粕汁(読み)カスジル

デジタル大辞泉 「粕汁」の意味・読み・例文・類語

かす‐じる【×粕汁/×糟汁】

塩鮭しおざけや塩ぶり、野菜などを実にして、酒粕を入れたこくのある汁。 冬》「―や蓋を浮かせて沸きたちし/風生
[類語]汁物吸い物あつもの澄まし汁お澄ましつゆお付け味噌汁おみお付け納豆汁薩摩汁けんちん汁豚汁とろろ汁三平汁のっぺい汁鯉濃こいこく水団すいとん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「粕汁」の意味・わかりやすい解説

粕汁
かすじる

汁物料理の一つで、酒粕を溶いた実だくさんの汁物。柔らかく、湿りけの多い酒粕を用いる。塩ざけ、塩ぶり、塩にしんなどの頭、尾、あらなど廃物に近い材料のほうが、味のいいものができる。塩ざけの頭を2センチメートル角くらいに切り、湯煮して汚れや鱗(うろこ)などを取り除く。深鍋(なべ)に水をいっぱい入れ、塩魚を中火でゆっくり煮込む。しばらくしてダイコンのいちょう切り、ニンジン輪切り、ちぎったこんにゃくゴボウサトイモなどを適量加える。野菜類が柔らかくなったら、すり鉢ですった酒粕とネギの短い輪切りを加える。汁2リットルに酒粕300グラムの割合でよい。塩味の不足は、塩またはしょうゆで補う。

 兵庫県の郷土料理に粕汁があるが、灘(なだ)という有名な酒造りの場所があるので、豊富に酒粕が使えるために優れた粕汁ができるのである。この地方では、粕汁を先に煮立ててから、下ごしらえしておいた塩魚と野菜類を入れるやり方が一般に行われている。

多田鉄之助

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