木頭(読み)キガシラ

デジタル大辞泉 「木頭」の意味・読み・例文・類語

き‐がしら【木頭/×柝頭】

歌舞伎で、幕切れに打つ拍子木最初の音。きのかしら。

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精選版 日本国語大辞典 「木頭」の意味・読み・例文・類語

き‐がしら【木頭・柝頭】

  1. 〘 名詞 〙き(木)の頭(かしら)
    1. [初出の実例]「此時うしろにてツケの音して幕切の木頭(キガシラ)聞える」(出典:歌舞伎・月梅薫朧夜(花井お梅)(1888)二幕)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「木頭」の意味・わかりやすい解説

木頭(地域名)
きとう

徳島県中南部、那賀(なか)郡那賀町に統合された旧木頭村、旧木沢(きさわ)村、旧上那賀町を総称する地域名。那賀川流域のいわゆる木頭林業地帯をなし、約5万ヘクタールの森林ではスギ人工造林が進む。流域は剣(つるぎ)山地南斜面で年降水量は3000ミリメートル、平均気温14℃でスギの生育に適している。木頭材は目は粗いが色つやがよく、板材、造作材、柱材などに利用される。造林は明治中期から本格化し、1955年(昭和30)森林公団により林道が開発され、木材の川による流送はトラック輸送に転換した。人工林は全面積の7割以上を占め、スギが多い。輸入材の増加や就業者の高齢化など、厳しい状況に対処するため、1992年(平成4)には旧相生町(現、那賀町)の組合も含む4組合で木頭森林組合が設立された。なお、近年ではユズの栽培が増加している。

高木秀樹]


木頭(旧村名)
きとう

徳島県南西部那賀郡(なかぐん)にあった旧村名(木頭村(そん))。現在は那賀町の西部を占める地域。旧木頭村は、2005年(平成17)鷲敷(わじき)、相生(あいおい)、上那賀の3町および木沢(きさわ)村と合併して那賀町となった。剣(つるぎ)山地南部、那賀川の上流域にある。国道195号、四ツ足峠トンネルで高知県の物部(ものべ)川流域に通ずる。杉の美林で知られるいわゆる木頭林業地帯の中心である。明治初期に徳島藩の藩有林から転換した民有林が多く、木材はかつては那賀川を利用して流されたが、現在はダム設置のため陸上輸送。那賀川総合開発で道路も整備され林業開発も進んでいる。また近年では、ユズの生産が盛ん。跡継ぎとは別棟に住む隠居制が残っているが、過疎化で集落の再編成がみられる。お盆の木頭踊は有名。北西部一帯は剣山国定公園の一部である。なお、旧木頭村は国の計画したダム建設を20年以上にわたり村をあげて反対運動を展開、2000年にダム計画を中止させたことでも知られる。

[高木秀樹]

『『木頭村誌』(1961・木頭村)』

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改訂新版 世界大百科事典 「木頭」の意味・わかりやすい解説

木頭 (きとう)

徳島県南部,那賀郡木頭村,木沢村,上那賀町の3ヵ町村(3町とも現在は那賀町)にわたる地域名。那賀川上流域を占め,いわゆる木頭林業地帯をなす。この地方は古くから杉の美林で知られ,近世には藩有林であったが,明治初期に民有林となり,明治中期から造林が本格的に進められた。現在は5万haの森林で杉の人工造林が進められ,人工林は全面積の2/3を占めている。この流域は剣山の南斜面に当たり,年降水量3000mm,平均気温14℃で杉の生育に適している。木頭杉は目は粗いが色つやが良く,板材,造作材,柱材などに利用されている。1908年桜谷発電所ダムの建設でいかだ流しができなくなり,流筏労働者に対する補償問題がおこり,労働運動に発展したが,1950年那賀川の総合開発の一環として,長安口ダムが56年完成したためいかだ流しは完全に不可能となり,運動は消滅した。国道195号線の整備とともに,運材はトラック輸送に変わり,林産資源の開発が促進された。
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木頭(旧村) (きとう)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「木頭」の意味・わかりやすい解説

木頭
きとう

徳島県中南部,那賀町西部の旧村域。那賀川最上流域にある。 1957年木頭村と上木頭 (かみきとう) 村の一部が合体し木頭村が発足。 2005年相生町,上那賀町,鷲敷町,木沢村と合体し那賀町となる。スギの美林があり,木頭林業地帯として知られ,木材は国道 195号線を通って運搬される。スギの高級割箸を産し,ユズは特産。村域は中部山渓県立自然公園剣山国定公園に属する。剣山スーパー林道沿いに高の瀬峡の秘境がある。

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百科事典マイペディア 「木頭」の意味・わかりやすい解説

木頭【きとう】

徳島県中南部,那賀郡上那賀町西部と木頭村(2町村とも現・那賀町)の地域。古くからの林業地帯で,藩有林として保護され明治以後民有林となった杉の美林が多い。かつては那賀川を利用して搬出したが,那賀川総合開発によるダム建設後陸上輸送している。
→関連項目上那賀[町]那賀川

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