兵庫県南西部、播磨灘(はりまなだ)に臨む工業都市。1942年(昭和17)市制施行。1954年(昭和29)若狭野(わかさの)、矢野の2村を編入。相生の地名は、一説にもと那波浦(なばうら)字(あざ)大浦といったが、12世紀末ごろ大島に城を構えた海老名(えびな)氏の生国相模(さがみ)にちなみ、相生と改め、大島の大の音をとって「おお」と読ませたという。市域は、南北約19キロメートル、東西約7キロメートルと細長く、山地や丘陵が多く、低地は河谷や海岸部にみられるのみである。相生湾は沈水海岸で、湾入が約6キロメートルにも及び、水深6~7メートルの天然の良港。JR山陽新幹線と山陽本線が通じ、JR赤穂線(あこうせん)を分岐する。また国道2号、250号、山陽自動車道、播磨自動車道が走る。一帯は、古くは秦(はた)氏の支配地で久富保(ひさとみほ)といい、12世紀以降矢野荘(やののしょう)となる。近世には赤穂藩に領知され、のちに一部は諸藩に分轄された。1907年(明治40)に播磨船渠(せんきょ)株式会社(のちの石川島播磨重工業。現、IHI)が創設されてから、造船の町として繁栄した。現在でも造船関連工業が立地しているが、造船業の構造不況に伴い、脱造船の動きを強め、西播磨テクノポリスの副母都市として先端工業の導入に努めている。海岸部は瀬戸内海国立公園、北部は西播丘陵県立自然公園に属し、初夏に行われるペーロン祭、瓜生(うりゅう)の羅漢(らかん)石仏は珍しい。中世山城の遺構である感状山城跡は国指定史跡。面積90.40平方キロメートル、人口2万8355(2020)。
[富岡儀八]
『『相生市史』全9冊(1984~1995・相生市)』
徳島県中南部、那賀郡(なかぐん)にあった旧町名(相生町(ちょう))。現在は那賀町の東部を占める地域。旧相生町は、1956年(昭和31)相生、延野(のぶの)、日野谷(ひのたに)の3村が合併して町制施行。2005年(平成17)鷲敷(わじき)、上那賀の2町および木沢(きさわ)、木頭(きとう)の2村と合併して那賀町となった。那賀川中流域に位置し、地域の90%は山林で、住民の所有林が多い。東西に国道195号が走る。主産業は林業。特産は河岸段丘上に栽培される相生茶。日野谷、川口の両発電所が立地する。川口ダム湖畔には、もみじ川温泉がある。
[高木秀樹]
『『相生町誌』(1973・相生町)』▽『『相生町誌 続編』(2005・相生町)』
兵庫県南西部,播磨灘に臨む市。かつては相生(おお)町と呼んでいたが,1939年那波(なば)町を編入した際,相生(あいおい)町と改称。42年市制,54年若狭野村,矢野村を編入。人口3万1158(2010)。市の北部一帯は中世のころは東寺領の矢野荘に含まれていた。江戸時代から相生は港町として栄え,現在は日本の代表的な造船都市として知られている。深く湾入した相生湾は天然の良港であるが平地に乏しく,工業地区や公共施設は埋立地に立地している。市街地はもと漁村の相生,湾奥の商港那波,陸(くが)などからなるが,山陽新幹線や山陽自動車道の開通に伴い,市街地は北方に拡大している。播磨自動車道が分岐する。相生の発展は1908年播磨船渠会社(現,石川島播磨重工業相生工場)の創設に始まる。初期は修理専門の小規模な工場であったが,第1次世界大戦時の造船ブームに乗じて設備を拡充し,造船都市としての地歩を固めた。第2次大戦後,一時衰退したが,高度成長期に大型タンカーの量産に成功し一つの造船所としては世界最大の建造実績を誇った。しかし73年の石油ショック後,造船業の構造不況の影響を受け市勢は停滞している。
執筆者:小森 星児
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…縁談においては後者による相性が問題とされることがあり,江戸時代ころからこの知識がひろまった。一般に木と火,火と土,土と金,金と水,水と木などの性は相生(そうじよう),水と火,火と金,金と木,木と土,土と火の性は相克(大凶)とされた。向かい干支(えと)として子と午,丑と未,卯と酉,申と寅,亥と巳歳も相生とされた。…
※「相生」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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