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法の解釈 ほうのかいしゃく

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世界大百科事典 第2版の解説

ほうのかいしゃく【法の解釈】

裁判の過程は事実の認定と法の適用に大別されるが,法の解釈は法の適用に際して法文の意味を明晰化する作業である。解釈をまったく必要としない明確で一義的な法文はごくわずかであり,また法が社会観念の変化に対応しつつつねにもれなく規定することはできないから,法の解釈は法の適用に不可欠の作業であり,古くからさまざまな解釈技術が考案されてきており,そのうち伝統的には文理解釈体系的解釈ないし論理解釈に区分されてきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

法の解釈
ほうのかいしゃく

法の適用との関連で、法規範の意味を明らかにする作業をいい、法の具体化に必然的に伴う過程である。[長尾龍一]

出発点

通常、法律問題は、最初に紛争や犯罪のような事件があり、これがどのような法律に関係するだろうかと条文を探し、その条文とその事件との関係を考えるという順序で進行する。とくに、たいていの人は、この紛争はこう解決したいとか、この犯罪はこのように罰すべきだとまず考えて、その根拠となる条文をみつけようとする。ちょうどよい条文があればそれを論拠とし、ちょうどよくなくても、解釈によって自説と条文を結び付けようとする。それは合理的な決定に到達するための実践的議論の一分野である。法の解釈は、以上のように事件と条文との関係づけの過程で問題となる。[長尾龍一]

解釈方法

法のことばは通常、幅のあるいろいろな意味をもっていて、いろいろな解釈をいれる余地がある。そのうえ伝統的に認められている解釈方法にも、いろいろなものがある。文字どおりの文章上、文法上の意味を認識するのが文字解釈、文理解釈であり、そのほか、代表的なものに次のようなものがある。
(1)拡張解釈・縮小解釈 たとえば「子」ということばが、実子という狭い意味と養子を含んだ広い意味をもつように、広義と狭義がある場合に、広義をとるのを拡張解釈、狭義をとるのを縮小解釈という。日本では拡張解釈ということばは、ことばの枠を超えた解釈の意味に用いられることがある。
(2)類推解釈・反対解釈 条文に含まれないが、類似しているものに適用する場合を類推解釈、適用しない場合を反対解釈という。たとえば、「車馬通行止」という立て札があって、牛の通行も禁止する場合など、直接規定されていない類似のものにも法規を運用するのが類推解釈で、それをしないのが反対解釈である。刑法など刑罰法規においては、類推解釈は類似か否かがあいまいで刑罰権が恣意(しい)的に拡張されるおそれがあるため、罪刑法定主義の原則に従って禁止されている。
(3)勿論(もちろん)解釈 「馬が通行止めなら象はもちろん通行止めだ」とか、反対に「馬が通れるのなら犬はもちろん通れる」など、小さいものの禁止から大きなものの禁止を、あるいは大きなものの許容から小さなものの許容を導き出す解釈をいう。
(4)体系的解釈・目的論的解釈・社会学的解釈 個々の法規が多義的である場合、法体系全体の趣旨を考慮して解釈するのを体系的解釈という。目的論的解釈は、法の目的を考慮する解釈で、目的をどのように認識するかについては対立がある(イェーリングなどが主張)。また現実の社会の必要性を考慮する解釈を社会学的解釈といい、カントロビッツ、パウンドらが主張した。
(5)公定解釈 以上のようなさまざまな解釈が可能であるとすれば、裁判所ごとに、あるいは役所の窓口ごとに別々の法解釈が行われ、法的安定性が損なわれ、不公平となる可能性がある。そこで、解釈権をもつ機関の解釈によって、解釈を統一する必要がある。この解釈を公定解釈あるいは公権的解釈という。なお、裁判所の行う解釈を司法解釈、行政庁の行うものを行政解釈、議会が法律で解釈を定める場合を立法解釈という。公定解釈に反する解釈によって権利を侵害された者は、不服申立てや上訴によってその是正を求めることができる。
(6)よい解釈 法の解釈にも、よい解釈とあまりよくない解釈とがある。よい解釈にも(特定の宗教や政党の立場からみてよいという)、超法的なよい解釈と、法内在的なよい解釈とがある。法内在的なよい解釈とは、他の諸制度とうまく整合し、破綻(はたん)なく運行する制度のモデルを形成する解釈である。まじめに法を守る人が損をしたり、ずるい人がもうけたりするような結果を導く解釈は、法秩序を紛糾に導く悪い解釈である。ケルゼンは、法は一種の「枠」であり、法解釈とは枠のなかから一つの可能性を選ぶ行為だとしているが、実際には枠ほどの輪郭のはっきりしたものではなく、法の文字どおりの意味からの距離と実質的正当性との均衡を考えながら解釈するほかないものであろう(たとえば「車馬通行止」という立て札の立った橋を小馬、ロバ、牛、「小牛ほどもある土佐犬」などが通る場合を考えてみよ)。法の解釈とは、よい制度のモデルをつくる創造的作業の一環をなすものである。[長尾龍一]

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