(読み)シル

デジタル大辞泉 「汁」の意味・読み・例文・類語

しる【汁】

物からしみ出させ、または絞りとった液体。「レモン
だし調味料などで味をつけた料理用の液。
すまし汁味噌汁などの汁物。つゆ。
自分が独り占めしたり、他人の努力や犠牲のおかげで受けたりする利益。「うまいを吸う」
[類語](1つゆ液体流動物流動体液汁汁液溶液水溶液粘液廃液乳液原液薬液固体気体流体リキッドガス固形かたまり剛体弾性体/(3汁物吸い物あつもの澄まし汁お澄ましつゆお付け味噌汁おみお付け粕汁納豆汁薩摩汁けんちん汁豚汁とろろ汁三平汁のっぺい汁鯉濃こいこく水団すいとん

じゅう【汁】[漢字項目]

常用漢字] [音]ジュウジフ)(慣) [訓]しる
〈ジュウ〉しる。「液汁果汁胆汁肉汁乳汁墨汁一汁一菜
〈しる(じる)〉「汁粉しるこ汁物煮汁鼻汁味噌汁みそしる
[難読]灰汁あく豆汁苦汁にがり

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「汁」の意味・読み・例文・類語

しる【汁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 物体からしみ出る、または、しぼり取った液。
    1. [初出の実例]「染木が斯流(シル)に 染め衣を まつぶさに 取り装ひ」(出典古事記(712)上・歌謡)
  3. 汁物。特に、めしの菜としてすするもの。つゆ。
    1. [初出の実例]「厨女、〈略〉黄菜(さはやけ)のしるしてもて来たり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  4. 六質汁(むしつじる)のこと。芋・大根・牛蒡(ごぼう)・小豆(あずき)など六種の品を煮て汁としたもの。針供養に食するのが例だった。
    1. [初出の実例]「汁の実も乞食仕立の針供養」(出典:雑俳・柳多留‐一四二(1835))
  5. しるこう(汁講)」の略。
    1. [初出の実例]「甘露寺元長卿記に、於姉小路三位亭汁、また、内蔵頭有招事、汁張行、など見えたり、今の世にも、田舎にて、汁といふことあり」(出典:随筆・玉勝間(1795‐1812)一二)
  6. うるおい。みずみずしさ。
    1. [初出の実例]「物をかくも、老ては字にしるなく、つやなく、こつこつと見ゆる」(出典:わらんべ草(1660)二)
  7. 雨気。
    1. [初出の実例]「花も露も残る樗や雲に汁〈秀重〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
  8. 他の力をかりて受ける利益、もうけ。→うまい汁を吸う
  9. しる(醨)

つゆ【汁・露・液】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しる。ある物から、しみ出たりしぼり取ったりした液。
    1. [初出の実例]「おのれ紅き水蜜桃の汁(ツユ)をもて顔を描かむぞ泣ける汝(なれ)が顔」(出典:桐の花(1913)〈北原白秋〉哀傷篇・哀傷篇)
  3. 吸物のしる。だしじるに味つけをしたすましじる。京阪地方では、すましじる、味噌しるを総称していう。
    1. [初出の実例]「加減見る露二つ打舌の音」(出典:雑俳・歌羅衣(1834‐44)八)
  4. そば、うどん、てんぷらなどにつけるしる。
    1. [初出の実例]「薬味をツユの中へ入れて」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉六)
  5. 煮物や鍋物のしる。
    1. [初出の実例]「穢さうに葢(ふた)を撮(つまん)で傍へ置くと、其中が汁(ツユ)沢山の雞卵(たまご)のふはふはさ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「汁」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 5画

[字音] ジュウ(ジフ)・シュウ(シフ)・キョウ(ケフ)
[字訓] しる・なみだ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は十(じゆう)。〔説文〕十一上に「液なり」、〔釈名、釈形体〕に「汁は涕なり」という。祭礼に用いる「秬鬯(きょちよう)(香り酒)」を「汁献(しゆうけん)」という。

[訓義]
1. しる、しぼりじる、さけ。
2. なみだ。
3. 協・叶と通じ、かなう。

[古辞書の訓]
名義抄〕汁 シル・アセ・カナフ・ナビク

[語系]
汁tjipは濕(湿)sjipと声義が近い。また、十zjipには集める意があるらしく、絞って集めたものを汁という。

[熟語]
汁洽・汁液・汁献・汁・汁子汁滓・汁水汁肥
[下接語]
雨汁・液汁・塩汁・果汁・灰汁苦汁漆汁・清汁・多汁・胆汁・肉汁・乳汁・鼻汁・米汁・墨汁・汁・沃汁・藍汁・露汁

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【汁物】より

…日本における汁料理の総称。大別してみそ仕立てとすまし仕立てがあった。…

【闇汁】より

…灯火を消した暗やみの中で,めいめいが持ちよった一品ずつの材料を大なべに煮立てた汁の中に投じ,ころあいをはかって暗中模索してすくい上げて食べるという飲食遊戯。明治・大正期の書生たちが盛んに行ったもので,正岡子規も俳誌《ホトトギス》の発行所などでしばしばこの催しを楽しんでいる。…

※「汁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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