(読み)タン

デジタル大辞泉 「淡」の意味・読み・例文・類語

たん【淡】[漢字項目]

常用漢字] [音]タン(漢) [訓]あわい
タン
色などが濃くない。あわい。「淡黄淡彩・淡粧/濃淡
塩けがない。「淡湖・淡水
気持ちがあっさりしている。情が厚くない。「淡交淡淡淡泊枯淡恬淡てんたん冷淡
淡路あわじ国。「淡州
〈あわ〉「淡雪
[名のり]あわ・あわし・あわじ
難読淡海おうみ淡竹はちく

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「淡」の意味・読み・例文・類語

あわあは【淡】

  1. [ 1 ] ( 形容詞「あわい」の語幹 ) あっさりしていること。
    1. [初出の実例]「待ちつけたてまつりたるかひなく、あわの御ことわりや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)竹河)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) ( 淡と泡とをかけて、多く「あわに」の形で用いる ) 消えやすいさまにいう。はかなく。たよりなく。
    1. [初出の実例]「うはごほりあはにむすべるひもなればかざす日かげにゆるぶばかりを」(出典:枕草子(10C終)九〇)

たん【淡】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙たんが(淡画)」の略。
    1. [初出の実例]「淡 タム 淡絵」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  2. [ 2 ] 淡路国(あわじのくに)の略。

あわ‐にあは‥【淡】

  1. あわ(淡)[ 二 ]

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「淡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] タン
[字訓] あわい・うすい

[説文解字]

[字形] 形声
声符は炎(えん)。炎に啖(たん)・談(だん)の声がある。〔説文〕十一上に「き味なり」とあり、〔管子、水地〕に「五味の中なり」とあって、味のうすいことをいう。また色や状態について、すべて淡薄なことをいう。澹(たん)と通用するが、澹は澹(たんとう)としてゆれ動くことをいう字である。

[訓義]
1. あわい、うすい。
2. あっさり、さっぱり。
3. そまつ、不十分。
4. 澹と通じ、水がゆれうごく、ただよう。

[古辞書の訓]
名義抄〕淡 アハシ・アハタス・シヅカナリ・スサマジ・ミテリ・ホシイママナリ 〔字鏡集〕淡 アハタス・ホシイママナリ・シヅカナリ・イロフ・スサマジ・イロ・アハサス・ミテリ・シヅカ

[語系]
淡・澹・憺damは同声。澹は「水動くなり」、憺は「安し」、淡をそれらの意に用いることがある。

[熟語]
淡靄・淡易・淡雲・淡煙・淡遠淡雅・淡簡・淡月淡乎・淡古・淡紅・淡交・淡光淡爾・淡寂・淡酒淡愁淡粥・淡如・淡粧・淡食・淡水淡静・淡青・淡晴・淡然・淡素・淡淡・淡竹・淡淡漠・淡泊・淡白・淡薄・淡飯淡碧淡墨・淡味淡冶・淡約・淡冷・淡話
[下接語]
雅淡・簡淡・古淡・枯淡・曠淡・惨淡・清淡・淡・粗淡・疎淡・澹淡・恬淡・濃淡・平淡・冷淡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【絵所】より

…内豎はこの当時の民間工匠をいい,熟食はもと内匠寮に所属した雑工であった。さらに他の文献から,墨書配下の工匠のなかに,画工司の金画長上とよばれた金泥専門工人に相当する淡(たみ),主として彩色を担当する作絵(つくりえ),また顔料を調製する丹調(にづくり)などの職名と絵画制作の分担が知られる。この宮廷の絵所絵師たちがさかんに活躍する12世紀に入ると,公認された絵仏師も工房を組織し,寺院の造営を場としてともに手腕を競った。…

※「淡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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