硬セッコウ(読み)コウセッコウ

化学辞典 第2版 「硬セッコウ」の解説

硬セッコウ
コウセッコウ
anhydrite

鉱物名で硫酸塩鉱物一種.化学的には硫酸カルシウム無水物のことであり,無水セッコウ焼殺セッコウ(dead burnt gypsum)ともいう.セッコウ(CaSO4・2H2O,gypsum)を130 ℃ に加熱して得られる0.5水和物(CaSO4・0.5H2O)を焼きセッコウ(plaster of Paris)といい,200 ℃ まで加熱して無水物としたもの(γ-CaSO4)が硬セッコウである.焼きセッコウは水で練ると発熱してもとのセッコウに戻り硬化するが,硬セッコウは水硬性がなく,水で練ってもセッコウに戻らない.セッコウは吸熱脱水と水蒸気の発生で火力を弱めるので,しっくいとして防火材に使えるが,硬セッコウは無水物であるのでこれには使えない.白墨(チョーク)に利用される.[CAS 7778-18-9:CaSO4][CAS 10101-41-4:CaSO4・2H2O][CAS 10034-76-1:CaSO4・0.5H2O]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「硬セッコウ」の意味・わかりやすい解説

硬セッコウ(石膏) (こうせっこう)
anhydrite

化学成分はCaSO4でセッコウの無水物に相当する鉱物。セッコウより硬いのでこの名前がついた。斜方晶系板状や柱状の結晶として産出することもあるが,ふつうは塊状,粒状,繊維状などをなして産出する。無色,白色,灰色,淡青色など。光沢は面によって異なる。モース硬度3~3.5,比重3.0。水を吸うとセッコウになる。岩塩カリ岩塩などを主とする蒸発岩の構成鉱物で,塩湖が干上がる時に最初に析出沈殿したもので,セッコウと共生することが多い。温度が42℃以上で蒸発した時や,そうでなくても高塩分の時に析出する。また熱水鉱脈中にも産する。セッコウの製造や彫刻用として用いる。
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