日本大百科全書(ニッポニカ) 「白州(法廷)」の意味・わかりやすい解説
白州(法廷)
しらす
江戸時代、奉行所(ぶぎょうしょ)や代官所に設けられた法廷。被疑者の庶民が座る庭に砂利が敷いてあり、その砂利の白さから白州とよばれた。奉行は庭に面して最上段に座り、次の間に吟味役、書役(かきやく)、見習与力が並び、庭には警戒の突這(つくばい)同心が控えていた。砂利の上に座るのは、被尋問者が庶民の場合だけで、浪人および特別の町人は板縁の上に座った。審理、断罪は奉行の仕事だが、中間の取調べは担当与力が吟味部屋で行い、奉行が白州へ顔を出すのは、人定尋問と判決言渡しのほか一度ぐらいであった。この判決の申渡しを落着(らくちゃく)という。入牢(にゅうろう)の申渡しは奉行のみに与えられた権限なので、重い犯罪者のいるときは夜中でも白州を開いたという。
[稲垣史生]