(吉田昌彦)
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幕末の尊攘派(そんじょうは)志士。久留米(くるめ)水天宮神官。名は保臣(やすおみ)、従(じゅ)五位下和泉守(いずみのかみ)と称す。1844年(弘化1)水戸(みと)遊学後、久留米藩内に尊攘派(天保(てんぽう)学連)を結成。1852年(嘉永5)藩政改革を企てたが失敗し蟄居(ちっきょ)。1862年(文久2)脱藩、鹿児島に走り、ついで上京直後、寺田屋の変に会い、ふたたび久留米藩幽閉となる。翌年許され上京、三条実美(さんじょうさねとみ)の信任を得、大和行幸(やまとぎょうこう)、討幕挙兵を画策したが、八月十八日の政変により七卿(しちきょう)を奉じ長州へ退去。1864年(元治1)長州藩兵とともに上京し幕府軍と戦ったが敗れ(蛤御門(はまぐりごもん)の変)、天王山で諸藩出身の浪士16人と自刃した。彼は毎年5月楠公祭(なんこうさい)を催し、蟄居当時から討幕、王政復古を主張した。
[山口宗之]
『真木保臣先生顕彰会編『真木和泉守遺文』(1913・伯爵有馬家修史所)』▽『宇高浩著『真木和泉守』(1934・菊竹金文堂)』▽『山口宗之著『真木和泉』(1973・吉川弘文館)』
幕末の志士。久留米水天宮神官。名は保臣。従五位下和泉守の官位をもち通称和泉。1844年(弘化1)水戸に従学,会沢正志斎の教えをうける。52年(嘉永5)久留米藩の藩政改革を志し失敗,10年間蟄居(ちつきよ)。62年(文久2)脱藩,上京し討幕を企てたが寺田屋事件で失敗,再度久留米藩幽囚となる。翌年許され上京,討幕を決行せんとしたが,文久3年8月18日の政変で長州退去。翌年挙兵上京したが禁門の変に敗れ,天王山で自殺。《真木和泉守遺文》がある。
執筆者:山口 宗之
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1813.3.7~64.7.21
幕末期の尊攘派志士。筑後国久留米水天宮祠官真木旋臣(としおみ)の長男。名は保臣(やすおみ),通称和泉。藩校明善堂に学び,江戸・水戸に遊学し尊王攘夷を唱える。帰藩後藩政改革の建白をして執政有馬監物(けんもつ)らの排斥をはかるが失敗。蟄居中に「大夢記」「義挙三策」などを著し,尊攘実践に理論的根拠を与えた。1862年(文久2)脱藩し,島津久光の挙兵上洛を機に討幕挙兵を意図するが,寺田屋騒動で捕らえられた。翌年許されて上洛,尊攘派の中心人物として活動し,学習院にも出仕。8月18日の政変後七卿に従って西下し,その後は萩藩尊攘派とともに活動した。64年(元治元)来島又兵衛・久坂玄瑞(くさかげんずい)らと上洛して禁門の変をおこし,敗れて同志16人とともに自刃。
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…これより前,尊王攘夷を主張する長州藩は,〈文久3年(1863)8月18日の政変〉で,公武合体派の会津藩や薩摩藩らの諸藩兵により京都から追われ,朝廷の九門の一つ,禁門警備の任を免じられ,藩主が処罰された。長州藩には,京都を脱走した七卿や真木和泉らの浪士も集結し,失地回復をめぐって進発論や持重論が渦巻いた。藩の指導者,周布政之助や高杉晋作らは,持重論により藩論をまとめていたが,翌64年3月になると,幕府と薩摩藩,会津藩,越前藩らの公武合体派は内部対立を起こし,有力大藩が帰国し,間隙が生じた。…
…1844年(弘化1)久留米藩10代藩主となった有馬頼永(よりとう)は,水戸学の影響をうけた村上守太郎ら天保学派の支持を得て藩政改革に着手,大倹令を発し軍制改革を断行したが,わずか2年にして急逝し,藩政改革は挫折した。46年,弟の頼咸(よりしげ)が11代藩主に就任すると,天保学派は真木和泉らの外同志と村上守太郎らの内同志に分裂し,50年(嘉永3)江戸赤羽の久留米藩邸における村上守太郎の参政馬淵貢に対する刃傷事件にまで発展した。翌51年村上一派・内同志は処分をうけたが,まもなく藩政中枢に復帰し,外同志と激しく対立,このとき和泉らは処分された。…
※「真木和泉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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