法明寺(読み)ホウミョウジ

デジタル大辞泉 「法明寺」の意味・読み・例文・類語

ほうみょう‐じ〔ホフミヤウ‐〕【法明寺】

東京都豊島区にある日蓮宗の寺。山号は、威光山。弘仁元年(810)真言宗威光寺として開創。のち、日蓮の弟子日源が日蓮宗に改め、現寺号に改称。境外仏堂の鬼子母神堂は、現在も参詣者でにぎわう。雑司ヶ谷鬼子母神

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「法明寺」の意味・読み・例文・類語

ほうみょう‐じホフミャウ‥【法明寺】

  1. 東京都豊島区南池袋にある日蓮宗の寺。山号は威光山。もと真言宗で稲荷山威光寺といい、弘仁元年(八一〇)の開創。正和元年(一三一二)日源が改宗改名子院鬼子母神堂子育ての神として江戸時代以来参拝者でにぎわう。雑司ケ谷鬼子母神。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「法明寺」の解説

法明寺
ほうみようじ

[現在地名]豊島区雑司が谷三丁目

かつての雑司ヶ谷ぞうしがや村のほぼ中央に位置する。威光山と号し、日蓮宗。本尊は十界大曼荼羅。江戸時代、当寺境内の南方に祀られていた鬼子母きしも(「きしぼじん」ともいう。現在は鬼子母神堂として当寺が管掌)は雑司ヶ谷鬼子母神の名で広く知られ、江戸市中からも多くの参詣客が訪れた。寺伝によると、弘仁元年(八一〇)創建で、往古は真言宗の寺院であったが、日蓮門弟の日源(正和四年没)布教のおり法華宗に改宗したものという。碑文谷ひもんや法華寺(現目黒区円融寺)と並んで日源門流の古刹として知られる。戦災で焼失した日蓮坐像は応永一二年(一四〇五)に大旦那妙典夫妻が品川の仏師に造らせたものであった。なお改宗以前の寺名を威光いこう寺とし、「吾妻鏡」治承四年(一一八〇)一一月一五日条に記載される「武蔵国威光寺」に比定する説があったが、現神奈川県川崎市多摩区長尾の妙楽ながおのみようらく寺より威光寺の銘文を有する中世の薬師如来像が発見されており、現在では法明寺説は否定された。近世初頭、当寺は碑文谷法華寺などとともに不受不施派の寺として活動し(「身延山久遠寺旧記」など)、寛文五年(一六六五)の同派弾圧(寛文法難)の際には住持日了が連座して讃岐丸亀藩主京極家に預けられている(徳川実紀)。その後、受不施派であった身延山久遠寺末となり、元禄一四年(一七〇一)に同寺日教が二一世として入寺している。江戸時代には塔頭八ヵ寺を数え(大行院・真乗院・観静院・知足院・法仙坊・善住坊・信領坊・顕性坊。顕性坊はのちに廃寺)、雑司ヶ谷村本納ほんのう寺・蓮成寺などの末寺も抱えていた(「風土記稿」など)。例年一〇月一三日の会式を挟む同月六日から二三日まで多くの参詣客が訪れ、大行だいぎよう院以下の寺中では絡繰人形などの飾物をしつらえ、人々の目を引いていた(「江戸名所図会」など)


法明寺
ほうみようじ

[現在地名]東成区深江南三丁目

深江ふかえ集落の南西部にあり、浄土宗、山号深江山、本尊阿弥陀如来。寺伝によると、文保二年(一三一八)法明房良尊が開創したという。法明は融通念仏大念仏だいねんぶつ(現平野区)中興の祖としてしられ(融通念仏三祖略伝)、二五歳で出家後高野山・比叡山で修学、のち当寺を建立したと伝える。また彼は深江の出身で、晩年の正平二年(一三四七)当寺に隠居したといい、現平野区にも法明隠居寺の伝をもつ融通念仏宗法明寺がある。法明を開基とするところから、当初は大念仏寺と深く関係があったと推察できるが史料を欠く。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「法明寺」の意味・わかりやすい解説

法明寺
ほうみょうじ

東京都豊島(としま)区南池袋にある日蓮(にちれん)宗の寺。威光山と号する。本尊は鬼子母(きしも)尊神(寺では子母と書く)。子供の守り神で、雑司ヶ谷(ぞうしがや)の鬼子母神とよばれ名高い。810年(弘仁1)真言(しんごん)宗威光寺として開創。1312年(正和1)日蓮の弟子日源(にちげん)が日蓮宗に改宗して以来、威光山法明寺と寺号を改めた。本堂から300メートルほど離れた地にある鬼子母神堂は1666年(寛文6)の建立で、徳川家光(いえみつ)より御朱印を受けた。江戸時代以来、堂内に奉納されている絵馬のうち「大森彦七之図」「三人歌舞図」は都重要文化財。また境内にある樹齢500年の大イチョウは古くから「子授けイチョウ」「子育てイチョウ」とよばれ、都天然記念物に指定されている。10月16日から18日の鬼子母神会式(えしき)に万燈練供養(まんとうねりくよう)が行われる。付近で売られている「すすきみみずく」は東京の民芸品の一つである。

[田村晃祐]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法明寺」の意味・わかりやすい解説

法明寺
ほうみょうじ

東京都豊島区雑司ヶ谷にある日蓮宗の寺。山号は威光山。雑司ヶ谷鬼子母神と俗称される。円仁の開創と伝え,天台宗に属していたが,正嘉1 (1257) 年日蓮の弟子日源によって改宗された。境内の鬼子母神は子育て像として多くの人に尊崇されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の法明寺の言及

【鬼子母神】より

…さらに旧来の天女形も作られ,鬼形は破邪調伏,天女形は安産子育てとされた。日蓮宗では千葉中山法華経寺,東京雑司谷(ぞうしがや)の法明(ほうみよう)寺の鬼子母神が著名であり,ほかに法華宗本門流所属の東京入谷(いりや)の真源寺のそれも,〈恐れ入谷の鬼子母神〉と喧伝されてきた。【高木 豊】。…

※「法明寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android