東条義門(読み)トウジョウギモン

デジタル大辞泉 「東条義門」の意味・読み・例文・類語

とうじょう‐ぎもん〔トウデウ‐〕【東条義門】

[1786~1843]江戸後期の国学者若狭の人。用言活用や「てにをは」などの研究貢献。著「山口栞」「活語指南」など。

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精選版 日本国語大辞典 「東条義門」の意味・読み・例文・類語

とうじょう‐ぎもん【東条義門】

江戸後期の国語学者。若狭国福井県妙玄寺住職。用言の活用、助詞音韻を研究。著に「活語指南」「山口栞」「男信」など。天明六~天保一四年(一七八六‐一八四三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「東条義門」の意味・わかりやすい解説

東条義門
とうじょうぎもん
(1786―1843)

国語学者、真宗大谷派の僧。天明(てんめい)6年7月7日若狭(わかさ)国小浜(おばま)(福井県小浜市)の妙玄寺の住職伝瑞(でんずい)の三男として生まれる。一時田辺の願蔵寺の養子となったが、1807年(文化4)兄実伝(じつでん)が没したので妙玄寺の住職となる。教学を高倉学寮に学び、歌文を藤井高尚(ふじいたかなお)に学んだ。とくに本居宣長(もとおりのりなが)・春庭(はるにわ)の国語の研究に関心をもち、精細な論証を行い、その補訂に努めた。その著『友鏡』は宣長の『てにをは紐鏡(ひもかがみ)』を補正した図表で、のち改めて『和語説略図』とし、『活語指南』で説明を加えた。形容詞も含め、用言の六活用形に名称を与えている。また『男信(なましな)』では、漢字音の韻尾にn音とm音の区別があり、それが日本の古い地名表記などに示されていることを考証して宣長の見解を訂正し、『山口栞(やまぐちのしおり)』では古語の活用の仕方の従来の判断を正した。天保(てんぽう)14年8月15日没。

[古田東朔 2018年10月19日]

『吉沢博士還暦記念会編『義門全集 上』(1943・帝国教育会出版部)』『三木幸信編『義門研究資料集成』上中下(1966~1968・風間書房)』『三木幸信編『義門研究資料集成 別巻1、2』(1973、1974・墨水書房)』『三木幸信編『義門研究資料集成 別巻3』(1976・桜楓社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「東条義門」の意味・わかりやすい解説

東条義門 (とうじょうぎもん)
生没年:1786-1843(天明6-天保14)

江戸時代の国語学者。若狭国小浜(現,福井県小浜市)の妙玄寺(浄土真宗)に生まれる。法名は霊伝,義門は通称である。幼時から聡明で学を好み,京都の高倉学寮に遊学し,また藤井高尚(たかなお)に歌文を学び,23歳で妙玄寺の住職となった。国語学は本居宣長・春庭の影響を受け,これを継承発展させた。国語学に関する業績はきわめて多く,音韻には漢字音を研究した《男信(なましな)》,オ・ヲの研究をした《於乎軽重義(おおきようじゆうぎ)》があり,活用の研究に《友鏡》《真宗聖教和語説》《活語指南》,〈てにをは〉の研究に《玉緒繰分(たまのおくりわけ)》,形容詞研究に《山口栞(やまぐちのしおり)》があるが,特に活用研究は優れている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東条義門」の意味・わかりやすい解説

東条義門
とうじょうぎもん

[生]天明6(1786).7.7. 若狭
[没]天保14(1843).8.15. 若狭
江戸時代後期の国学者。真宗東本願寺の僧。独学で国語を研究し,本居宣長本居春庭の学説を受けて発展させた。特に『和語説略図 (わごせつのりゃくず) 』 (1833) ,『山口栞 (やまぐちのしおり) 』 (36) ,『活語指南 (かつごしなん) 』 (44) などで用言の活用の研究を集大成した業績は大きい。これは現在の学校文法にもかなり引継がれている。音韻研究の面でも『男信 (なましな) 』 (1842) などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「東条義門」の解説

東条義門 とうじょう-ぎもん

1786-1843 江戸時代後期の僧,国語学者。
天明6年7月7日生まれ。若狭(わかさ)(福井県)の真宗大谷派妙玄寺住職。藤井高尚(たかなお)に歌文をまなび,本居宣長(もとおり-のりなが)・春庭(はるにわ)の国語学を独学。真宗聖典の正確な解釈につとめる。用言の活用や音韻の研究でも業績をのこした。天保(てんぽう)14年8月15日死去。58歳。法名は霊伝。号は白雪楼。著作に「奈万之奈」「真宗聖教和語説」など。

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百科事典マイペディア 「東条義門」の意味・わかりやすい解説

東条義門【とうじょうぎもん】

江戸末期の浄土真宗僧侶,国語学者。法名は霊伝(れいでん),義門は通称。若狭(わかさ)国小浜(おばま)の人。独学で国語学を研究し,用言の活用,品詞分類,音韻の研究に業績が多い。主著は《友鏡》《和語説略図》《男信(なましな)》など。

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