猿飛佐助(読み)サルトビサスケ

精選版 日本国語大辞典 「猿飛佐助」の意味・読み・例文・類語

さるとび‐さすけ【猿飛佐助】

  1. 戦国時代の忍術者として伝えられている人物甲賀流の書にその名が記されているが実在したかどうかは不明。大正初期に大阪赤本の講談豆本でその武勇伝が書き広められ、真田十勇士の一人として世にもてはやされた。猿飛は「西遊記」の孫悟空にあやかったといわれている。大阪成象堂の武士道文庫に伝記がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「猿飛佐助」の意味・わかりやすい解説

猿飛佐助 (さるとびさすけ)

甲賀流忍術の名人とされる伝説上の人物。玉田玉秀斎による創作講談《忍術名人猿飛佐助》の主人公であるが,1911年に刊行された〈立川文庫〉により大衆のあいだに定着した。戸沢白雲斎に忍術をならい,真田幸村につかえ,いわゆる真田十勇士の一人として活躍するが,大坂夏の陣に討死したことになっている。猿飛という命名は,《西遊記》の怪猿孫悟空にあやかったといわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「猿飛佐助」の意味・わかりやすい解説

猿飛佐助
さるとびさすけ

「立川(たちかわ)文庫」第40編『猿飛佐助』(1914)により創作された架空人物で、「真田(さなだ)十勇士」の一人。鳥居(とりい)峠の麓(ふもと)に住む郷士鷲尾佐太夫(わしおさだゆう)の息子の佐助は、山中で猿を相手に遊んでいたが、甲賀流忍術名人戸沢白雲斎(とざわはくうんさい)によりその素質を認められ、忍術修業に励み、極意を授与される。15歳の若さで佐助は真田幸村(ゆきむら)の家来となる。幸村の命により三好清海(みよしせいかい)入道と2人で諸国漫遊の旅に出るが、その目的は風雲急を告げる天下形勢を探るためであった。徳川方をさんざんに悩ます佐助の痛快な行動は、大正期の忍術ブームの原因をなした。中国古典『西遊記』で活躍する孫悟空(そんごくう)が、猿飛佐助のモデルに擬されている。大衆文芸(時代小説)の主人公としても猿飛佐助を描いた作品は数多い。

[武蔵野次郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「猿飛佐助」の意味・わかりやすい解説

猿飛佐助
さるとびさすけ

真田十勇士の一人として武勇伝が語られている,講談中の人物。安土桃山時代の武将真田信繁の家臣という。幼時,甲賀流の忍術を戸沢白雲斎に学び,真田氏に忍びをもって仕え,間諜として活躍,特に関ヶ原の戦いの際の信州上田における合戦や大坂の陣には神出鬼没の働きをする。明治の末刊行された『立川文庫』で有名になった。

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百科事典マイペディア 「猿飛佐助」の意味・わかりやすい解説

猿飛佐助【さるとびさすけ】

甲賀流忍術使いとされる伝説上の人物。講談や立川文庫で知られる。真田十勇士の一人。戸沢白雲斎に忍術を学び,大坂夏の陣で死んだことになっている。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「猿飛佐助」の解説

猿飛佐助 さるとび-さすけ

講談の主人公。
2代玉田玉秀斎(ぎょくしゅうさい)がつくりだした甲賀流の忍者。戸沢白雲斎(はくうんさい)にまなび,真田幸村(ゆきむら)につかえ,徳川方とたたかう。大坂夏の陣で戦死したとされる。大正2年「立川文庫」の1冊「真田三勇士忍術名人猿飛佐助」として刊行され,人気をえた。小説や映画でも活躍。

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デジタル大辞泉プラス 「猿飛佐助」の解説

猿飛佐助

杉浦茂による漫画作品。日本一の忍術の使い手のもとで3年間修行し、真田幸村に召し抱えられた猿飛少年の活躍を描く。『おもしろブック』1954年3月号~1955年に連載。筑摩書房ちくま文庫全1巻。

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世界大百科事典(旧版)内の猿飛佐助の言及

【真田十勇士】より

…安土桃山時代の武将真田幸村(1567‐1615)につかえて,武勇をあらわしたという10人の勇士の総称。猿飛佐助,霧隠才蔵,三好清海入道,三好伊三(いさ)入道,穴山小介,海野(うんの)六郎,筧(かけい)十蔵,根津甚八,望月六郎,由利鎌之助の10人だが,三好清海入道と伊三入道は兄弟とされている。このうち,由利鎌之助,三好清海入道,伊三入道,根津甚八などの名は,《真田三代記》や《大坂夏陣図》などにも見うけるが,〈真田十勇士〉としての武勇伝の数々は,すべて〈立川文庫〉による創作である。…

※「猿飛佐助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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