疎か(読み)オロソカ

デジタル大辞泉 「疎か」の意味・読み・例文・類語

おろ‐そか【疎か】

[形動][文][ナリ]
いいかげんにすませたり軽く扱ったりして、まじめに取り組まないさま。疎略。なおざり。「遊びに夢中で勉強疎かになる」
簡素なさま。粗末。
「いと―に、軟障ぜじゃうばかりを引きめぐらして」〈須磨
まばらなさま。
「歯―に欠け」〈霊異記・上〉
劣っているさま。
「前生の運―にして」〈宇治拾遺・四〉
[類語]なおざりゆるがせ仮初め安易甘い手ぬるい生ぬるい甘っちょろいいいかげん手軽てがる安直適当杜撰ずさん放漫漫然閑却等閑とうかんお座なり粗末でたらめぞんざい投げ遣りちゃらんぽらん易きに付く

おろ‐か【疎か】

[形動][文][ナリ]
(「…はおろか」「…もおろか」などの形で)言うまでもないことである。もちろん。「掃除疎か布団を上げたこともない」
いいかげんに扱うさま。思いやりが薄いさま。おろそか。
「―にそ我は思ひし乎布をふの浦の荒磯ありその巡り見れど飽かずけり」〈・四〇四九〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「疎か」の意味・読み・例文・類語

おろ‐そか【疎そか・踈そか・麁そか】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「おろ」は「おろか」「おろおろ」などと同じく「不完全・不十分」の意。「そか」は状態を表わす接尾語 )
  2. 飾りたてず簡素なさま。粗末なさま。
    1. [初出の実例]「但し其の葬事(のちのわざ)は軽易(オロソカナル)を用ゐむ」(出典:日本書紀(720)天智八年一〇月(北野本訓))
    2. 「順徳院の禁中の事ども書かせ給へるにも、公の奉り物は、おろそかなるをもてよしとすとこそ侍れ」(出典:徒然草(1331頃)二)
  3. まばらなさま。ばらばらに乱れたさま。つくりのあらいさま。
    1. [初出の実例]「当に世世に牙歯疎(オロソカ)に欠け、唇醜く〈略〉、眼目角(すがめ)になるべし〈興福寺本訓釈 疎 於呂曾可爾(オロソカニ)〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
    2. 「一足も出られる様な、おろそかな透間(すきま)といふがなひ故に」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)四)
  4. 物事や人の扱いなどに心を入れないで、なおざりであるさま。いいかげん。疎略。不十分。不注意。
    1. [初出の実例]「念誦若し、簡(オロソカニ)すれば、其の光即ち小し」(出典:天理本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))
  5. よそよそしいさま。親しくうちとけていないさま。
    1. [初出の実例]「生める子のやうにあれど、いと心恥づかしげに、をろそかなるやうに言ひければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  6. つたないさま。すぐれないさま。不足でよくないさま。
    1. [初出の実例]「前生の運をろそかにして、身に過たる利生にあづからず」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)四)

疎かの語誌

の意から出て中古にはの意が生じ、「おろか」と重なりを持った。中世以後、「おろか」は「愚」に、「おろそか」は「疎略」に分化してゆき、近代に至る。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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