杜撰(読み)ズサン

デジタル大辞泉 「杜撰」の意味・読み・例文・類語

ず‐さん〔ヅ‐〕【××撰】

[名・形動]《「杜」は宋の杜黙ともくのこと、「撰」は詩文を作ること。杜黙の詩が定形詩の規則にほとんど合っていなかったという「野客叢書」の故事から。「ずざん」とも》
詩や文章に、典拠の確かでないことを書くこと。また、その詩文。
物事がいいかげんで、誤りが多いこと。また、そのさま。「杜撰管理」「杜撰計画
[派生]ずさんさ[名]
[類語]雑駁安易甘い手ぬるい生ぬるい甘っちょろいいいかげん手軽てがる安直適当放漫漫然閑却等閑とうかんなおざりお座なりおろそかゆるがせ粗末でたらめぞんざい投げ遣りちゃらんぽらん易きに付く劣悪劣等お粗末粗悪低劣不出来貧弱不良出来損ないちゃち役立たず粗雑粗略粗野いけぞんざい粗笨そほん

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精選版 日本国語大辞典 「杜撰」の意味・読み・例文・類語

ず‐さんヅ‥【杜撰】

  1. 〘 名詞 〙 ( 古く「ずざん」とも )
  2. 詩文などで、典拠の正確でないことを述べること。あやまりの多い著作
    1. [初出の実例]「至彼之雌霓〈略〉弄麞〈略〉林四郎之杜撰(ヅザン)亦無質而改一レ之」(出典:元和本下学集(1617)序)
    2. 「後人偽作する所の書も、定家卿の名を冒して杜撰甚しきものあり」(出典:国歌八論(1742)古学)
    3. [その他の文献]〔野客叢書‐巻二〇・杜撰〕
  3. ( 形動 ) あやまり多く、いいかげんなこと。ぞんざいで手ぬかりが多いこと。また、そのさま。でたらめ。粗漏(そろう)
    1. [初出の実例]「いまの杜撰の長老等、みだりに宗の称をもはらする」(出典:正法眼蔵(1231‐53)仏道)
    2. 「神経質でありながら、案外ずさんなところのある彼は」(出典:さい果て(1964‐71)〈津村節子〉一)
  4. ( ━する ) うっかりまちがえること。
    1. [初出の実例]「昧者(まいしゃ)之を杜撰(ヅサン)して麒麟(きりん)と云」(出典:造化妙々奇談(1879‐80)〈宮崎柳条〉二編)

杜撰の語誌

( 1 )ズ(ヅ)は「杜」の呉音、サンは通常センと訓む「撰」の別の音。中国の宋代に話題となったことばで、日本には禅を通じて入ったようである。
( 2 )「撰」は詩歌や文章を著作し編集する意であるが、「杜」については説が分かれている。宋代の詩人杜黙の作る詩が音律に合わないことが多いところから「杜撰」の語ができたとする語源説〔野客叢書〕によれば、「杜」は杜黙を指していることになる。この他、道家の書五千巻を撰した杜光庭を指す説もあり、「杜」を人名と見る説が多い。

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故事成語を知る辞典 「杜撰」の解説

杜撰

でたらめなこと。また、誤りが多くていい加減なこと。

[使用例] 神経質でありながら、案外ずさんなところのある彼は[津村節子さい果て|1964~71]

[由来] 「野客叢書―二〇・杜撰」に見える話から。「もくの詩をつくるや、多く律に合わず(杜黙という人が作る詩は、漢詩のきまりを守っていないものが多かった)」ので、きまりに合わないもののことを「杜撰」というようになった、とあります。ただし、このことばの由来については、他の説もあります。なお、「撰」とは、選ぶことを意味する漢字で、文字を選んで詩文を作ることを表します。

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