日本古代の律令制下に学業・技能などを試験し,その成績によって及第および官人への採否を判定すること。《令義解》の学令には,〈学者の道芸を校試するなり〉と公定注釈する。大学・国学生は,旬ごとに博士が試験した(旬試)。また7月の年度末には,大学では大学頭・介が,国学では学業の優れた国司が年終試を行った。そして典薬寮の医・針生は,医・針博士が1ヵ月に一度試験し,典薬頭・介が一季ごとに試験したが,さらに宮内卿・輔が年終試を行った。つぎに中国の科挙にならった式部省による官人採用試験は,(1)秀才は博学高才のものを採り,方略試2条を試験して,上上~中上第の四等が及第,上上第は正八位上,上中第は正八位下に叙した。(2)明経(みようぎよう)は二経以上に通じたものを採る。経籍10条を試験し,上上~中上第が及第で,上上第は正八位下,上中第は従八位上を授けた。この秀才・明経ともに,上下・中上第は叙位の対象にならなかった。(3)進士は治国の要務を身につけ,《文選(もんぜん)》《爾雅(じが)》を諳読できるものを採る。時務策2条と《文選》《爾雅》を試験して,及第の甲第は従八位下,乙第は大初位上に叙した。(4)明法(みようぼう)は律令に通達したものを採り,律令10条を試験して,及第の甲第は大初位上,乙第は大初位下を授けた。そして秀才・明経上中第以上で,蔭位(おんい)資格をもつか,孝悌によって表賞されたものは,その蔭位・成績による叙位に1階を加えて叙し,また明経で二経以上に通じたものは,一経を加えるごとに1階を加算した。つぎに書学生は書写上中以上を採用し,算学生は九章などの算学書を試験し,甲・乙第を及第としたが,叙法は明法と同じである。降って802年(延暦21)に秀才・明経の上下・中上第に初めて叙位が定められ,考試による官人登用方式の進展につながった。また医・針生や按摩・呪禁(じゆごん)生などの官人採用試験の方法や叙位などについても,諸規定があった。
執筆者:野村 忠夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
字通「考」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新