宰至于庶民、為仰当寺仏法之霊験、各所施入山川田畠等也、仍任各施入本意、以件地利、備仏聖灯油、充堂舎修理、計其領知之年、漸経数百歳矣」とあり、すでに平安時代中期に空海自刻の薬師如来を本尊とする、真言宗にとっては重要な寺として確立していたことが知られる。前述の寺記は嵯峨淳和両天皇の勅願所とされ、一〇世までの住持は宣旨により寺務にあたったと伝える。同解案に「寺四至者、東限海岸(脱アルカ)西限波禰中山、北限佐貴河」とあるように、当時の寺領は現在の室戸市の大部分が含まれる広さであった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金剛頂寺」の意味・わかりやすい解説

金剛頂寺
こんごうちょうじ

高知県室戸(むろと)市元(もと)にある真言(しんごん)宗豊山(ぶざん)派の寺。龍頭山(りゅうとうさん)光明院と号する。本尊は薬師如来(やくしにょらい)。四国八十八か所霊場26番札所。室戸岬の最御崎寺(ほつみさきじ)を東寺(ひがしでら)とよぶのに対し、西寺(にしでら)とよばれる。弘法(こうぼう)大師空海は唐より帰国後、当地で修行。807年(大同2)に当寺を創建した。空海自刻の薬師如来を本尊として、嵯峨(さが)、淳和(じゅんな)両天皇の勅願所となったといわれる。鎌倉末期には、当寺の住持は最御崎寺や京都槇尾(まきのお)西明寺(さいみょうじ)の住持を兼帯するなど勢力を広げ、寺領も広大であった。

 戦国時代には土豪の香宗我部(こうそがべ)氏、ついで長宗我部(ちょうそがべ)氏の庇護(ひご)を受けた。1601年(慶長6)に入国した藩主山内氏は当寺を祈祷(きとう)所に定め、堂舎を再建したが、1899年(明治32)の大火で大量の古文書、文化財を焼失。現在、1327年(嘉暦2)作の板彫真言八祖像、木造阿弥陀(あみだ)如来坐像(ざぞう)(平安末)、銅造観音菩薩(かんのんぼさつ)立像、金銅密教法具、銅鐘(朝鮮鐘)などの国重要文化財がある。

[水谷 類]


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百科事典マイペディア 「金剛頂寺」の意味・わかりやすい解説

金剛頂寺【こんごうちょうじ】

高知県室戸(むろと)市行当(ぎょうど)岬にある真言宗豊山(ぶざん)派の寺。本尊薬師如来。西寺(にしでら)とも。四国八十八ヵ所26番札所。9世紀初頭空海が開創,嵯峨(さが)・淳和(じゅんな)両天皇の勅願所とされたという。鎌倉末期には最御崎(ほつみさき)寺・京都西明(さいみょう)寺の住持を兼帯。江戸期には高知藩山内家の祈祷所として保護された。板彫真言八祖像・木造阿弥陀如来座像・銅造観音菩薩立像・大比廬遮那(だいびるしゃな)経7巻・銅鐘などは重要文化財。

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デジタル大辞泉プラス 「金剛頂寺」の解説

金剛頂寺

高知県室戸市にある寺院。真言宗豊山派。大同年間(806~810)創建と伝わる。山号、龍頭(りゅうず)山。院号、光明院。本尊は薬師如来。四国八十八ヶ所霊場第26番札所。「西寺」とも呼ばれる。

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事典・日本の観光資源 「金剛頂寺」の解説

金剛頂寺(第26番)

(高知県室戸市)
四国八十八箇所」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の金剛頂寺の言及

【室戸岬】より

…空海修行の地で,その著《三教指帰(さんごうしいき)》に〈土州室戸崎〉と記されている。唐より帰国ののち,岬の山上に807年(大同2)建立したと伝えるのが最御崎(ほつみさき)寺(四国八十八ヵ所24番札所)で,行当岬近くにある金剛頂寺(26番札所)を西寺(にしでら)とよぶのに対し東寺とよばれる。海食洞の御蔵(みくら)洞,一夜建立の岩屋など,付近には空海にかかわる伝承を伝えるものが多い。…

※「金剛頂寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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