出端(読み)デハナ

デジタル大辞泉 「出端」の意味・読み・例文・類語

で‐はな【出▽端】

《「でばな」とも》
1 (「出鼻」とも書く)出ようとしたとたん。また、出たとたん。「出端に門前でばったり会う」
2 (「出鼻」とも書く)物事のやりはじめ。また、やりはじめの勢いの盛んな時期。「事業の出端からつまずく」
3 ⇒出花でばな
[類語](1)出掛け・出しな/(2)始め・最初・当初・初期・初頭・劈頭へきとう・冒頭・出出でだし・滑り出し・初手しょて・端はな・初しょっ端ぱな・まず・第一・一次・原初・嚆矢こうし・手始め・事始め・優先・一番・いの一番・真っ先・先立ち・先頭・始期・早期・端はし・口開け・取っ付き・頭あたま・のっけ・スタート・取り敢えず・差し当たり・ひとまず・当座・序の口・皮切り・第一歩・第一声・始まり・始まる・始める・トップ・初発・発端・端緒・濫觴らんしょう・権輿けんよ・起こり・緒・とば口・取っ掛かり・開始・幕開き・開幕・立ち上がり・口切り・最優先・何をおいても・何はさておき・何はともあれ・口火を切る・先ず以て・優先的・先さき・第一義・重要視・前半・先んずる・先立つ・先駆ける・先走る・先に立つ・先頭を切る・先行・先導・主導・誘導・率先・音頭取り・先駆・前駆・先回り・抜け駆け・リード・先決・先順位・機先を制する・イニシアチブ・プライオリティー

で‐は【出端】

1 《「でば」とも》外へ出るきっかけ。
「跳ね返されて、―を失って、ごうと吼ほえている」〈漱石・坑夫〉
2 《「でば」とも》外出する手段。交通の便。
「わざわざこんな―の悪い処へ引込んで」〈荷風・腕くらべ〉
3 能で、神・鬼・精・霊などの後ジテやツレが登場するときに用いる囃子はやし。
4 歌舞伎で、主役などの登場。また、その際の所作や下座音楽。
5 舞踊的な芸能で、登場するとき、また、退場するときの舞踊・音楽など。出羽。⇔入端いりは。
6 《「でば」とも》ちょうど出るおり。出しな。出ばな。
「あれあれ、いま月の―ぢゃ」〈和泉流狂・吹取り〉
[類語]始め・最初・当初・初期・初頭・劈頭へきとう・冒頭・出出でだし・滑り出し・初手しょて・出端ではな・端はな・初っ端ぱな

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精選版 日本国語大辞典 「出端」の意味・読み・例文・類語

で‐は【出端】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 出かけるとたん。出ばな。出ぎわ。出しな。
    1. [初出の実例]「一せいははやしのてはか郭公(ほととぎす)〈定房〉」(出典:俳諧・崑山集(1651)五)
  3. ② ( 「でば」とも ) 出るてがかり、きっかけ。出るのによいおり、また場所。
    1. [初出の実例]「夜廻りをなす中間共に見咎められて出端(デハ)を失ひ」(出典:歌舞伎・芽出柳緑翠松前(1883)大詰)
  4. ③ ( 「でば」とも ) 出るための便。地の利。
    1. [初出の実例]「万世橋際がいい。何処へ往くにも出端(デハ)がいいから」(出典:都会(1908)〈生田葵山〉不安)
  5. ④ 能で、後シテ、または後ツレが登場する際に奏する囃子(はやし)。大鼓・小鼓・笛と太鼓で演奏する。神(「高砂」「春日龍神」など)・鬼(「殺生石」など)・精(「老松」など)・霊(「融(とおる)」「砧」など)等の登場に広く用いるが、人間・化身の登場には用いない。
    1. [初出の実例]「後のではの、はしがかり、さしごゑ、一せいよりうつる所は、わきのしてのもの也」(出典:申楽談儀(1430)能の色どり)
  6. ⑤ 歌舞伎で、主役の登場。また、その際の舞踊。あるいは、伴奏の囃子や浄瑠璃。
    1. [初出の実例]「ことさらはしがかりの出はなどの、あっぱれ見事さ」(出典:評判記・役者評判蚰蜒(1674)今村久米之助)

で‐ばな【出端】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ではな」とも。「はな」は物事の初めの意 )
  2. ① ( 「出鼻」とも書く ) 出たばかりの時。出はじめ。出ぎわ。また、出はじめの勢いの盛んなころ。はじめのすぐれてよいところ。
    1. [初出の実例]「水はてはなであたらしく生(さん)なぞ」(出典:三体詩幻雲抄(1527))
    2. 「色茶屋の色の出花の里ぞとは」(出典:浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)下)
  3. ② =ではずれ(出外)
    1. [初出の実例]「此宿の出端(デバナ)より、あとになりさきになり行、三人づれの旅人」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四)
  4. ③ ( 「出花」とも書く ) 番茶・煎茶(せんちゃ)で、湯を注いだばかりの、かおりのよいころあい。
    1. [初出の実例]「木がらしや夜半過たる茶の出はな〈里東〉」(出典:俳諧・俳諧勧進牒(1691)上)
  5. ④ ( 「出花」とも書く ) 茶。もと、花柳界の語で芸者や娼婦の売れないことを「お茶をひく」ということから、茶を忌んでいったもの。
  6. ⑤ 出たさき、店先、店頭など。
    1. [初出の実例]「廛(みせ)の出ばなに行て見れば」(出典:咄本・気のくすり(1779)くら替)

いで‐は【出端】

  1. 〘 名詞 〙 出るべき時期。では。〔文明本節用集(室町中)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「出端」の意味・わかりやすい解説

出端
では

日本音楽,演劇,舞踊の用語。役者または踊り手の登場の際の音楽,または楽曲の部分およびその舞踊をいう。種目によって内容が異なる。 (1) 能では,神仏,鬼畜,精霊などの後ジテおよびそのツレの登場の囃子。大小鼓,笛に太鼓が入る。太鼓の一声 (いっせい) ともいう。 (2) 歌舞伎または舞踊における人物の登場のこと,およびその伴奏音楽またはそのところにあたる楽曲の構成部分。花道で演じられることが多い。歌曲を用いる場合,その歌を出端歌ともいう。下座 (げざ) としては,主役の登場に打つ囃子をいい,能にならって太鼓の一声ともいう。ただし,その1段目を出端の越と称して太鼓地にも利用。また,せり出しの合方の三味線と合奏した登場音楽として用いるが,その場合は能から離れてチリカラ拍子となる。

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世界大百科事典(旧版)内の出端の言及

【歌舞伎】より

…〈本花〉〈仮花〉と略称することもある。花道を使っての出端(では)や引込みの六方,またたとえば《妹背山婦女庭訓》の吉野川の場や《鞘当》の不破名古屋の丹前の出のように両花道を効果的に使う場面などは,花道という機構を備えている歌舞伎ならではの魅力溢れる演出となっている。なお,江戸時代の劇場の花道は,揚幕を出たところで直角に折れていた。…

【出入事】より

…謡(うたい)がなく囃子と所作から成る囃子事小段のうち,立方(たちかた)の登・退場に用いられるものの総称。登場に用いるものを〈出端事(ではごと)〉,退場に用いるものを〈入端事(いりはごと)〉と呼ぶが,〈来序(らいじよ)〉や〈早鼓(はやつづみ)〉のように,その前半で前役のシテ,ツレなどが退場し,後半でアイなどの後役が登場するものもある。 出端事は種類が多いが,おもに大鼓(おおつづみ)・小鼓(こつづみ)で奏される大小物と,太鼓が加わる太鼓物,その他のものの三つに大きく分けられる。…

※「出端」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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